a 胸膜炎は発熱などの感染症状が先行することが多く、胸痛の呼吸性変動をきたしやすい。また、体温も36.5℃と感染症にかかっているとは考えづらい。
b 心電図のⅡ、Ⅲ、aVF誘導でST上昇がみられ、急性心筋梗塞を強く疑う。
STEMIとして初期対応を行い、早期のPCIなどの再灌流療法につなげる。この際、血液検査の結果を待たずして再灌流療法を検討するが、確定診断のためにトロポニンT上昇を確認する。よってbが正解となる。
c バイタルチェックでも心電図でも脈拍数、心拍数は100以下であることより、上室性頻拍は考えにくい。症状や主訴も動悸(頻拍感)が中心になることが多い。
d 肺血栓塞栓症では、胸痛が主訴となりうる。手術後や長期臥床、長期のフライトなどの後の起立や歩行で、突然の呼吸困難や頻呼吸、SpO2低下などをきたす。動脈血ガス分析で、低酸素血症、I型呼吸不全、呼吸性アルカローシスを示し、A-aDO2は開大する。心電図ではV1~V3のT波陰転化がみられることが多い。(典型的とされるSⅠQⅢTⅢの頻度は多くない)。
e 完全房室ブロックでは、めまい、失神などの主訴が考えられる。P波とQRS波が独立したリズムで出現する。ペースメーカーの適応がある。