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    国試過去問解説 2026-05-20

    国試過去問解説 肝硬変 国試(112D43)

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    112D43
    47歳の女性。腹部膨満を主訴に来院した。20歳台からアルコールの多飲歴があり、1週間前までワイン1本/日を飲んでいた。3日前から腹部膨満が出現し食事が摂れなくなったため受診した。意識は清明。身長156cm、体重49kg。体温36.3℃。脈拍72/分、整。血圧106/60mmHg。眼險結膜に貧血を認めない。眼球結膜に軽度黄染を認める。頸部から胸部にかけて赤い放射状の皮疹を多数認め、圧迫によって消退する。腹部は膨満しているが圧痛を認めない。下肢に浮腫を認める。血液所見:赤血球325万、Hb 9.4g/dL、Ht 31%、白血球4,000、血小板7.0万、PT-INR 1.4(基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白5.9g/dL、アルブミン2.5g/dL、総ビリルビン3.2mg/dL、直接ビリルビン0.9mg/dL、AST 56U/L、ALT 40U/L、ALP 280U/L(基準115〜359)、γ-GTP 24U/L(基準8〜50)、アンモニア185μg/dL(基準18〜48)、尿素窒素35mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na 131mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 97mEq/L、α-フェトプロテイン〈AFP〉3.1ng/mL(基準20以下)。免疫血清学所見:CRP 1.2mg/dL、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性。来院時の腹部CTを別に示す。経口摂取ができないため輸液を開始した。
    初期輸液のNa+濃度(mEq/L)として適切なのはどれか。


    答え
    不正解

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    非常に難解な設問であるが、シンプルに考えていこう。肝不全においてはタンパクの合成が障害されアルブミンが低下する。アルブミンの低下は膠質浸透圧(血管内に水分を引き付けておく力)の低下をまねき、血管内の水分は腹腔や間質に逃げ、腹水や浮腫が起こる。腹水や浮腫がなぜほっておくとよくないかは詳述しないが、本症例のような非代償性の肝硬変においては①塩分制限②利尿薬、腹腔穿刺③アルブミン補充などにより対応する。
    ① については塩分制限だけを行うよりも血管内脱水を輸液するなかで解消し ていく必要がある。
    ② 利尿薬も血管内脱水を輸液で解消するなかで行っていく必要がある。
    ③ 高アンモニア血症があるなかで、アルブミン補充を行うには輸液が必要と考えられる。
    ① ~③よりできるだけサードスペースに逃げない血管内にとどまりやすい、いいかえると細胞内にも一定の割合で分布する輸液組成を選ぶ。
    生理的食塩水が細胞外液のみに分布するのに対し、5%グルコース液は細胞内・細胞外に均等に分布する。よって生食よりもできるだけ5%グルコース液の割合の高い輸液組成を選ぶ。

    a 3号液である。生食と5%グルコースが1:3で混合されている。細胞外液をふやしすぎず、腹水や浮腫をできるだけ悪化させずに血管内脱水を解消することが期待できるため輸液として適切である。よってaが○。

    b 2号液である。生食と5%グルコースが1:2で混合されている。3号液に比べると生食に近く細胞外液をふやしてしまうため腹水・浮腫の悪化防止と血管内脱水の解消において3号液に及ばないと考えられる。よってbは×。

    c 1号液である。生食と5%グルコースが1:1で混合されている。細胞外液にとどまる量が多く、腹水・浮腫をさらに悪化させる一方、血管内脱水の解消はそこまで期待できないと考えられる。よってcは×。

    d リンゲル液である。組成からほとんど細胞外液のみをふやすため腹水の悪化をきたすと考えられる。よって輸液としては不適切であり、病態のさらなる悪化をまねくと考えられる。ゆえにdは×。

    e 生理的食塩水である。組成から細胞外液のみをふやすと考えられる。腹水悪化や浮腫の増大といったさらなる病態の重症化をきたすため輸液としては選ぶべきではない。(禁忌)ゆえにeは×。

    本記事執筆のエビデンスにつきましては、こちらをご覧ください。

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