後期研修医インタビュー

独立行政法人 国立病院機構

災害医療センター

東京都立川市緑町3256

名前 瀨上(せがみ) 将太 先生
出身地 東京都杉並区
出身大学 東京医科大学
医師免許取得年度 2016年度
名前 蓑島 考(こう)先生
出身地 北海道札幌市
出身大学 北海道大学
医師免許取得年度 2016年度

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

瀨上:

医師の仕事はもともと好きではありませんでした(笑)。高校に入った頃はエンジニアを目指していたんです。ただ、身内に大血管系の病気になった人が多く、祖父が大動脈瘤になったり、親が高血圧だったり、中学、高校時代の後輩や友人が心筋梗塞で亡くなったこともあり、一番嫌なものをどうにかしたいという思いが強くなり、医師を目指しました。

蓑島:

私は大それたものはないです。小さい頃は小学校の先生に憧れていましたが、高校の先生に医師を勧められました。また、占いが好きな祖母からも医師がいいと言われたんです(笑)。私としても興味がないわけではなかったので、医学部に進学することにしました。

大学生活はいかがでしたか。

瀨上:

合気道部に入っていたほか、DOCSに入り、医療の勉強をしていました。DOCSは屋根瓦式のサークルで、有名内科医の講演会をしたり、冬休みなどに当直したりという、多彩な経験ができました。

蓑島:

中学から卓球を始め、高校や大学でも続けていました。大学の卓球部でも楽しい仲間に恵まれ、色々な思い出を作ることができました。

初期研修の病院を決めた理由をお聞かせください。

瀨上:

私は災害医療センターで研修しました。母校の大学でネット上の心電図講座の手伝いもしていましたし、勉強会出席のためにも都内にいたかったので、都内の病院を探しました。災害医療センターは三次救急でありながら、内科に強いところが良かったです。私は心臓外科だけでなく、一般外科にも興味があったので、手術をさせていただけると聞いて、当院に決めました。実際、2年目のときにヘルニアの手術をさせていただきました。

蓑島:

私は北海道で研修したかったので、手技を多くさせていただける日鋼記念病院を選びました。胃カメラを多く当ててくださるなど、魅力的な内容でしたね。

初期研修を振り返って、いかがですか。

瀨上:

私は当院での後期研修にそのまま上がったので分からない部分もありますが、当院での初期研修は体力、精神力、医療へのガッツなど、前のめりに行く感じでした。ハードな病院で、コールも多いのですが、初期研修医は最初にコールに出て、対処を考えないといけない機会が多く、力がつきました。上の先生方の教育も厳しくも優しかったです。

蓑島:

楽しかったですね。医師数がそこまで多くない病院ですので、上級医との距離が近く、アットホームで、良い環境でした。

初期研修はどのようなローテーションだったのですか。

瀨上:

1年目は決まった科目を回り、2年目は循環器を長い期間で回ったほか、私は胸部臓器が好きなので、呼吸器内科にも行きました。また、手技の根本は消化器外科だと思っていたし、今後は経験できないので、消化器・乳腺外科も回り、手術では術野だけでなく、外科の先生方の手元をなるべく見るようにしていました。それから画像が苦手なので、放射線科にも行きました。

蓑島:

一通りの診療科に行きました。選択できる科はほとんど回りましたね。一般外科はもちろんですが、マイナー外科にも興味があったので、形成外科、産婦人科、小児科、泌尿器科なども回りました。

専門を決めた理由をお聞かせください。

瀨上:

私が循環器内科に決めたのは初期研修2年目の6月です。医師になりたいきっかけでもありましたし、分からないことが多いからでもあります。知らないことを学ぶのは楽しさがありますね。循環器は急性期も慢性期も患者さんが多く、特に心不全の患者さんは少なくありません。患者さんの最初から最後まで関われますので、人を診るという点で面白いと感じました。将来的には心不全の在宅診療にも携わりたいです。

蓑島:

私は小学校の先生になりたかったこともあり、子どもが好きなんです。それで小児外科に興味があり、小児病院にも見学に行ったりしましたが、まずは外科専門医を取らなくてはいけないと思い、後期研修では当院の消化器・乳腺外科を選びました。決めたのは初期研修2年目の中頃でしたね。

後期研修先として、災害医療センターを選ばれたのはどうしてですか。

瀨上:

初期研修を当院で行い、指導医の先生方から良いご指導を受けたことが大きかったです。初期研修を当院で行ったあと、そのまま当院に残っていらっしゃる先達の先生の存在もあります。当院は急性期医療のみならず、慢性期医療や地域連携にも力を入れています。またカテーテルの件数が多いし、指導医の先生に積極的に質問できるところが良かったです。

蓑島:

北海道に残るか、別のところに行くか、かなり迷いましたが、北海道には外科専門医のプログラムのある市中病院がなく、ほかの地域で探しました。当院に見学に来たのは初期研修2年目の秋です。あまり時間がなかったのですが、医師が若手中心に働いていて、活気のある雰囲気がいいなと思いました。指導医の先生に「小児病院に行ってみたい」と相談したら、「当院でそれに向けて指導していく」とおっしゃってくださいました。また、小児外科の先生にも相談したところ、「まずは大人の外科専門医を」というアドバイスをいただき、当院で外科専門医を目指すことにしました。

後期研修で勉強になっていることを教えてください。

瀨上:

全てです。主治医になると、色々なことが見えてきます。初期研修医のときは医学をしていましたが、今は医療をしているという実感があります。人がいて、その人をお助けするのが医療です。治療が終着点ではありません。患者さんがご飯を食べられて、元気に歩けるように、リハビリや栄養指導も必要です。学ばないといけないことは山積していますね。

蓑島:

私も全てですね。上級医の先生方は8人と限られていますが、それぞれの先生方にご指導いただいています。質問しやすい雰囲気ですので、質問しながら仕事を進めています。

指導医の先生方のご指導はいかがですか。

瀨上:

熱烈です(笑)。楽しくもあり、厳しくもあります。私は怒られるのも結構好きなんです。関心を持ってもらえているということですし、まだできることがあるということですので、指導はすごく嬉しいです。指導医の先生方には医学的なことよりも「ゴール地点はどこなの」とよく聞かれます。患者さんを人として診ることで、ゴール地点をどう見出すのかといった、見出し方が勉強になっています。

蓑島:

日々、優しくも厳しいご指導を頂いています。特に手術中は皆真剣であり、未熟な手技など注意して頂いています。逆に、良い手技が出来たときには「そう!」「ナイス!」と言ってくださることもあり、心の支えになっています(笑)

病院に改善を望みたいことはありますか。

瀨上:

特にないです。プログラムは柔軟性があり、循環器内科にいながら、内科専門医を目指せるのは有り難いです。最近は心筋梗塞を診ながら、フィッシャー症候群も診ています。

蓑島:

冷房でしょうか。部屋によって効かない場所があります。北海道から来ましたので、1年目の夏は辛かったです(笑)。

初期研修医の指導にあたって、気を付けていることはありますか。

瀨上:

本人の考えを聞くより前に「あれやって」と言わないことにしています。固定概念の植え付けになるし、固定概念を作ってしまうと修正が難しくなるからです。それには初期研修医が自分の考えを言えるような雰囲気を作ることが大事ですし、剽軽な性格であるように努めています(笑)。初期研修医には自分の考えを持ってほしいですし、私も「質問はありますか」と声をかけることが多いですね。

蓑島:

初期研修医は私だけにつくわけではないので、私も一緒に教わりながら、研修しています。私が初期研修医に伝えるのは縫い方だったり、病棟のことが多いです。教えることが自分の勉強に繋がりますので、できるだけ事前に勉強するようにしています。

当直の体制について、お聞かせください。

瀨上:

月に4回です。内科当直が3回で、循環器当直が1回です。どちらにも一人で入ります。内科当直には初期研修医がつき、循環器当直にはセカンドの医師がつきます。

蓑島:

救急当直と外科当直を合わせて、月に2、3回です。救急当直は非常に活発で、急性腹症の手術が入ることもあります。外科当直には一人で入りますが、初期研修のときも一人でやっていたので、大丈夫です。当直はリフレッシュになりますね。

カンファレンスはいかがですか。

瀨上:

循環器内科は月曜日に全体のカンファレンスがあり、毎朝にショートカンファレンスがあります。患者さんについてのプレゼンがほとんどです。またチームカンファレンスは毎日の朝晩に行っています。循環器は状態の変化が早い患者さんが多いので、リーダーが各医師に経過を聞くなど、常に連絡を取り合い、短いカンファレンスを頻回に行っています。

蓑島:

消化器・乳腺外科は週に1回で、担当症例や手術症例をプレゼンするという、外科らしいカンファレンスです。教えていただくことばかりで、毎回反省しています。外科もチーム制にしてあり、2チームあります。チームカンファレンスは週に3回あり、患者さんの現状を確認しています。

コメディカルのスタッフとのコミュニケーションはいかがですか。

瀨上:

初期研修の頃はカテーテル室にいることが多く、病棟にはあまりいなかったのですが、後期研修で病棟に来てみると、皆さんがとても優しく、前もって聞いてくれたりと、良好な関係です。男性の臨床検査技師さんや看護師さんもいるので、「男飲み」と称して、男性だけで飲みに行ったりもしています(笑)。

蓑島:

病棟、手術室ともに和やかな雰囲気で、働きやすいです。

何か失敗談はありますか。

瀨上:

毎日のようにあります(笑)。お腹が痛いとおっしゃった患者さんがいて、胃腸炎かなと思ったのですが、顔が真っ青になっていき、腹膜炎の症状が出始めたことがありました。CTで分かったのですが、もう少し早めに対処できたのではと後悔しました。

蓑島:

手術では細かい失敗が多くあり、日々怒られています(笑)。

蓑島先生は初期研修とは違う病院で後期研修をなさっていますが、それで戸惑ったことはないですか。

蓑島:

科の雰囲気が良く、相談しやすいので、戸惑いはなかったです。強いて言えば、初期研修の病院とは医師数が1.5倍違いますので、他科の医師との関係性や交流の仕方が違うと思ったぐらいですね。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

瀨上:

同期は私と蓑島先生のほか、神経内科に1人いて、合わせて3人です。後期研修が始まる前に2人を新宿に呼び出しました。蓑島先生には「北海道からマルセイバターサンドを買ってきて」と頼みましたね(笑)。後期研修が始まってからもバンジージャンプに一緒に行ったりしています。同期がいるとコンサルトが楽ですし、話の進み方が違います。有り難い存在ですね。

蓑島:

同期とは食事に行ったり、一緒に出かける機会が多いです。

蓑島先生は寮にお住まいですか。

蓑島:

そうです。敷地内にありますので、通いやすいです。

今後のご予定をお聞かせください。

瀨上:

当院に残るか、興味のあるカテーテルや足を学ぶために大きな病院に行くか、まだ迷っています。最近ようやく循環器のターミナルケアに焦点が当たってきましたが、私も最終的には在宅医療に携わりたいです。人を診る、最後まで診るという医師になるためにも、当院の後期研修で急性期と慢性期をきちんと学びたいと考えています。

蓑島:

私もどの病院に行くかは未定です。小児外科に興味があるので、大学も含めてハイボリュームな病院で勉強したいと思っています。

新専門医制度について、ご意見をお願いします。

瀨上:

専門医療をやりたくてやっている人からすると、いい制度とは言えないです。専門医制度は日本の医療を支える大きな柱ですが、卒後3年目を強制的に内科ローテートさせるのはすべきことなのでしょうか。循環器の手技には早いうちに取り組む方がいいのに、ローテートをしていたら、手技が頭に入らなくなりそうです。これでは結局、初期研修と同じですし、初期研修に意味がなかったのかと思います。初期研修は人によって、かなり差が出るので、初期研修のあり方を考え直した方がいいです。初期研修のゴールをどこに持っていくのかということです。レポートで終わりではなく、きちんとした達成目標を作るべきでしょう。

蓑島:

外科の新専門医制度は大学が中心という印象があります。恥ずかしながら、自分は初期研修の途中まで市中病院という選択肢があることも知りませんでした。新専門医制度では経験症例数のノルマがあり、それをこなしていく日々になります。心臓血管外科、消化器外科、呼吸器外科など複数の科をローテートすることになりますが、ローテートのタイミングなどは施設に一任されているようで、内科と比較するとある程度融通が効く印象を持っています。

これから後期研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

瀨上:

当院の循環器内科は急性期から慢性期まで診て、地域医療への連携まで学べるので非常に良いです。見学にあたってはただ見るのではなく、何科の医師になるかを決めてから行った方がいいです。どういうライフプランにしたいのか、40代、50代まで見据えて決めましょう。見学での直接的なポイントとしては病院はいいことしか言わないので、何ができて、何ができないのかを率直に尋ねることです(笑)。

蓑島:

当院の消化器・乳腺外科は少人数ではありますが、上級医の各先生から直接指導をいただく機会が非常に多く、充実した日々を送っております。研修する施設や団体によってそれぞれ特化したものがあると思いますので、設定されたノルマ以上に何を学びたいかを考えてみることをおすすめします。明確な将来像があるのであれば、それに向かって情報を集めてみると良いかと思います。

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