後期研修医インタビュー

熊本赤十字病院

熊本県熊本市東区長嶺南2丁目1番1号

名前 木下 航平 先生
出身地 宮崎県延岡市
出身大学 宮崎大学
医師免許取得年度 2015年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

私が医学部を目指し始めたのは高校3年生の受験期です。比較的進学校に通っていましたが、周りの友人が自然と大学を目指している中で、両親から「大学に行く意味を考えなさい」と言われていました。当時の私は大学では社会のために役立つことを勉強したいと考えていて、そこで思いついたのが医学と法学ならば大学で勉強したことを全て社会で活かせるのではないかということです。どちらかを選ぶにあたっては、私は白衣を着て病院を忙しく走り回っている方が自分に合っていると思ったのがきっかけで、医師になる道を選びました。

学生生活はいかがでしたか。

1年間の浪人をしたので、大学に入ったらしっかり勉強しようと思っていましたが、入ると楽しいことが色々とありました。大きかった出会いはウインドサーフィンとサーフィンですね。もともとマリンスポーツをしたかったのですが、それらに出会って、のめり込み、そこから友人の輪が広がりました。医学部だけではなく、法学部や経済学部など、ほかの学部や体育系の大学の方々と知り合うことができ、切磋琢磨して、彼らが卒業する4年生まで一緒にやれたのは大きかったです。医学生は狭いコミュニティーになりがちですが、医学部だけの交流だけではなく、色々なところに飛び出していけたのはとても良い経験でしたね。そういうわけで、勉強はぼちぼちでしたが、部活動とサーフィンを一生懸命やっていた学生時代でした。

初期研修で熊本赤十字病院を選んだ理由について、教えてください。

九州のどこかでと考えていましたが、ウインドサーフィンを一生懸命していたときに、色々な病院見学に行っていたある先輩から「ここは木下に合うのではないか」というアドバイスをいただいたんです。自分で調べてみて良いと思ったのが救急をベースにした初期研修であるという点と、内科研修が総合内科なので横断的な研修ができるという点です。専門的な内科を集中して研修するのも大事なのでしょうが、私は色々な科を全部勉強していくスタイルで研修をしたかったんですね。病院紹介の内容も「『鉄は熱いうちに打て』というように、初期研修でしっかりベースができたら、後は自分の頑張りで成長していける」と研修担当の先生が話されていたのが印象的でした。実際に病院見学に来て、初期研修医の先生方が大変ながらも楽しそうに働いている姿がとても魅力的に映ったので、熊本赤十字病院を選びました。

初期臨床研修の2年はいかがでしたか。

初期研修はやはり時間的な制限が厳しい面があって、学生時代とは生活が一変しました。最初の1、2カ月は私にとってはチャレンジングな環境でしたが、そうでもしないと勉強しないだろうなという自分の性格も分かっていたので、その状況に特に不満はありませんでした。ここでもやはり恵まれたのは同期ですね。それぞれがやりたい道を見据えていて、そのときにやるべきことや自分で見つけた課題をクリアしていくということを、多忙な研修医の業務をこなしたうえでしていたので、非常に刺激になりました。研修をしっかり行うのは当たり前で、プラスアルファに挑戦していく同期のことを見ていてすごいなと感じていたので、私もそういう彼らに遅れを取らないようにしようという思いで2年間を過ごせました。

外科を専攻された理由を教えてください。

学生時代にしていたサーフィンやウインドサーフィンは何か壁にぶつかるとエキスパートの意見を聞き、それが自分に合うかどうかを試してみる、それをずっと繰り返すことで技術や教訓を学び、自分のステップアップに繋がっていくというものでした。自分の足で色々な人の話を聞きに行ったり、考えて練習することで自分のレベルを上げていくという面で医学における外科の分野に似ていると思ったので、外科を選びました。色々な人に教えてもらいながらでないと、私一人では成長できないですね。

後期研修先を熊本赤十字病院に決められた理由を教えてください。

熊本赤十字病院で後期研修をやれたらいいなという気持ちで初期研修をスタートしました。診療科の選択はギリギリまで迷っていましたが、初期研修時に3、4年目の外科後期研修医の先生に教えていただく機会があり、先生方が手術を中心に研修に励んでいる姿を見てきました。そこで、「とにかく手術症例を多く経験できる」「経験して教えてもらって自分の中に残った技術でステップアップできる」という、私がイメージしていた外科のトレーニングがしっかり積めると改めて実感しました。自身のステップアップをあまり意識せずとも、目の前にある研修を一つ一つ確実に取り組んで行けば、3年の研修を終えたときにある程度のレベルまで到達できているはずだと考え、この病院を選びました。

腎移植を専攻されたのはどうしてですか。

熊本赤十字病院で外科の後期研修を受けることは決めていましたが、心臓血管外科、整形外科、産婦人科のどれを専門的にやっていくかは迷っていました。これらの科を考えていた理由は手術の介入により、患者さんのQOLを改善する外科医になりたかったからです。医学生の頃は移植医療に触れる機会がほとんどありませんでしたが、初期研修時に腎移植を見てこれが自分の目指していた患者さんを元気にする手術だと感銘を受けました。初期研修2年目に、心臓血管外科か腎移植を学ぶか悩んでいたとき、当時の診療部長だった上木原先生に山永先生のところへ行くことを勧めていただき、1月に10日間ほど山永先生が留学していたUCSFに行きました。本場アメリカの移植医療の現場を経験し、日本とアメリカの実状の差を目の当たりにしたところで「10年後くらいにこんなことが日本でできたらいいね」という夢のある話を山永先生とさせていただいて、私は腎移植をやりたいと思いました。

熊本赤十字病院の外科の特徴を教えてください。

私がやりたい腎移植のトレーニングを積めるというのもメリットですが、一般外科を志されている方にもがん治療と救急医療のトレーニングを両立できるという点でお勧めできると思います。
当院の外科は救急外来での対応時にがん疾患が発見される方も多く、がんの治療と救急医療の横断的な知識が必要となるオンコロジックエマージェンシーの症例も数多く経験できます。

後期研修で一番勉強になっているのはどんなことですか。

最初は腎移植の手術をして患者さんのQOLを改善したいという目標を持って後期研修を始めましたが、それに対して、がん治療は手術を行うことによって胃の切除などで食事量が減ったりしてしまうものです。しかし、こういったがんの定期手術を滞りなく行うことが外科では基本となる手術で、非常に重要なことだと学びました。私が目指していた外科医のイメージからは少し変化していますが、がん治療など一般外科に重きを置いたうえで、腎移植症例をしっかり診られるように勉強していきたいです。

後期研修で楽しいこと、またつらいことはどういったところですか。

楽しいのは自分がイメージしていた手術ができたときや考えた手術展開が指導医の先生が考えたものと一致したときです。スポーツにも共通すると思いますが、イメージトレーニング通りの動きができたときが一番熱くなる瞬間なので、それを毎日体験できるチャンスがあります。辛いのはその逆で、イメージ通りにできず、うまくいかないことが続いたり、自分が間違った方向に進みつつあるときです。そういうときは指導医の先生が適切にアドバイスをくださいます。

山永先生のご指導はいかがですか。

「常に考える外科医であれ」という基本の指導方針があり、手術に関してはとにかく厳しく、細かく指導していただいています。もう一つおっしゃっているのが「early exposureが大事」ということです。若いうちから色々なところへ出て刺激を受けて、多様な考えを持てという理念です。山永先生はとにかく国際学会に行って英語で話して、色々なことを感じながら日々過ごしていきなさいというスタンスで、私もアメリカで臓器摘出手術を経験したり、海外の移植医療の第一線で活躍されている先生とお話しする機会をいただいて、得難い経験となりました。

現在されている外科プログラムの内容はいかがでしょうか。

数、質ともに満足できる内容かと思います。腎移植の数も増えてきていますし、3、4年目であまり経験できないような手術も執刀させていただいています。救急医療と密接であるため状態の悪い患者さんの手術も少なくなく、合併症に難渋することもしばしばあり、外科医としての基礎体力が付いた気がします。外科プログラムは自由度が高く、4年目は4月から7月は外科にいましたが、その後の4カ月は消化器内科、4カ月は泌尿器科で研修をさせていただきました。外科業務の中で自分に足りない部分があると気づいたときは、相談すればすぐにその門戸を開いてくれます。

初期研修と後期研修との違いはどこにありますか。

3年目になったとき、初期研修と比べて一人で判断する場面が増え、自分の判断で進めていけるのは楽しい反面、初めの方は怖さもありました。ただ、指導医の先生が私の診療についてカルテや日々の会話から読み取ってくれているので、間違った判断をすれば軌道修正してくれます。初期研修時は指導医の先生と二人三脚で進んでいたので、タイムスケジュールの組み方に自由がない部分もありましたが、後期研修では自由が利くようになりました。

看護師の方を含め、コメディカルの方との関係はいかがですか。

これは私が初期研修医の頃の経験ですが、患者さんがどのような状況であっても、まず初期研修医に連絡がいきます。難しい対応が予想される場合でも同様にです。自ら対応するか、指導医の先生に相談するかなど、自分で考える機会をいただけます。病院全体で研修医を育ててもらっているという実感がありました。私たちはずっと患者さんを診ていられるわけではありませんので、小さな変化を報告していただいたり、相談いただけるのは有り難いです。コメディカルの方も専門分野に関しては豊富な知識があり、色々なことを教えてくださいますので、本当に多くの方に助けていただいています。腎移植は免疫学の領域が重要で、検査技師や薬剤師の先生に頼っている部分がありますが、技師さんや透析のMEさんたちは様々な知識を説明し、バックアップしてくださいます。こんなに恵まれた環境はないなと思いながら勉強させていただいています。

カンファレンスについて、お聞かせください。

カンファレンスは、初期・後期研修医がプレゼンを行い、上級医に確認してアドバイスをいただく場です。患者さんの病態、必要な介入、その学びの場がカンファレンスだと思っています。それを1年目の初期研修医に教えていきながら、自分も勉強して知識を整理していく場でもあります。患者さんに対してどういう手術をするのか、カンファレンスで自分の考えをしっかりアピールできないと、指導医の先生に手術を任せてもらえなくなることもあるので、手術室と同じくらいの緊張感があります。

オンとオフの切り替えはしっかりとできていますか。

主治医制ですので、最初の頃はひっきりなしにPHSに電話がかかってきて、その都度病院に向かっていましたが、最近は受け持ちの患者さんの見通しが立つようになってきたので、今からオフにできるなという判断ができるようになりました。時間を充分に取れるオフは宮崎にサーフィンをしに行っています。半日ぐらいのオフは美味しいものを食べに行くなど、時間の使い方を考えています。

今後のキャリア形成についてのお考えをお聞かせください。

一般外科の一通りの手術を指導医の先生と一緒に執刀できるようにするのが当面の目標ですが、そこまでのレベルに達するにはあと1年では足りないと思うので、もう1年ほど熊本赤十字病院の研修を予定しています。その後は腎移植のハイボリュームセンターに行き、腎移植の手術はもちろんのこと、術前、術後管理も含めて腎移植のエキスパートになりたいと考えています。
そこで1、2年経験を積んだ後はこれまでのように一般外科をベースにして腎移植に携わっていきたいです。私は大学も出身も宮崎県ですが、宮崎はまだ腎移植が活発に行われていない地域です。宮崎で透析や腎臓の代替療法を考える患者さんに、腎移植という選択肢を提供できる環境が整えられたら、私の医師人生としては100点かなと思っています。

熊本赤十字病院とはどんな病院ですか。

これから医師になろうとしている方の熱意やエネルギーはもの凄いものがあると思いますが、皆さんのエネルギーを全てぶつけてもきちんと受け止めて、力として返してくれる指導医がいる病院です。どんなことでも受け止めて、その状況なり、タイミングなりで一番その人のためになる研修を提案してくれる大勢の指導医、看護師、コメディカル、事務の方々がいます。研修医の成長を全員で後押ししてくれる病院です。

研修先を検討されている初期研修医の皆さんにメッセージをお願いします。

当院には症例数、指導医、手術室などの環境が整っていますので、外科を志す方にはきっと満足できるのではないかと思います。一般外科をしながら同時に移植の勉強ができる病院はそんなに多くありませんが、腎移植だけでなくゆくゆく肝移植をしたいと考えている方でも移植の基本を一から勉強できる病院です。また、定期手術に加え、救急や緊急手術も同じぐらいしっかりとトレーニングが積めます。外科領域の中でも乳腺や外傷などが自由に選択できるのも良いところです。どうぞ見学にいらしてください。

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