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    初期研修インタビュー 2026-07-01

    金沢赤十字病院(石川県) 指導医(初期研修) 荒井邦明先生 (2026年)

    金沢赤十字病院(石川県) の指導医、荒井邦明先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2026年に収録したものです。

    金沢赤十字病院

    〒921-8162
    石川県金沢市三馬2-251
    TEL:076-242-8131
    FAX:076-243-7552
    病院URL:https://kanazawa-rc-hosp.jp/

    先生の顔写真
    名前
    荒井(あらい)邦明(くにあき)先生
    役職
    第一消化器科部長、教育研修推進室長、副院長、指導医
    経歴
    1972年 石川県七尾市で生まれる。
    1997年 京都大学を卒業後、金沢大学大学院に入学する。
    2002年 金沢大学大学院を修了する。
         大学院修了後は金沢大学附属病院第一内科(現 消化器内科)などに勤務する。
    2009年 金沢大学附属病院消化器内科特任助教
    2010年 金沢大学附属病院消化器内科助教に就任する。
    2014年 金沢大学医薬保健研究域医学系助教に就任し、
         2014年から2015年まで世界保健機関エイズ部肝炎プログラムに医官として出向する。
    2016年 金沢大学附属病院消化器内科助教に就任
    2018年 金沢大学附属病院消化器内科講師に就任する。
    2024年 金沢赤十字病院に第一消化器科部長、教育研修推進室長、副院長として、着任する。
    専門分野
    消化器科
    専門医資格
    • 日本内科学会認定医
    • 総合内科専門医
    • 日本消化器病学会専門医・指導医
    • 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
    • 日本肝臓学会専門医・指導医
    • 日本がん治療認定医療機構認定医など

    金沢赤十字病院の特徴をお聞かせください。

    石川県内で三次救急を担う金沢大学附属病院や石川県立中央病院とは役割が異なり、当院は地域の二次救急を中心に担う中規模病院です。地域のクリニックや医療介護施設から患者さんをご紹介いただくほか、地域の救急隊とも連携しながら診療にあたっています。主に日常診療で頻繁に遭遇する病態の患者さんを受け入れ、より高度で専門的な治療が必要な場合には、高次医療機関と協力して対応しています。また、当院は日本赤十字社のグループ病院であり、赤十字病院としての使命を担っている点も、他の病院とは異なる特徴だと考えています。

    赤十字病院の使命というのは災害救護などですか。

    赤十字病院の使命として、多くの方がまず思い浮かべるのは災害救護だと思います。能登半島地震の際には、当院が赤十字病院グループの拠点病院として災害派遣に関わりました。また、全国各地で災害が発生した場合には、赤十字病院グループの一員として当院の職員が派遣されることもあります。研修の面では、赤十字病院グループとして実施している災害訓練に触れられるほか、初期研修医の希望があれば、後方支援などの役割を通じて実際の災害医療に関わる機会も作れます。さらに、赤十字病院グループ全体で初期研修医を育成する仕組みがいくつかあり、当院でもそれらを最大限に活用しながら研修を行っています。

    荒井先生がいらっしゃる消化器科の特徴をお聞かせください。

    当院の消化器科は、病院規模に比べて消化器内科・消化器外科ともに充実した診療体制を整えています。ロボット手術のような高度な手術設備はありませんが、消化器領域で一般的に想定される標準的な検査や治療には幅広く対応しています。初期研修医が消化器内科でイメージしやすい内視鏡検査・治療についても、ほとんどの検査・治療を実施しており、研修医が経験できる機会もあります。一方で、当院には地域包括ケア病棟があるため、急性期の診療だけで終わるのではなく、患者さんがご自宅や地域の施設へ戻るまでを支える医療にも関わることができます。例えば、緩和ケアが必要になった患者さんを、時間をかけて丁寧に診る体制もあります。基幹病院では急性期を終えると後方支援病院に引き継ぐことが多く、私自身も大学病院勤務時代にはそうした連携に多く助けていただきました。当院では、初期研修医が急性期医療に加え、その後の生活を見据えた医療や緩和医療にも触れられる点が特徴です。

    金沢赤十字病院の初期研修プログラムで学べる特徴について、ご紹介くださいますか。

    初期研修プログラムは厚生労働省の規定に基づいて実施する必要がありますが、定められた必修期間以外については、研修医一人ひとりの希望を聞きながら、できる限り柔軟に対応しています。また、当院に基幹型で入った研修医でも、連携先である金沢大学附属病院、金沢医科大学病院、石川県立中央病院で、いわゆる「逆たすきがけ」による研修を行うことができます。例えば救急では、当院は二次救急が中心となるため、2年間のうちに三次救急も経験したいという希望があれば、これらの3病院に加え、石川県内の三次救急病院である公立松任石川中央病院や公立能登総合病院で1カ月研修することも可能です。

    先生の近影

    連携先が豊富なのですね。

    例えば、外科志望の研修医であれば、基本的な手技を当院で学んだうえで、より高度な内容を経験するために石川県立中央病院でも研修を受けた研修医もいます。また、病理的な視点から診断をさらに深く学びたいと希望し、金沢大学附属病院で研修した研修医もいました。このように、当院だけでは経験しにくい分野や、より専門性の高い内容を学びたいというニーズにも可能な限り対応しています。さらに、赤十字病院グループとしての研修体制も活用できます。例えば、ドクターヘリを運用している秋田赤十字病院や日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院で、緊張感のある高度救急を経験した研修医もいます。

    ほかに特徴はありますか。

    当院は比較的コンパクトな規模で、研修医数も限られているため、メディカルスタッフも研修医一人ひとりの顔を覚えています。研修医も半年ほど勤務すればスタッフの顔が分かるようになり、顔の見える関係の中で手技の機会が回ってきやすく、さまざまな経験を積める点が大きなメリットです。また、少人数だからこそ、指導医も各研修医が経験した手技や症例を把握しやすくなります。未経験の手技があれば、研修期間を越えても経験してもらうなど、きめ細やかな対応を心がけています。

    自由度の高さについてはいかがですか。

    自由度は高いと思います。研修医から具体的な希望があればできる限り反映し、進め方に迷う場合にはこちらから複数の選択肢を提示して、一緒に決めていくようにしています。個々の進路に合わせた研修設計ができるため、総合診療志向の研修医にも、専門性を深めたい研修医にも対応できます。

    初期研修医へのサポート体制について、お聞かせください。

    当院の医師による研修医向けレクチャーに加え、赤十字病院グループならではのサポート体制もあります。全国の赤十字病院の研修医を対象に、各分野で活躍する先生方が講義を行う仕組みがあり、当院の研修医も積極的に受講できます。また、当院では月に1回、臨床工学技士によるセミナーも実施しています。人工呼吸器、透析、IABPなどの医療機器について学ぶ内容で、研修医も参加し、実際に機器に触れながら理解を深めることができます。

    先生の近影

    先生はどのような教育をされているのですか。

    毎月1回、研修医全員に集まってもらい、その月に担当した症例を発表する機会を設けています。発表後には、「この患者さんにはどのように対応すべきだったか」「同じような患者さんを次に診るとき、どのように診療を進めるとよいか」を振り返ります。レポートの書き方にはさまざまな方法がありますが、内科を目指す研修医には、内科専門医取得時に用いるJ-OSLERの形式に準じて作成してもらっています。毎月このような発表会を行うことで、2年間経験した症例のレポートが自然に蓄積され、その一部は専門医取得の際にも活用できます。初期研修の段階からレポートを書く訓練を重ねることで、研修の成長を実感できるようになると考えています。

    指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

    今の時代に合った指導へ少しずつ変えていくことを心がけています。私たちが受けてきた指導環境や方法と、現在の研修医が求めるものは大きく異なります。以前の厳しい指導にも学びにつながる面はありましたが、今は同じやり方が通用する時代ではありません。時代に合わせて指導法を更新しながらも、医師として大切な姿勢や最低限身につけるべき力は守り、研修医をできるだけ成長へ導きたいと考えています。

    最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

    最近の研修医を見ていると、コミュニケーション能力の高さや、新しい取り組みを吸収する力に感心します。スーパーローテートでは1-2カ月ごとに診療科が替わるため、新しい環境に次々と適応しなければならない大変さがあります。それでも、研修医たちは良好なコミュニケーションを取りながら、学び方も柔軟に取り入れています。特にAIの活用などは、私たちより先に進んでいる面もあるかもしれません。私自身も研修医とともに学び、常にアップデートしていく必要があると感じています。そう気づかせてくれる点も、現在の臨床研修制度の意義の一つだと思います。

    先生の近影

    研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

    医療は専門職であると同時に、患者さんやご家族との信頼関係が非常に重要な仕事です。そのため、知識や手技を身につけることはもちろん、丁寧なコミュニケーションや接遇も欠かせません。どれだけ知識が豊富で手技に優れていても、患者さんへの対応が不十分であれば厳しく評価される時代です。研修医には、ハラスメントへの配慮も含め、医療者として信頼される姿勢を常に意識してほしいと伝えています。

    現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

    現在の臨床研修制度には、多くの良い面があると感じています。私の研修医時代は内科の各分野を回りましたが、外科、産婦人科、小児科を実際にローテートする機会はなく、現場を少し離れたところから見ている程度でした。現在のスーパーローテート制度では、各科を回っただけでその分野の専門家になれるわけではありませんが、少なくとも最低限対応すべきことを理解する力は身につくと思います。また、将来別の分野を専門にしたとしても、他科へ相談する際に、どのように伝えれば適切なコンサルトになるかを理解しやすくなります。初期研修医の皆さんには、この制度の利点を活かしながら、専門医になったときに自分がどのように診療していくのかを、2年間で考えてほしいと思います。

    これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

    連載: 初期研修インタビュー

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