国試オンライン過去問演習

2024-01-12

国試オンライン過去問演習 112A73

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112A73
53歳の男性。3か月前から持続する上腹部痛を主訴に来院した。25歳ごろからアルコールを多飲している。上腹部に圧痛を認める。血液生化学所見:総ビリルビン1.0mg/dL、AST 84U/L、ALT 53U/L、ALP 258U/L(基準115~359)、γーGTP 110U/L(基準8~50)、アミラーゼ215U/L(基準37~160)、空腹時血糖278mg/dL,HbA1c 9.6%(基準4.6~6.2),CA19-9 32U/mL(基準37以下)。腹部CT(A)とMRCP(B)とを別に示す。
この患者への指導として適切なのはどれか。2つ選べ。


(A)
(B)
答え
不正解

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アルコール多飲者の上腹部痛、背部痛は慢性膵炎を考える。アミラーゼ高値、糖尿病の存在などから慢性膵炎を疑う。腹部CTで膵石、膵管拡張、膵萎縮を、MRCPで膵管の拡張を認めることから慢性膵炎と診断できる。

a 長期のアルコール多飲は膵実質や膵液に影響を与え慢性膵炎を引き起こすので、代償期や非代償期にかかわらず禁酒は絶対であり、慢性膵炎の治療の基本となる。よってaが一つ目の正解となる。

b 心不全や腎不全による浮腫などはないため、水分制限の必要はない。むしろコントロール不良の糖尿病があるため水制限はよくないと考えられる。

c 脂肪を含む食事は、アルコールの長期多飲などで線維化し、炎症が起こっている膵実質に負担をかける(膵液の分泌など)ため、低脂肪食(30~35g/日)とする。(アミラーゼ軽度上昇のため代償期の急性増悪と考えられる。急性膵炎の治療の一つが絶食であったことを思い出そう。) よってcが2つ目の正解となる。

d 急性膵炎の治療を思い出してほしい。蛋白分解酵素阻害薬(ガベキサートメシル酸塩)を投与する。つまり蛋白はなくては困るのである。蛋白制限食は、G3a(GFR45~59)以降の慢性腎不全で行う。

e コントロール不良の糖尿病があるため、エネルギーはむしろ制限すべきだし、代償期・非代償期を通して過食を避けるのが慢性膵炎の治療の基本である。

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