国試対策

2024-04-15

膠原病 ~症候群キーワード~

まずは医師免許取得!症例や問題を取り上げ、傾向と対策を分かりやすく説明しています。

みなさん国家試験の勉強は進んでいますでしょうか。免疫や膠原病の範囲は覚えることも多くて大変ですよね。今回は代表的な膠原病のキーワードを疾患ごとにまとめてみました。勉強でまとめるときの参考にして頂ければ幸いです。それではいきましょう。

1.関節リウマチ

滑膜

病態のキーワード

中年女性

好発の年齢、性別

朝のこわばり

自覚する関節症状

DIP関節の関節炎

関節リウマチでは評価しない。

抗CCP抗体

早期に出現し、関節リウマチに特異度が高い。

DMARD

中心的治療薬(メトトレキサート、生物学的製剤など)

TNF-α、IL-6

治療標的となるサイトカイン

例題(112F42)

65歳の男性。糖尿病の教育入院中である。退院予定日の午前4時に突然の前胸部痛を自覚し,30分程度我慢したが症状が持続するため,病棟スタッフに訴えた。これまでに同様の症状を自覚したことはない。
60歳時から糖尿病に対し経口糖尿病薬で治療中である。家族歴に特記すべきことはない。(一部抜粋)


a IL-4
b IL-5
c IL-6
d TGF-β
e TNF-α

答えはc、eですね。

2.全身性エリテマトーデス

妊娠

SLE活動期の妊娠は、疾患の増悪につながることがある。

蝶形紅斑、円板状皮疹、光線過敏

皮膚症状

関節炎

非変形性

腎障害

ループス腎炎

NPSLE

中枢神経ループス(CNSループス)が予後に関わる。

貧血

汎血球減少

抗核抗体

95%に認められ、抗dsDNA抗体や抗Sm抗体はSLEに特異的

補体低下

例題(112F56、問題部分省略)

28歳の女性。発熱、手指の関節痛および皮疹を主訴に来院した。2か月前から両手指の関節痛を自覚し、2週間前から頰部に円板状の皮疹が出現するようになったため受診した。
体温38.3℃。脈拍84/分、整。血圧120/80mmHg。呼吸数18/分。両手関節の腫脹と圧痛とを認める。
尿所見:蛋白(―)、潜血(―)。血液所見:Hb 11.1g/dL、白血球3,000(好中球70%、単球4%、リンパ球26%)、血小板11万。
血液生化学所見:尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.2mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体1,280倍(基準20以下)、
抗dsDNA抗体84IU/mL(基準12以下)、CH50 12U/mL(基準30〜40)、C3 33mg/dL(基準52〜112)、C4 7mg/dL(基準16〜51)。

上記のキーワードより全身性エリテマトーデスと診断できます。問題部分も解いておいてくださいね。

3.全身性強皮症

Raynoud現象

手指の皮膚硬化、指尖潰瘍

皮膚症状

嚥下障害、GERD

消化器症状

肺高血圧症、間質性肺炎

肺症状

腎クリーゼ

ACE阻害薬で治療

抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体、抗RNAポリメラーゼ抗体

例題(113A17、問題部分省略)

29歳の女性。頭痛を主訴に来院した。2年前に手指の腫脹、皮膚硬化を自覚し、自宅近くの医療機関で精査を受けた結果、全身性強皮症と診断された。
プレドニゾロン20mg/日を開始され、手指の腫脹と硬化は軽快した。プレドニゾロンは漸減され、5mg/日で維持されていたが、3か月前に皮膚硬化の増悪を認めたため、10mg/日に増量されていた。
昨日から頭痛を自覚したため受診した。体温36.7℃。脈拍72/分、整。血圧172/108mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
圧痛を認めない。両手指、前腕部および前胸部に皮膚硬化を認める。
下腿に浮腫を認めない。血液所見:赤血球343万、Hb 10.5g/dL、Ht 32%、白血球11,200(桿状核好中球32%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球0%、単球5%、リンパ球17%)、血小板43万。
血液生化学所見:尿素窒素45mg/dL、クレアチニン1.5mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 108mEq/L。抗RNAポリメラーゼIII抗体陽性。
すでに全身性強皮症と診断されているが、腎機能低下がみられ、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体が陽性であることより腎クリーゼの発症が考えられます。(血圧が高くなっている)

さていかがでしたでしょうか。膠原病の問題では診断からその先の治療までを問われるようになってきています。キーワードをおさえて正しく診断し、その上で治療についても教科書や講義実習などで理解を深めていってください。今日はこの辺にいたしましょう。コラムを読んでいただき有難うございました。

時間に余裕のある方は参考資料として

全身性強皮症の病態と治療
を読んでおいておきましょう。

著者プロフィール

ペンネーム:まる
プロフィール:近畿一円をまたにかけ、
ある時はクリニックで総合内科診療を、ある時は上場企業で産業医を、また様々な会社の健康診断の診察医も務めている。
日々の診療を行いながら、CES医師国家試験予備校で、「気づきのあるインプットと自力のアウトプットがある授業」
をモットーとして学生の指導に当たっている。僕のコラムが何らかの形で皆様の力になれば幸いです。一緒に頑張りましょう!

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