指導医インタビュー

富士市

富士市立中央病院

静岡県富士市高島町50番地

名前
良元(よしもと)和久 先生
手術管理科部長兼外科副部長、指導医
職歴経歴
1971年に大阪府大阪市に生まれる。1997年に東京慈恵会医科大学を卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院で研修を行う。 1999年から東京慈恵会医科大学附属病院、富士市立中央病院などで消化器一般外科を研鑽する。 2002年に東京慈恵会医科大学外科に入局し、附属柏病院に勤務後、2006年に富士市立中央病院に勤務する。2011年に外科副部長、2016年に手術管理科部長兼外科副部長に就任する。
学会等
日本外科学会専門医、日本消化器病学会指導医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医、マンモグラフィ読影医、新臨床研修指導医養成講習会修了、 日本乳癌学会認定医、日本大腸肛門学会専門医、静岡県単位型緩和ケア研修修了、静岡DMAT隊員など。

富士市立中央病院の初期研修の特徴をお聞かせください。

研修医の人数が少なく、横や縦の繋がりがしっかりしている病院ですので、色々な症例を経験できます。初期研修を始める頃は何も分からないので必修科目を回りますが、慣れてくると、勉強したい診療科が変わってきます。当院はそんなときに選択科目を柔軟に変更できます。はじめに考えていたことよりもあとで考えたことを優先させて、「変えたら駄目」と言うよりも「やってみていいよ」と背中を押してあげることの方がいい研修になると思います。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

研修医が何でも話してくれるような態度をとることです。指導医と研修医の立場の違いはどうしてもありますので、話しづらい態度よりはオープンでいたいものです。私は臨床研修センターの主任でもありますので、研修医のメンタル面にも気を配っています。臨床研修センターはセンター長、副センター長、主任が2人の計4人の医師で構成されています。病院内でのことはもちろんですが、研修医の心の問題やモチベーションなどの些細なことも聞くようにしていますね。回っている診療科の指導医には言えないようなことでも臨床研修センターでは言えるような雰囲気にしています。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。

今はパソコンやゲームを当たり前のようにやっている時代です。私は外科医ですので、腹腔鏡手術の研修では初期研修医をアニマルラボに連れていき、ブタを使って胆嚢摘出術のトレーニングをさせています。胆嚢に穴が開くと、胆汁が漏れてしまうのですが、これを吸引するのは一人前の外科医でも難しいんです。ところが、今の初期研修医はUFOキャッチャーやテレビゲームなどで慣れているからか、三次元の把握が上手ですね。ポタポタ落ちるものをピンポイントで吸引していくので、驚きますよ。昔のゲーム機はスティックが2本でしたが、今は3、4本ですから、腹腔鏡が主流になってきた、今の医療へのトレーニングとしてはいいのかなと思っています(笑)。

研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

一人で抱え込まないで、皆で解決しましょうということですね。チーム医療の時代ですから、一人で治そうと思わず、医師以外の医療スタッフなど、色々な人の力を借りましょう。そうするうちに、自分の力も上がってきますよ。驕らず、そうかと言って消極的にならずという姿勢で、皆の力で診療にあたることを初期研修での心と身体の訓練を通して修得してほしいですね。

大学病院と市中病院の初期研修の違いはどんなところにあるとお考えですか。

大学病院は組織が縦横に長く、大勢の人がいます。初期研修では手技が少なく、手技の取り合いの面もありますね。また、学会への準備や先輩医師の手伝いなどで臨床の経験をなかなか積めません。私の頃は当直のアルバイトが許されていましたが、やらないといけないことが終わっていないのに、夜7時には当直先に行かないといけないということがありました。一方で、市中病院は組織が縦にも横にもコンパクトですし、教授のような偉い人はいません(笑)。言いたいことが言え、したいことをじっくりできる環境ですし、初期研修では途中で科目を変えたくなれば、近くにいる指導医に頼めば可能です。疾患も身近なものが多いですね。ただ、アカデミックな面が身につきにくいというデメリットがありますので、当院では学会発表への指導を積極的に行っています。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

良い面と悪い面がありますが、良い面としては色々な診療科を診ることができること、自由度が高いことでしょうか。今は内科も細分化されていますから、そういった内科の様々な科や地域医療まで学ぶことができるのはいいですね。そして、国家試験に合格後の2年間に将来の専門を選べる時間があるのも大きいです。昔は卒業した段階で、すぐに専門を決めないといけなかったので、誤った科に行ってしまった人もいたんですよ。

現在では途中でドロップアウトしてしまう初期研修医が毎年200人ぐらいいると言われています。

希望と現実は違うものですが、希望に出会えなかったことが残念ですね。初期研修医の希望に合うように話をしながら詰めていかなくてはいけないでしょう。長い人生ですから、少し遅れてもいいですし、そんな人たちももう一度、初期研修をし直せるような病院や医学界でありたいものです。そういう人たちを色眼鏡で見ないような器の大きさが求められますね。医学生の中ではいわゆるブランド病院が人気のようですが、初期研修医としてブランド病院に行き、その後もそこに残りたいのなら力をつけないといけません。また、ブランド病院ではない病院もブランド力でなくても、ここで初期研修をしたいと思ってもらえるような病院である努力をすべきですね。

新専門医制度についてのご意見をお願いします。

国としても、きちんとした専門を持つ医師を養成したいのでしょうね。ただ、初期研修医もなるべく大きなビジョンを持ってほしいし、病院側もそういうビジョンのある人たちを集めないといけません。病院内に優れた専門医、指導医がいるなど、病院としての工夫や努力が必要です。大学病院だけが専門医取得にふさわしい施設なのではありません。市中病院も頑張って人を育てて、認定医や専門医を取得させ、これからの専門医施設になれるようにしていくことが求められています。

カンファレンスはどういった雰囲気ですか。

私は手術管理科にいるのですが、色々な診療科を巻き込んでのカンファレンスをしやすい体制です。大学を離れて久しいですが、大学だと一旦、教授や診療部長などに上げて、そこから下ろさなくてはいけないんですね。ところが、当院は個人に話せばカンファレンスができるんです。手術管理科では特殊カンファレンスというカンファレンスを行っています。手術に外科医だけでなく、産婦人科医や泌尿器科医が入る場合があります。そんなときに特殊カンファレンスを開いて、ほかの科の医師とも話をするのですが、仕事をしやすくなりますね。

富士市立中央病院の課題はどんなところにありますか。

当院は東京慈恵会医科大学と関係が深く、今も慈恵医大と浜松医科大学の学生さんが小児科、産婦人科、消化器内科、循環器科で臨床実習をしています。この程度の規模の病院ですから、今後は学生はもちろん、より多くの研修医に来てもらって活性化したいです。そうすれば、ほかの医師のモチベーションも上がってくると期待しています。指導医の認識を高め、医学生に来たいと思ってもらえる病院にすることが課題ですね。救急も行っていますし、大学病院のように、何でも行える病院にしていきたいです。

医局の雰囲気はいかがですか。

医局は一つですし、臨床研修センターも近くにあります。医師は90人いますが、納涼会や忘年会など、年に2回以上は皆で集まっています。各診療科ではオーベン制度のような教育をしていますし、私も初期研修医が質問に来れば、中心静脈や点滴などの手技を教えています。また、手術の助手を任せることもありますね。

どんなタイプの初期研修医が伸びますか。

私はいつも「何でも言ってこいよ」と言っています。尻込みせず、失敗してもいいから積極的に来る人がいいですね。キャリアが上になると失敗できませんが、今のうちに失敗をして、失敗から学んでほしいです。失敗を恐れないでください。何かあれば、こちらが初期研修医を守ります。手技は消極的にする方が失敗するものですよ。そういったことを教えるのも上の仕事だと考えています。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

当院は縦も横も繋がりが良く、若手医師が多いので話しやすい雰囲気のある病院です。富士市内で唯一の基幹病院ですので、色々な患者さんや症例が集まります。救急医療も行っています。JPTECやJATECなどの資格取得も支援しています。いい雰囲気ですので、是非、来ていただいて、一緒に働ければと思っています。

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