国試対策

2023-07-19

白血病の診断療法について

まずは医師免許取得!症例や問題を取り上げ、傾向と対策を分かりやすく説明しています。

みなさん今回のテーマは血液のがんといわれる白血病についてです。
白血病はざっくり分けると急性白血病と慢性白血病に分かれます。
(少し厳密ではないですが、、、)そして急性白血病は、
急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病に分けられ(ペルオキシダーゼ染色が大事でしたね!)、
慢性白血病には慢性骨髄性白血病や慢性リンパ性白血病などがあります。
言っておいてなんですが、慢性白血病という用語は正確な医学用語ではないので、しっかり勉強して、
使わなくても知識を整理できるようにしましょう。ただし、急性もしくは慢性か、
骨髄性かリンパ性かという考え方は非常に大事です。
ちなみに骨髄性、リンパ性がどのような細胞を指しているかは国家試験に向けてがんばっているみなさんなら大丈夫ですよね?
答えはあえて言いません。(笑) 不安な方は教科書などを見直してみてください。
話を元に戻すと今回は急性白血病の診断治療の中でも、特に国家試験によく出る急性前骨髄性白血病(M3)について勉強していきたいと思います。Let’s start!

まず急性前骨髄性白血病(APL)は、急性骨髄性白血病(AML)のうち、
特殊な染色体転座t (15 ; 17 )のため、前骨髄球が骨髄球以降に分化できず、
前骨髄球が増殖してしまう疾患です。AMLの10~15%くらいを占めます。ここで早速ですが、問題です。

問題1 急性前骨髄性白血病でみられる遺伝子異常はどれか。

a  t ( 8 ; 21 )  b  t ( 15 ; 17 )  c  t ( 9 ; 22 ) d  t ( 8 ; 14 ) e  inv ( 16 )

解説
aの t ( 8 ; 21 )は M2でみられることがあります。
b のt ( 15 ; 17 )はM3(急性前骨髄性白血病)でみられます。
これが正解です。c のt ( 9 ; 22 )は、L1やL2でときにみられます。
d の t ( 8 ; 14 )は、L3にみられます。eの inv ( 16 )は、好酸球増加を伴うM4にみられます。
略語がピンと来ない方はFAB分類を教科書などで復習しましょう。大事ですよ~。

それでは続いてAPLの診断です。いきなり写真です。
(第97回医師国家試験A34)骨髄塗抹(May-Giemsa染色)にて、アズール顆粒やAuer小体、faggot(Auer小体の束)がみられます。

骨髄塗抹

汎血球減少の症状(貧血、易感染性、出血傾向)、汎血球減少の検査値(赤血球、白血球、血小板低下)、
ペルオキシダーゼ染色陽性、染色体検査でt ( 15 ; 17 )が証明されると、
急性前骨髄性白血病(APL)と診断されます。DICを高率に合併します。

最後にAPLの治療ですが、オールトランス型レチノイン酸(ATRA)による分化誘導療法を行います。
ビタミンA誘導体はATRAの別名になります。ATRAによってAPL細胞を成熟した好中球に分化させることで、
通常の好中球と同じように数日で寿命を迎えさせ、アポトーシスに至らせます。
急激な細胞崩壊を伴わずに腫瘍細胞を死滅させることができるため、通常の化学療法よりDICの症状が軽くなります。
APLはDICが一番怖いですからね、、、。
国家試験の過去問を解いて締めといたしましょう。


問題番号 112A16

50歳の女性。全身の皮下出血と鼻出血とを主訴に来院した。特に誘引なく右肩の紫斑が出現した。
その後大腿や下腿にも紫斑が出現し、今朝から鼻出血が止まらないため受診した。
5年前に乳癌に対して手術と抗癌化学療法とを受けた。血液所見:赤血球278万、
Hb 8.8g/dL、Ht 25%、白血球700、血小板5.1万、PT-INR 1.2(基準0.9〜1.1)、
APTT 30.6秒(基準対照32.2)、血漿フィブリノゲン74mg/dL(基準200〜400)、血清FDP 110μg/mL(基準10以下)、
Dダイマー9.6μg/mL(基準1.0以下)。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。 この患者に対する治療薬として適切なのはどれか。

a 抗エストロゲン薬
b 全トランス型レチノイン酸
c トラネキサム酸
d ドセタキセル
e へパリン

図2

出血傾向があり、血液所見から汎血球減少があることがわかります。
ペルオキシダーゼ染色や染色体検査の結果はありませんが、アズール顆粒、
Auer小体(少しわかりにくいですが)など特徴的な骨髄塗抹標本の所見から急性前骨髄性白血病(APL)と診断されます。
では各選択肢をみていきましょう。

a 抗エストロゲン薬は乳癌の治療薬です。
bのATRAがAPLの分化誘導治療薬です。よってbが正解となります。
ATRAそのものにDICを抑える作用があります。
c APLのDICは線溶亢進型のため、トラネキサム酸を投与することで全身に血栓が生じる可能性があり、
特にAPLをATRAで治療しているときは、APLの線溶活性化が抑制されているため、より危険で禁忌と考えられます。
dのドセタキセルは乳癌や非小細胞肺癌に用いられます。
eヘパリンはかえって出血傾向が亢進するため、これも禁忌と考えられます。
これを機会にDICについてもしっかりと学習しておきましょう。APLは国家試験頻出ですので今回の学習をきっかけとして是非おさえるようにしてください!

本記事執筆の参考資料は

日本内科学会雑誌第107巻第7号 (jst.go.jp) をご覧ください。

著者プロフィール

ペンネーム:まる
プロフィール:近畿一円をまたにかけ、
ある時はクリニックで総合内科診療を、ある時は上場企業で産業医を、また様々な会社の健康診断の診察医も務めている。
日々の診療を行いながら、CES医師国家試験予備校で、「気づきのあるインプットと自力のアウトプットがある授業」
をモットーとして学生の指導に当たっている。僕のコラムが何らかの形で皆様の力になれば幸いです。一緒に頑張りましょう!