全国で活躍する女性医師

2023-06-30

高山赤十字病院

全国の赤十字病院の中から、岐阜県の高山赤十字病院にお伺いしました。勤務内容や1日のスケジュール、家庭と仕事の両立など、女性医師ならではの声が聞けるインタビューです。

  • profile

    白子順子先生
    • 愛知県丹羽郡大口町出身
    • 1959年

      愛知県丹羽郡大口町生まれ

    • 1984年

      岐阜大学を卒業

    •  

      岐阜大学医学部附属病院 第一内科入局

    • 1988年

      羽島市民病院にて勤務

    • 1989年

      愛知県がんセンター中央病院にて勤務

    • 1990年

      高山赤十字病院にて勤務

    • 2005年

      名古屋第二赤十字病院(現 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院)にて勤務

    • 2009年

      高山赤十字病院にて勤務

    • 2023年

      高山赤十字病院副院長に就任

    これまでハイチ大地震災害救援事業、パキスタン洪水災害救援事業、シリア難民支援でギリシャのほか、カンボジア、バングラデシュ、ジンバブエ、スマトラ島などに派遣される。

    日本内科学会認定内科医・専門医・指導医・支部評議員、日本消化器病学会専門医・指導医・支部評議員・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・支部評議員、日本肝臓学会専門医・指導医、日本人間ドック学会認定医、日本医師会産業医、外国人医師臨床修練指導医日本プライマリ・ケア連合学会認定医、JMECCインストラクターなど。

  • profile

    林佳奈先生

    林 佳奈先生

    産婦人科

    • 岐阜県多治見市出身
    • 1991年

      岐阜県多治見市生まれ

    • 2016年

      岐阜大学卒業

    •  

      高山赤十字病院にて初期研修を行う

    • 2019年

      岐阜大学医学部附属病院にて産婦人科の後期研修。

    • 2020年

      岐阜県総合医療センターに勤務

    • 2021年

      岐阜市民病院に勤務

    • 2022年

      高山赤十字病院に勤務

    日本産科婦人科学会専門医など。

  • profile

    横山茉緒先生

    横山 茉緒先生

    初期研修医

    • 岐阜県各務原市出身
    • 1996年

      岐阜県各務原市生まれ

    • 2022年

      岐阜大学を卒業

    •  

      高山赤十字病院にて初期研修

目次|contents

医師を目指したきっかけと
研修病院選び・専門選び

インタビュー中の横山先生、白子先生、林先生

インタビュー中の横山先生、白子先生、林先生

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

白子小さい頃に肺炎で入院したことがあるんです。そのときの主治医の先生が女性で、少し怖かったんですが(笑)、ぴしっとしていて素敵だなと思いましたし、入院生活を体験したことで、こういう仕事もいいなと目指すようになりました。

私が小さかったときに母が病気になり、「病院や先生に生命を救ってもらった。あなたも大きくなったら、医療系の仕事に就いて恩返しをしなさい」と言われて育ってきたので、母から洗脳されていたかのように医師を目指しました(笑)。

横山小学生のときにドラマの「救命病棟24時」を見て、医師になりたいと思いました。

病院の特徴はどのようなものでしょうか。

白子飛騨地域の中心となっている病院です。飛騨地域唯一の三次救急医療機関であるほか、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院、へき地医療拠点病院、地域周産期母子医療センターの指定を受けています。当院がカバーしている主な地域は高山市、飛騨市、下呂市の一部ですが、そもそも高山市は日本一広い市と言われていまして、東京23区よりも大きい面積なんです。そういう広い地域から患者さんがいらっしゃいますが、地域柄、山での災害やクマ外傷といった患者さんも少なくありません。患者さんも高山から外に出ることができないので、バラエティに富んだ症例が集まっています。

初期研修で高山赤十字病院を選ばれたのはどうしてですか。

大学時代の先輩が当院にいたことと主治医制に惹かれたからです。私は産婦人科医になることを既に決めていたので、初期研修でしか内科を診る機会はないから、初期研修では内科をしっかり診ることができる病院を探していました。そこで自分で考えられるようになっておくと、3年目以降に役に立つのではないかと思い、当院を選びました。

横山主治医制と当直に一人で入れるシステムを魅力に感じたからです。

初期研修のプログラムについてはいかがですか。

横山特徴としてはアメリカの病院でも研修できることが挙げられます。高山市はデンバーと姉妹都市なので、当院の2年目の初期研修医はコロラド州立大学で研修ができます。コロナ禍で3年ほど行けなかったのですが、2023年度は再開することになりました。ただ以前ほどの人数は行けないようです。また高山市は外国人の観光客が非常に多く、救急外来などで外国人の患者さんを診察する機会が多いことも特徴です。

プログラムの自由度は高いですか。

白子私は初期研修プログラムの責任者も務めていますが、自由度は高いと思います。内科、外科などの必修の科目に関しては規定に沿った期間を回る必要がありますが、「もう少し外科を回りたい」「眼科や泌尿器科などのマイナー科を回りたい」といった希望があれば、それに沿うようにしてプログラムを組むことができます。

院外の研修先もありますよね。

鳥取赤十字病院のほか、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院、名古屋第二病院とも連携しているので、県外に研修に行くことができます。また地域医療では高山市の5つの国保診療所や飛騨市民病院、白川村国保白川診療所などで研修できます。高山市とデンバー市が姉妹都市なので、デンバーのコロラド大学の研修もあります。

白子先生、林先生、横山先生

白子先生、林先生、横山先生

初期研修にあたって、どのような姿勢を心がけていますか。

横山どの診療科でも、自分から積極的に動くことを心がけています。

初期研修で勉強になっていることはどんなことですか。

横山救急外来を一人で担当するので、短い時間に多くの患者さんを診るための時間配分を工夫したり、患者さんを次々に診ていく力は身につきました。また、内科では主治医制なので、一般的な肺炎や尿路感染などは一人で診る力もつきました。

指導医の先生のご指導はいかがですか。

横山皆さん、とても優しいです。


コメディカルの方々とのコミュニケーションはいかがですか。

横山コミュニュケーションは円滑です。話しやすく、頼みやすいスタッフの方ばかりです。

当院はコメディカルスタッフの方々と連絡を取りやすいので、本当に有り難いです。

ご専門を選ばれたきっかけについて、お話しください。

白子大学卒業後に岐阜大学の第一内科に入局しました。第一内科のメインは消化器ですが、血液のほか、以前は神経や呼吸器も診ていて、私も研修医の頃は血液や神経の患者さんの主治医も務めていました。その後、消化器内科を専門にした理由は内視鏡などができるようになれば、その技術が様々なところで役に立つと思ったからです。それから知っている先輩がその分野に進んでいて、その先輩から誘われたという軽い理由もあります(笑)。

私は学生時代から産婦人科にしようと決めていました。理由は母が婦人科の病気にかかったことが大きかったのですが、医師として働くのであれば、男子のためよりも女子のために働きたかったからです。

高山赤十字病院に来られた経緯をお聞かせください。

白子医局人事です。

私もそうです。

高山赤十字病院でのキャリア

勤務中の横山先生と白子先生

勤務中の横山先生と白子先生

高山赤十字病院での勤務内容をお聞かせください。

白子月曜日と木曜日は外来ですが、そのほかの曜日はほぼ内視鏡検査に入っています。その合間に主治医として、病棟を回診しています。

私は月曜日と水曜日が外来で、火曜日と木曜日が手術日です。手術は朝から16時ぐらいまでかかりますね。金曜日は一応、自由な日ということで、病棟業務などを行っています。

高槻赤十字病院で実現したキャリアはどのようなものですか。

当院で初期研修後は岐阜大学医学部附属病院や岐阜県総合医療センター、岐阜市民病院で後期研修を行い、専門医を取得してから、当院に戻ってきました。当院では日本周産期・新生児医学会の専門医を取るための修練を開始したところです。私が以前、当院に勤務していたときは一番の下っ端で、上の先生方に教えていただくという感じだったのですが、今回、当院に戻ってきたときには後輩を連れてきたので、後輩を教えたいと思いつつ、それができたり、できなかったりという日々です。

これまでの勤務で印象に残っていることはどんなことですか。

白子私が横山先生ぐらいのキャリアの頃のことです。当時はスーパーローテートではなく、最初から消化器内科での研修で、私も主治医を務めていました。それ以降のキャリアの中で患者さんが亡くなることは何度も経験してきましたが、やはり最初に亡くなった患者さんのことはとても印象に残っています。その患者さんに対しては私も主治医として頑張っていたつもりだったのですが、その患者さんが亡くなったあとで、奥様から「夫は先生が来るのを楽しみにしていました。順ちゃんは何時に来るのかなと気にしたり、先生の顔色が悪いと、今日の順ちゃんは疲れていたように見えたなどと言っていましたよ」とお聞きしました。研修医時代の患者さんとは深いお付き合いになりますし、一生の思い出に残るものだと思います。

白子先生がおっしゃるように、私も研修医の頃に初めてターミナルの患者さんを持たせていただいたのですが、その経験はとても記憶に残っています。でも、やはり産婦人科医ですので、赤ちゃんが無事に生まれ、お母さんと赤ちゃんが一緒に帰っていかれるときに「診てもらって、ありがとうございました」という言葉をかけていただくと、そのお一人お一人に有り難さで一杯になりながらお見送りしています。

白子先生は海外での医療にも参加されていますね。

白子当院のほか、名古屋第二赤十字病院にも勤務していたことがあったので、赤十字病院の職員としての救援活動に取り組もうと、海外の医療支援には12回ほど行きました。これは赤十字の要員としての登録後に声がかかることもあれば、自分で手上げして行く場合もあります。支援に行く場合は自分の仕事をほかのスタッフにお願いしないといけないので、必ずしも毎回行けるわけではありません。医療レベルがどうしても低いところに行くので、現地の方々と同じ生活をします。山の中で2カ月ぐらいテント暮らしをしたこともあるし、サバイバルのような生活をしたこともあります(笑)。でも、現地の人たちの文化や考え方を知るのは面白いし、勉強になりますね。それに日本人はアジアでもアフリカでも好かれるんです。「よく来てくれた」と感謝されるのは遣り甲斐になります。

言葉の壁はどのように乗り越えられるのですか。

白子現地の方と話すときは英語と現地の言葉を両方話せる方を通訳として雇うので、問題ありません。通訳の方を通じて、現地の方の病状を知り、診療していきます。

勤務中の林先生

勤務中の林先生

初期研修医の指導にあたって、心がけていることはありますか。

白子初期研修医の自主性を大切に、できるだけ自分で経験してもらうことを心がけています。初期研修医が自分で考えて、自分でやってみて、それをじっと見ながら「あ、これはちょっと難しいな」と思ったら、手を差し伸べるというといい表現ではないかもしれませんが、サポートしています。ぱぱっと上手にできる人もいれば、要領が少し悪い人もいるなど、皆が同じように進んでいかないものですが、2年ぐらい経つと何となく同じようになっていくので、気長に見守っています。

産婦人科は特殊な科なので、初期研修医に任せられる内容が少ないのですが、できる範囲で一緒に進めています。

横山先生は来年度からは専攻医研修ですね。

横山まだ診療科を決めきれず、色々と悩んでいます。

高山赤十字病院の救急はいかがですか。

白子三次救急の病院が近くにありませんので、広い範囲をカバーしていますし、この地域の救急車の搬送件数の3分の2を当院が占めています。救急外来に来られる患者さんの数は年間約12000人、救急車の受け入れは約3700台です。その中でどうしても手に負えない重症な方はドクターヘリを呼んで、岐阜市内の病院に送ることもあります。ほとんどの医師が当院の周辺に住んでいますので、何かあるとすぐに皆で集まって診療できることも特徴ですね。

当直の回数はどのぐらいですか。

白子私は外していただいています(笑)。

産婦人科だけの当番があり、回数は月に7、8回ぐらいです。これは病院に泊まるのではなく、自宅にいて、何かあれば病院に来るというシステムです。その呼び出しも毎回ではなく、2回に1回程度ですね。

横山私は月に4、5回です。内科直の先生1人、外科直の先生1人、管理担当の先生1人に初期研修医1人という体制です。

当直ではどんなことが勉強になりますか。

横山一人で何とかしていかないといけないことです。

同期は何人いらっしゃいますか。

横山8人です。研修医室はなく、上の先生方と同じ医局にいます。男性7人に対し、女性は私だけなので、同期よりは女性の先生方と仲良くさせていただいています(笑)。

仕事とプライベートの両立

横山先生、白子先生、林先生

横山先生、白子先生、林先生

ワーク・ライフ・バランスをどのように心がけていらっしゃいますか。

白子余暇を楽しむようにしています。

オンとオフを切り替えるようにしています。

ご趣味など、プライベートについて、お聞かせください。

白子地域の友人とテニスをしています。

多少は身体を動かしたいと思って、ヨガに通っています。散歩も趣味です。

横山同期といちご狩りやイルミネーションを見に行ったり、富山に買い物に行ったりしています。

  • 白子先生の1日のスケジュール
  • 林先生の1日のスケジュール
  • 横山先生の1日のスケジュール

高山赤十字病院の
働きやすさ・福利厚生

横山先生、白子先生、林先生

横山先生、白子先生、林先生

育児短時間勤務制度を使われている先生方は多いですか。

白子かつては何人かいましたが、今は一人です。

院内保育所も完備されていますよね。

白子病院から徒歩5分ほどのところに「さくらっこ」という託児所があります。2カ月から3歳までのお子さんを預けられます。

病児保育所もありますか。

白子病児保育所はありません。

女性医師の会のようなものはありますか。

白子コロナ禍になる前はありましたが、コロナ禍になってからは食事会のような集まりは全て中止になりました。それまでは当院だけではなく、地域で開業されている先生方や高山厚生病院の先生方にもお集まりいただいて、講演会をしたり、意見交換会や食事会をしていました。多いときには30人ぐらいの女性医師が集まっていましたよ。

福利厚生についてはいかがですか。

白子以前はソフトボール大会やボウリング大会、互助会の旅行など、色々なイベントがありました。

新年会もありましたね。病院全体の新年会でしたので、大きな規模で開かれていました。

横山初期研修医の休みやすさは回っている診療科によります。当直した次の日は半日休みなのが有り難いです。

お住まいは寮ですか。

横山以前は寮に住んでいたのですが、今は病院の近くに物件を借り、一人暮らしをしています。

直撃! Q&A

初期研修での人気の秘密は?

横山先生 岐阜県内で唯一の主治医制の臨床研修病院であることと当直に初期研修医が一人で入れることが人気の秘密だと思います。

病院に改善してほしいことはありますか。

横山先生 建物が古くなってきているので、新しくしてほしいです(笑)。

メッセージ動画

病院アピール

概要

  • 病院外観
  • 名称高山赤十字病院
    所在地〒506-8550 岐阜県高山市天満町3丁目11番地
    電話番号0577-32-1111
    開設年月明治32年1月10日
    院長竹中 勝信
    休診日土曜日・日曜日・祝日
    5月1日(日本赤十字社創立記念日)
    12月29日~1月3日(年末年始)
    病床数394床

診療体制

診療科目・部門

内科、消化器科、呼吸器科、循環器科、整形外科、外科、脳神経外科、泌尿器科、小児科、産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科、心療内科、皮膚科、放射線科、リハビリテーション科、麻酔科、歯科口腔外科
看護部、薬剤部、検査部、放射線科部、栄養課、健康相談室

認定・指定一覧

    • 臨床研修指定病院(医科・歯科)
    • 外国医師臨床修練指定病院(医科・歯科)
    • 地域医療研修センター
    • 日本内科学会 教育関連病院
    • 日本糖尿病学会 認定教育施設Ⅰ
    • 日本肝臓学会 関連病院
    • 日本消化器病学会 認定施設
    • 日本消化器内視鏡学会 指導連携施設
    • 日本血液学会 認定血液研修施設
    • 日本血液学会 専門研修教育施設
    • 日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医制度認定教育施設
    • 一般社団法人national clinical database NCD認定施設
    • 日本臨床腫瘍学会 認定研修施設(連携施設)
    • 日本緩和医療学会 研修施設
    • 日本呼吸器学会 特定地域関連施設
    • 日本病院総合診療医学会 認定施設
    • 日本整形外科学会 専門医制度研修施設
    • 日本外科学会 専門医制度修練施設
    • 日本消化器外科学会 専門医修練施設
    • 日本乳癌学会 専門医制度関連施設
    • 日本がん治療認定医機構 認定研修施設
    • 日本脳神経外科学会 専門研修プログラム連携施設
    • 日本脳卒中学会 専門医認定制度研修教育病院
    • 日本脳卒中学会 一次脳卒中センター(PSC)認定施設
    • 日本泌尿器科学会 専門医教育施設
    • 日本小児科学会 専門医研修施設
    • 日本周産期・新生児医学会 新生児認定補完施設
    • 日本産科婦人科学会 専門医制度専攻医指導施設(連携型)
    • 日本産科婦人科内視鏡学会 認定研修施設
    • 日本周産期・新生児医学会 周産期専門医(母体・胎児)暫定認定施設
    • 日本耳鼻咽喉科学会 専門医研修施設
    • 日本眼科学会 専門医制度研修施設
    • 日本皮膚科学会 認定専門医研修施設
    • 日本救急医学会 救急科専門医指定施設
    • 日本病理学会 研修登録施設
    • 日本輸血・細胞治療学会 (I&A制度)認定施設
    • 日本リハビリテーション医学会 研修施設
    • 日本放射線学会 専門医修練機関(画像・IVR)
    • 日本乳がん検診制度管理中央機構 マンモグラフィ検診施設画像認定(A判定)
    • 日本薬剤師研修センター 研修受け入れ施設
    • 日本静脈経腸栄養学会 NST稼働施設
    • 日本口腔外科学会 準研修施設

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