初期研修医インタビュー

日本赤十字社

深谷赤十字病院

埼玉県深谷市上柴町西5-8-1

名前 岩井 龍太郎 先生
出身地 埼玉県上尾市
出身大学 群馬大学
医師免許取得年度 2020年
名前 有馬 健吾 先生
出身地 埼玉県富士見市
出身大学 帝京大学
医師免許取得年度 2020年
名前 庄子 諒一 先生
出身地 埼玉県さいたま市
出身大学 岩手医科大学
医師免許取得年度 2020年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

岩井:

私は高校では部活動、大学では社会人のクラブチームに所属して、アメフトをしていました。高校の部活動のOBで医師になる人が多かったことや怪我をして整形外科の先生にお世話になったことが大きかったですね。アメフトはコンタクトスポーツなので、軽い怪我をよくするのですが、OBの方が処置をしてくださったりするので、自然に憧れました。

有馬:

父が医師なので、身近な職業として感じながら成長してきました。高校2年生のときに家族旅行中に祖母が転んでしまったことがあり、父が祖母を気遣いながら病院に連れていったり、病院でも医師同士で申し送りのようなことをしている姿を目の当たりにして、医師という職業は遣り甲斐がありそうだと思い、目指すようになりました。

庄子:

私も父が医師なので、身近な職業でした。私には産まれたときから病気があり、小児科などにかかっていました。それで私も人の役に立つ仕事に就きたいという思いが小さい頃からあり、その中の第一選択として、医師を選びました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

岩井:

高校から通して続けてきたので、アメフトが一番の思い出です。

有馬:

私は中学高校でしていた硬式テニスを大学でも続けました。大学ではキャプテンも務めましたし、部活動の思い出が大きいですね。私の代ではリーグ昇格を果たしましたし、東医体でも皆で作戦を練りつつ、勝利したことが印象に残っています。

庄子:

低学年の頃は部活動がメインでした。私は高校ではカヌー部に入っていたんです。埼玉県の高校でカヌー部がある高校は3校しかなく、頑張っていましたが、それまでは野球をしていたので、大学では野球部に入り、野球を再開しました。低学年の頃は部活動のほかは遊んで、飲んでという学生生活で、大学5年生になってから勉強を始めました(笑)。

大学卒業後、研修先を深谷赤十字病院に決めた理由をお聞かせください。

岩井:

大学5年生の終わりの頃に大学での臨床実習先の一つとして、当院にお世話になったんです。内科や救急など、色々な科で実習させていただいたのですが、そこで初期研修医の初期対応や手技、どのぐらいの裁量を持って診療させていただけるのかなどを感じたので、当院で研修したいと思いました。

有馬:

私は埼玉県出身なので、埼玉県の病院で初期研修をしたいという思いが最初にありました。臨床研修病院選びでは二次救急か、三次救急かという選択肢がありますが、私は医師になりたての頃に全ての症例が来る三次救急に触れたかったので、当院に見学に来ました。

庄子:

私も5年生の夏に埼玉県に戻ろうと思いました。友人から当院を受けるという話を聞いたこともあり、見学を勧められたので、見学に来ました。

深谷赤十字病院に最初に見学に来られたときの印象はいかがでしたか。

有馬:

先輩たちの雰囲気も良く、三次救急の病院にしては初期研修医の数が少ないので、ほかの病院よりも三次救急の場面に接する機会が多いのではないかと感じました。見学の印象としてはとても良かったです。

庄子:

私もとても良い病院だと思いました。救急を見学させていただき、県北唯一の三次救急病院として、重症な症例が来ると分かりましたし、初期研修医に色々なことを任せてくれる病院だと実感できました。この病院なら、実地に基づいた初期研修ができるかなと考えました。

岩井:

私の場合はポリクリの方が見学より先でした。ポリクリで見学を兼ねて、じっくり見たという感じです(笑)。

深谷赤十字病院での初期研修はイメージ通りですか。

岩井:

概ねイメージ通りですね。

有馬:

研修自体はイメージ通りですが、見学と働くのとでは少し違うなとは思います。地域性もそうですし、患者さんと接したり、医師だけではなく、看護師さんや薬剤師さん、臨床工学技士さんなどのコメディカルスタッフの方々と一緒に仕事をするのは難しさもありますが、困っていることはありません。むしろ充実しています。

庄子:

かねがねイメージ通りです(笑)。同期がこんなにいい人たちだとは思わなかったです。

岩井:

嬉しいこと言ってくれる(笑)。

庄子:

同期には本当に助けられているので、感謝しかないです。

プログラムの特徴はどんな点でしょうか。

岩井:

ほかの病院を知らないので、手技の多さなどは正確には分からないのですが、大学病院で研修している友人の話を聞くと、当院の方が多い印象があります。

有馬:

ほかの病院の見学には行ったのですが、実習は母校の大学病院でしかしていないんです。そことの比較でしかありませんが、当院はやはり市中病院なので、手技は多いです。また、大学の方が指導医の先生方が指導的だったり、教育熱心なのかと思っていましたが、当院は市中病院であっても教育熱心な先生方が多いですね。

岩井:

月に1回、院長先生と初期研修医で抄読会を和気あいあいとやっています。

庄子:

一通りの診療科が揃っているので、ローテート先を選ぶときに困ることがありません。事務のスタッフにこういうローテートをしたいと言ったら、希望を叶えてくれる組み方をしてくださいます。プログラムの内容にはとても満足しています。

プログラムの自由度はいかがですか。

岩井:

ローテート先は柔軟に変更していただけます。この間、小児科を回る予定だったのですが、精神科の病棟が見たいと事務のスタッフに相談しました。当院には精神科の病棟がないので、外の病院を見たいと無理を言ったのですが、うまく調整してくださり、小川赤十字病院の精神科で研修させていただくことができました。とてもフレキシブルだと思います。

有馬:

1年目はカリキュラムがしっかり決まっていて、必修科がメインの研修ですが、2年目は精神科、地域医療、産婦人科の3クール以外は自由に選択できます。自分が目指している科をこの段階で決めたり、自分の目指す科に関連する科を回ることができるのがいいですね。1つ上の先輩方を見ていると自由に研修されているので、「来年どうしようか」などと1年目同士で話しているところです。

庄子:

2年目の5月に精神科を回るのですが、私も病棟のある病院に行きたいと申し出たら、西熊谷病院でのプログラムを組んでいただきました。事務のスタッフの皆さんには本当に感謝しています。

ほかに院外での研修はありますか。

有馬:

1年次はほとんどありませんが、2年次には地域医療研修があり、希望すれば秩父市の秩父病院などで研修することができます。

どのような姿勢で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

岩井:

1カ月おきに色々な診療科をローテートしていくこともあり、分からないことだらけなので、常に勉強することがあります。勉強する時間はそれなりにあるので、ローテートする科に応じて、指導医の先生方にどんな本が参考になるのかを聞いています。そして研修医の仲間と集まり、色々な症例について話したりしています。研修医室が医局の中ではなく、専用の部屋なので、そういうときに活用できます。

有馬:

1年目、2年目の初期研修医がペアで当直に入る機会が多いので、2年目の先生に教えてもらう場面がよくありました。来年は私たちが2年目になるので、1年目の人たちに教えられるように、しっかり勉強しています。

庄子:

遅刻をしないということです(笑)。また、できなかったことを無理にできることとして増やしていくよりはできなかったことをきちんと反省しようと心がけています。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

岩井:

指導熱心な方ばかりで、初期研修医に声をかけてくださる先生が多いです。手技はもちろんですが、病態のことや勉強の仕方といったことも教えてくださいます。そういった話は大学病院でしか聞けないと思っていましたが、市中病院でもきちんと伺えます。

有馬:

手技をさせてもらえるときは私たちも基礎知識を勉強していきますが、初めてだとうまくいかないこともあります。そういうときに指導医の先生方が放置するのではなく、フォローしてくださったり、終わってから患者さんが退出されたあとに「あのときはああだったけど」というフィードバックをくださるので、勉強になります。

庄子:

診療科によりますが、満足しています。診療科によるというのは先生方の熱意ではなく、自分の志望する科かどうかというモチベーションに関わる部分です。先生方は指導的に教えてくださっているので、受ける側の気持ち次第ですね。

深谷赤十字病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

岩井:

救急では緊急度が高くなかったり、見慣れた症例の場合はファーストタッチプラスアルファのことを任せていただけることがあります。これは3年目を見据えてのご配慮だと思います。手技だけではなく、ご家族への説明など、もちろん指導医の先生がついてくださったうえで機会を与えていただいているのは勉強になります。

有馬:

今の話と被っているかもしれません(笑)。3年目を見据えた指導をしていただいているというのは私も実感しています。当院の中には3年目からの専攻医研修ができる科もありますが、半数以上の初期研修医が他院で専攻医研修をしますので、それを見据えた指導をしてくださっています。

庄子:

当直でのファーストタッチを基本的には初期研修医がしていますので、患者さんへの接し方や重篤なときの対応の仕方をしっかり叩き込んでいただいています。

何か失敗談はありますか。

有馬:

怒られることは日常茶飯事です(笑)。指導医の先生から「そろそろご家族への病状説明をしてみよう」と言われ、「ではさせていただきます」と始めてみたのですが、初めてだったので、言いたいことがうまくまとまりませんでした。患者さんとご家族が4人ぐらい、私の周りを囲んで座っていらっしゃる中で話をするのは普通のことなのでしょうが、緊張してしまって、全くできず、指導医の先生が入ってくださいました。そのあとはずっと冷や汗をかいていました。

岩井:

救急では咄嗟にすることが多いので、失敗談も多くなります。1年目の初期研修医にとっては挿管などがネックになります。私も初めの頃は苦手でした。声門がきちんと見えていないのに入れてしまい、指導医の先生に「これは食道挿管ではないんですか」と言われ、「しまった」みたいなこともありました。指導医の先生がずっと見てくださっているので、良かったです。

庄子:

恥ずかしいほど、多くの失敗談があります。私もジャクソンリースの穴の場所を間違え、酸素を送れていなかったことがありました。このときも指導医の先生が「違う」とすぐに見つけてくださいました。また、麻酔科で咽頭展開する前のバックバルブマスクの段階で、患者さんの口を開けたら、口の中に前歯が6本落ちていたことがありました。私が患者さんの歯をバックバルブマスクで押さえたことで、歯が折れ、口の中に落ちたのかと焦りましたが、手術後に聞いてみたところ、患者さんが自分で差していた歯だったと分かり、安心したこともありました(笑)。

当直の体制について、お聞かせください。

岩井:

10月までは1年目と2年目の初期研修医が一緒に入ります。10月以降は2年目の初期研修医は自由選択の科目が多くなり、専攻したい科によっては救急での初期診療をしない人もいるので、1年目で回そうということになっています。そのため、回数も10月までは月に4回、10月以降は月に6回から8回です。ただ今年の2年目の方たちは10月以降も割と救急に入っていますので、ペアを組む日も数回あります。指導医の先生は内科、外科が1人ずつ、22時までは救急科の先生もいらっしゃいます。22時以降は内科、外科の先生方が救急車、ウォークインを診ています。

当直では、どんなことが勉強になっていますか。

岩井:

人数が少なくなりますので、自分のすべきことが増えるので、裁量も大きくなるものの、責任もあります。自分が決断することが多くなるので、そういった決断することが勉強になっています。

有馬:

救急車が重なってきたりすると、どちらが重症なのかを考えて、患者さんを診て、判断して、「この患者さんを先に」や「この検査を先にしたいから、ここでできることは何か」などの優先順位をつけることが勉強になっています。1年目のうちは指導医の先生から「しておいて」と言われたことをすることが多いのですが、研修が進むにつれて指示を出す側に回りますし、3年目になれば指示を出す側になるので、そういった未来を見据えつつ、自分のできることをしています。

庄子:

2年目の方たちがとても勉強熱心なので、10月までは一緒に入って、動き方を教えてもらっていました。10月から1年目同士で入るようになると、2年目の方たちに教えてもらうことがない状態でどういうふうに動くのかを再度、考えるようにしています。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

有馬:

救急のカンファレンスは厳しかったという声があります(笑)。カンファレンスの時間だからといって、救急車が来なくなるわけではなく、救急車が来ることもあります。限られた時間の中で必要な情報をきちんと言わなくてはいけません。指導医の先生方からの質問も来るので、全てを把握したうえで自分で取捨選択すること、時間を考えて発表することが難しかったです。

岩井:

根本に立ち返るような質問がふと飛んできたときは焦りますね。救急を回っている終盤でのカンファレンスで、私がさらっと「感染兆候がない」とプレゼンしたことがあったのですが、先生に「感染兆候って、何ですか」と聞かれました。私はフリーズして、何も言えなくなり、そばにいた同期の研修医にフォローしてもらったことがありました。これは失敗談で話すべきことでしたかね(笑)。

庄子:

雰囲気は診療科によって違います。救急科は怒声を浴びせられるわけでは全くありませんが、そういう視点があったのかというご指摘が勉強になります。一番上の先生がアカデミックなことを教えてくださるので、あの空気に慣れればディスカッションが捗るだろうなと思います。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

岩井:

雰囲気もとても良く、頼みやすいです。

有馬:

大学病院よりもコメディカルの方々が動いてくださるので、私もしっかりしないといけないという気持ちが芽生えます。私が間違えたりすると、「これで合っていますか」という意見やフィードバックが来ますし、私も「これはこうです」と言ったりして、コミュニケーションは活発にできていると思います。

庄子:

「ここは間違っていますよ」というご指導もありますし、現場での経験が私たちとは違うので、私たちが正しいと思っていても、それを間違っていると言ってくれる雰囲気になっています。仕事も頼みやすいです。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

岩井:

1、2年目だけの部屋があり、何でも話しています。8人ずつなので、個人的にはちょうどいい人数だと思います。この患者さんはどうしたらいいのかといった話やプライベートな話もしています。

有馬:

研修医室は失敗を共有できる場になっています。「それはそうだよ」と言われて気づけたり、「そうなんだ。自分も次に回るから気をつけよう」と確認したりできますね。もちろんプライベートな話もします。

庄子:

アカデミックな話もしています(笑)。

寮もありますか。

有馬:

ありません。それぞれが物件を借りて、家賃補助をいただいています。

庄子:

私も一人暮らしをしています。

岩井:

私は引っ越しをするタイミングを逃したので、実家から通っています(笑)。車で1時間ほどかかるのですが、そうしたことにも柔軟に対応していただけました。

今後のご予定をお聞かせください。

岩井:

内科に傾きつつありますが、精神科とも迷っていますので、まだ決めかねています。診療科が決まらないことには専攻医研修先も決まらないですね。

有馬:

もともと外科系に興味があったのですが、研修してみて、やはり外科だと思いました。でも外科の何を専攻するかはまだ決めていません。2年目の4月、5月に選択期間があるので、そこで考えるつもりです。

庄子:

私は救急科に決めたのですが、専攻医研修先は迷っているところです。救急科を選んだのはバイタルの安定など、最低限の初期対応をできるようになりたいというのが一番の理由です。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

岩井:

ずっと続けてきたアメフトのほか、サッカーなどのスポーツ観戦が好きです。今は新型コロナウイルスにより、スタジアムで観戦できないので、テレビで見ています。

有馬:

私もネットフリックスで映画を見たり、ステイホームしています(笑)。

庄子:

私もそんな感じです。YouTubeなどのネットサーフィンをしています。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

岩井:

3年目以降の専門の診療科に行く前に色々な科を見ておくことは大切です。他科へのコンサルトのときに全く知らないことを尋ねるのは失礼ですし、ある程度の知識を備えたうえで専門の科に進むのは意味があるのではと思います。

有馬:

色々な科を回ることには良い面も良くない面もあります。良い面は回った科に関しては全く知らないということがなくなることです。ただ、1カ月しか回らない科もあるので、雰囲気ぐらいは分かったとしても、科全体のことが分かるかと言われたら、やはり表面上のことしか分からないこともあるのが良くない面ですね。

庄子:

臨床研修病院ごとに研修内容が違うので、2年間の初期研修を終え、3年目になって他院で研修した人と合流したときに力のつき方に差が出ているのではないかという不安はあります。しかしながら、この2年間で一つの科に絞り込まず、多くの科を回らせていただけるのは貴重な機会だと思います。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

岩井:

どの臨床研修病院もスーパーローテートをすること自体は変わりません。初期研修をしてみて、院内の雰囲気、中でもコメディカルの方々との雰囲気や、指導医と初期研修医との関係性が意外と大事なのかなと思います。見学ではそのあたりに重点を置いてみたら、いかがでしょうか。それから研修医室が医局とは別にあるとリラックスできます(笑)。

有馬:

私は東京都内の大学出身ですが、当院には全国の大学から初期研修医が集まってくるので、色々な人と接することができます。当院はごみごみした都会は嫌だ、手技をしたい、上の先生方からきちんと指導を受けたいという方には特にお勧めの病院です。「このご時世で大変なことも多いでしょうが、まずは勉強をして卒業することは大事です」というメッセージを伝えたいです(笑)。

庄子:

COVID-19の感染が拡大し、医学生の皆さんは私たちが過ごした学生時代とは全く違う環境になり、恐らく実習もうまくいっていないでしょうし、部活動や私生活もかなり制限されている毎日を過ごしているのでしょう。その中でもやはり国家試験に受かることが大事なので、できる限りの勉強をしていただきたいです。同時に、初期研修が始まると「あのとき遊んでおいて良かったな」、「友達を作っておいて良かったな」と思えることがあるので、できる範囲で遊んでほしいです。勉強と遊びの両立を目指して、頑張ってください。