初期研修インタビュー

2024-02-01

新行橋病院(福岡県) 指導医(初期研修) 原田修治先生 (2024年)

新行橋病院(福岡県) の指導医、原田修治先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2024年に収録したものです。

社会医療法人財団 池友会 新行橋病院

〒824-0026
福岡県行橋市道場寺1411
TEL:0930-24-8899
FAX:0930-22-0659
病院URL:http://www.shinyukuhashihospital.or.jp//

原田先生の近影

名前 原田 修治
副院長/泌尿器科 主任部長 指導医

職歴経歴 1970年に福岡県古賀市に生まれる。1995年に産業医科大学を卒業し、産業医科大学病院、及び福島労災病院で初期研修を行う。1998年に国立病院機構・九州がんセンター、1999年に産業医科大学病院に戻り後期研修を行う。九州労災病院に勤務後、産業医科大学にて学位を取得。2006年から新行橋病院に勤務する。
資格 医学博士、日本泌尿器科学会専門医、日本泌尿器科学会指導医、ICD(インフェクションコントロールドクター)、産業医科大学医学部 非常勤講師

新行橋病院の特徴をお聞かせください。

 新行橋病院は、福岡県東部の京築地域にある総合病院です。北九州市や大分県中津市など、周辺地域からも多くの救急患者を受け入れており、年間約4,000件の救急搬送に対応しています。
行橋市を中心とした周辺人口は約30万人ですが、当院は、公立病院がないこの地域の中核病院として、高度な医療を提供するとともに、救急医療にも力を入れています。24時間365日、救急を断らないことが当院のモットーです。

原田先生がいらっしゃる泌尿器科の特徴もお願いします。

 当院の泌尿器科は、以前は一人体制だったものが、私が着任して部長となってからは、症例を増やして、若手の熱心な先生と二人三脚で診療を行ってきました。其の甲斐あって、現在は、中堅や若手を含む3人の先生方と共に、診療にあたっています。4月からはもう1人の先生が加わり、4人体制になることが決定しております。これは、当院の泌尿器科の症例数が非常に増えたことによるものです。
特徴は、この地域でも特に高度な手術を行うことができる点です。泌尿器科に関するあらゆる治療を、当院で完結できるようにしています。がんの治療以外にも、腎臓や膀胱前立腺などの一般的な手術のほか、土地柄からか、結石の破砕治療や内視鏡手術などにも力をいれています。さらに、透析センターも泌尿器科が運営しており、約100名の透析患者に対応しています。
昨年からは、最先端のロボット手術システム「ダ・ヴィンチ」を導入し、前立腺分野におけるより安全で精密な手術を提供できるようになりました。今まさにスタート段階ですが、お陰様でこれまでは、他院へ紹介せざるを得ない方々にも、安心して当院での手術をご案内できるようになりました。現在は2ヵ月先まで予約で埋まっている状況です。

原田先生の写真

新行橋病院の初期研修プログラムで学べる特徴について、ご紹介くださいますか。

 主な特徴は、研修医の2年目の自由度がかなり高いということです。もちろん、1年目の間は決められたプログラムがあります。それを交代しながら回ることは、どこの施設でもほぼ変わりません。しかし、2年目になると、自分の興味や進路に合わせて、柔軟に研修を組むことができます。

プログラムの自由度について具体的に教えてください。

 例えば、泌尿器科をやりたいと思えば、4~5ヶ月ぐらいは泌尿器科を回ることもできます。もちろん、ある程度決まった部分もありますので、1年間全部ということはできませんが、自分の希望を最大限に反映させることができます。
もう一つは、関連病院での研修が可能であるということです。我々の施設は、福岡和白病院や新小文字病院など、いくつかの病院と提携しています。最近では、東京品川病院や埼玉の新久喜総合病院とも連携しています。研修医が希望すれば、もちろん調整次第で、関東エリアで研修期間の一部が受けられます。

初期研修医の人数はどの何人ですか。

 現在は2学年合わせて12名です。

最近の研修医をご覧になって、いかがですか。

 落ち着いているといった印象ですね。コロナの影響もあって、研修医の先生方との交流がなかなかできない状況が続いていましたが、最近は感染対策をしっかりと行いながら、飲み会などの親睦会を開催することができるようになりました。これにより、若い先生方も、自分の能力や個性を存分に発揮してくれています。 私たちも、研修医の先生方と仲良くできる機会が増えて嬉しいです。以前はマスク越しで必要最低限の会話しかできませんでしたが、今はもっと気軽に話せるようになりましたね。

初期研修医の指導にあたって、心がけておられることをお聞かせください。

 やはり救急対応が、研修医の重要な役割です。そのため、救急医や救急専門医が研修医を教えてくれますが、他の科の先生も協力してくれます。
例えば、胸膜ドレーンを入れるときは、呼吸器外科の先生が教えてくれたり、一般内科の患者さんは総合診療科の先生が教えてくれたりします。救急の患者さんには、研修医が最初に診察して、必要な処置をします。点滴や手技も、指導医の見守りのもとで、研修医ができるだけやります。
ただ見ているだけではなく、実際にやってみることが大切です。また、救急には当直が多いですが、研修医は上級医と一緒に対応します。一人で困ることはありません。チームで対応して学んでいただきます。

各科の先生方とも垣根のない研修ですね。

 そうですね。救急医療において、他の科との連携を大切にしています。毎朝、救急医を中心に、前日の救急患者の画像や処置について話し合うミニカンファレンスを行っています。また、週に2回は、脳梗塞などの重症な症例を全体で共有する救急カンファレンスを開催しています。これらの研修は、自分が経験できなかった症例も学ぶことができるので、とても有意義です。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。

 印象に残っているのは、元気で活発な研修医たちですね。例えば、夜遅くまで飲みにいった翌朝、ぼんやりしたまま遅刻など!元気ですね。
今は活動自粛が続いていますが、当院の野球部やクラブ活動にも熱心に参加している研修医が、野球に力を入れすぎて、疲労困憊の中で研鑽を積むといった感じなど(笑)。そんな子たちほど、公私ともに快活に研修生活を行えているとも感じます。元気が一番です。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

 私は、医師になってからずっと泌尿器科医です。私が研修した頃は、自分の出身大学かその関連病院でしか研修できませんでした。それが基本でした。しかし、今は違います。研修先を自分で選べるようになりました。自分に合ったプログラムを探せます。これは非常にいいことだと思います。
現在の仕組みでは、1年目からいろいろなことを学びます。2年目の最後まで医療に貢献します。そして、自分がどうなりたいか、どこで働きたいかを決めます。これは素晴らしいことです。この2年間の臨床を通して、その後の人生の選択肢の可能性は広がっていくことでしょう。

新専門医制度についてのご意見もお願いします。

 専攻医制度とは、医師の専門性を高めるために始まった新しい制度です。以前は、各学会独自の基準で専門医を認定していましたが、それでは専門医の質に差が出てしまうという問題点の是正(例えば、泌尿器科では合格率が高かったのに、他の科では低かったなど)するため、第三者機関での専門医の研修プログラムや認定基準を統一することになったと記憶してます。新制度での医師は、一定の基幹病院で専門研修を受けなければなりません。これは、医師のレベルを均一化することが目的でしょうか、欠点も感じます。大学病院や都市部の病院に医師が集中してしまい、地域の中核病院や中小病院には医師が不足してしまうのです。
日本専門医機構は、シーリング制度という方法で、地域医療の偏在を防ごうとしていますが、この制度も完璧ではなく、地域の中核病院は医師の確保が難しく、潰れてしまうところもあります。地域の医療にとって、専攻医制度のメリットはあまり感じられません。また、研修医は自分の希望する科目に研修できないということになるかもしれません。専攻医制度は、医師のキャリアやライフプランに大きな影響を与える制度です。なかなか難しい課題が多いと感じます。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

 皆さんこんにちは新行橋病院の原田です。泌尿器科をやっております。新行橋病院の特徴は、福岡県の東部地域、京築地域に位置しておりまして、この地域の救急、24時間365日で断らない医療、断らない救急をモットーに地域医療に取り組んでおります。

年間の救急搬送件数は4000台以上で、いろんな症例が診れる、1次救急から3次救急まで全ての救急を断らずにまずは診る。当院で見れない疾患もどうしてもありますが、そこは紹介をします。“必ず断らずに診る”これをモットーにやっています。
研修医の先生たちには、救急医療を中心に携わってもらい、また希望する診療科があれば、2年目以降はかなり自由にその科目を選択するのもよし、また、将来選択しないかを変えて回るのもよし、っていうところもありますかなり自由に選択できると思います。
もう一つの特徴としては、関連病院が非常に多く、福岡県内だけでも四つの病院がありますし、関東にも病院を所有しています。そういった病院での研修も調整さえつけば可能です。
研修医の先生方の希望に寄り添ったプログラムを受けていただけるのではないか、と考えております。
何よりも、先生たちには、ただ見ているだけとか、聞いているだけとか、そういう研修ではなく、何事も、とにかく手技を覚えていくと、もちろん勉強をしていただきますけれども、何にでもいろんな手技、例えば気管内挿管や、中心静脈チューブなど、いろんな処置に研修の先生たちに携わっていただくと、そのために指導医が必ずサポートしていくという体制を目指しております。是非新行橋病院で、一緒に働きましょう。

【動画】原田先生

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