指導医インタビュー

学校法人産業医科大学

産業医科大学病院

福岡県北九州市八幡西区医生ヶ丘1番1号

名前
阿部 慎太郎 先生
職歴経歴
1961年生まれ 福岡県北九州市出身
1985年 産業医科大学卒業後、同年第3内科(現消化管内科、肝胆膵内科)入局
(中略)千葉労災病院、日本大学第1病理学、NTT北九州病院(産業医)、福島労災病院消化器科、産業医科大学第3内科で勤務
1999年5月 産業医科大学病院 産業医臨床研修等指導教員 就任
2018年4月 同診療教授 就任
学会等
専門分野:肝疾患、胆道疾患
医学博士、プログラム責任者、日本内科学会指導医・総合内科専門医・認定内科医、日本消化器病学会指導医・専門医、日本肝臓学会指導医・専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、欧文誌Journal of Gastroenterology and Hepatology編集委員

産業医科大学病院の特徴をお聞かせください。

大きく4つの特徴があるのですが、まず、北九州市内で唯一の大学病院で、医学教育に必要な30診療科を標榜し、幅広い症例が集まります。
2つ目に、地域がん診療連携拠点病院であり、がんセンターを設置しているので、がんに関わる集学的治療、教育、研修の実施、医療機関との連携・協力、緩和医療の提供を行っています。
3つ目に、北九州市内の病院としては、当院のみPET-CTを保有しています。
4つ目は、特殊施設として、総合周産期母子医療センター、緩和ケアセンター、脳卒中センター、呼吸器病センター、四肢外傷センター、認知症センター、就学就労支援センターおよび両立支援科があります。

産業医科大学病院の初期研修の特徴をお聞かせください。

2年間の研修の内、1年間までは近隣の協力型病院(北九州市立医療センター、北九州市立八幡病院、北九州総合病院、JCHO九州病院等)や協力施設での研修が可能となっています。そのため、各自が自由にプログラムを設定することができます。また、少数の研修医の体制となっており手技を学ぶ機会を多く得ることができます。ひとりの研修医に複数の指導医が就く体制で、手厚いバックアップにより安心して研修を受けることが可能です。特に年の近い3年目の上級医が非常に多いので、研修医が気軽に相談できる環境にあると思います。また、大学病院ならではの特殊疾患も多く、専門医取得に必要な症例も集まりやすいですね。他の病院と同じように、2年間臨床のみの研修を行うことも可能ですが、希望により初期研修期間中に無料で認定産業医の資格を得ることもできることが大きな特徴だと思います。
充実した研修支援体制、専属指導医教員によるメンター制度、産業医・保健師・臨床心理士によるカウンセリングもあります。アメニティーの充実した広くて綺麗な研修医室もあります。その中には個人の机、当直室2部屋、仮眠用ベッド、ソファー、ロッカールーム、冷蔵庫、電子レンジもあります。あと、研修医専用の綺麗な宿舎もあります。大学の敷地内にあって病院から徒歩3分ぐらいで、家賃が5,820円です。それとは別に家族用の職員住宅もあります。

大学病院での研修の良いところはどんな点でしょうか。

一般的に大学病院は内科系・外科系とも症例数が多く、プライマリから高度専門医療まで幅広く臨床経験をすることができて、専門医取得に必要な症例が集まりやすいということがいえると思います。メンター制度やカウンセリングなどの研修支援体制は、一般病院よりも充実していると思います。

現在、初期研修医は何人いらっしゃいますか。(男女比なども含めて)

現在1年次の研修医が7名で男性6名に女性1名、他大学出身者3名に本大学出身者4名となっています。2年次は10名で男性6名に女性4名、他大学出身者4名に本大学出身者6名です。
2021年採用予定者はフルマッチして11名で男性8名に女性3名、他大学出身者5名に本大学出身者6名です。ありがたいことに毎年他大学出身者の方にも多く来ていただいていますが、産業医資格が取れることも要因ではないかと思います。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

私自身は研修医に対して、各ローテート科の指導医が研修評価いただいたものに対する統括的評価、臨床研修プログラムの作成と研修医への還元、ローテート先の調整、悩みや相談に対する助言等を行っています。
廊下で顔が合った際は、出来るだけ話しかけて研修状況を確認するようにしています。
また、直接臨床の場(消化管内科、肝胆膵内科)で研修医に指導する場合は、適切なフィードバックを行うように心がけています。研修医が良い医療行為をすれば当然褒めてあげて、不適切なことをしてしまった場合は、患者さんの前で注意せずに、場所を変えてどうすればよかったのか本人にまず振り返ってもらい、それに対して適切なフィードバックを行うような指導をしています。
ともかく、研修医がストレスのない働きやすい環境で仕事ができるよう、適切な助言が大切ですね。

最近の初期研修医をご覧になって、どう思われますか。

一般に初期研修医と聞くと、忙しいとか雑用を押し付けられるというイメージがあるかもしれませんが、ご存知のように近年は働き方改革が叫ばれて初期研修医の働き方はかなり改善されており、なるべく初期研修医に残業させない取り組みが広がっていると思います。特に大学病院では初期研修医を守る働きが進んでいます。当院の初期研修医は少数精鋭といえますので、短時間で効率良く一生懸命働くような方法を身に付けているように感じます。勿論、自主性を持って研修に臨むことは大切ですが、上級医に余計な気を使ってダラダラと長時間、無意味に遅くまで残って仕事をするのは一昔前の時代だと思っています。

先生はどのような初期研修医時代を過ごされましたか。

私はもうかなり昔なので今の初期研修医とは全く異なっていて、いわゆるストレート方式による研修を受けました。内科ばかりを2年間回るということですね。だから1年目は産業医科大学病院で、現在も兼任している第3内科で6か月間ローテートして、残りの6か月間は第1内科(膠原病・糖尿病・以前は血液内科も)をローテートしました。2年目は千葉労災病院で消化器内科を中心に呼吸器内科や循環器内科を研修しました。2年間内科ばかりです。現在のスーパーローテート方式で広く浅く学ぶメリットも大きいと思いますが、2年目の千葉労災病院では1年間を通じて内視鏡検査や腹部超音波検査をやることができて、現在の専門分野の基盤を早い時期に作ることができたので、そういう点はストレート研修の良い点だと思っています。

先生が現在の消化管内科、肝胆膵内科を選ばれた理由はなんですか。

まず外科は、体力的に自信がなかったというのはあります。したがって内科を選ぼうと思っていたのですが、その中でも、消化管内科、肝胆膵内科というのは、内視鏡を始め色々な手技ができるので、一般病院や大学病院に勤務するにしろ、開業するにしろ、将来どの方面に進んでも需要が多い分野ではないかと思いました。私自身、色々な手技をするのが好きだったのでそういった理由で選びました。

初期研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

色々なタイプの先生がいると思いますが、皆さんそれぞれ悩みもあると思います。そんなときは自分だけで解決しようとせずに、遠慮なく相談してもらうのがよいと思います。直接上級医や指導医に相談しにくいこともあると思いますので、そんなときは私たち産業医臨床研修等指導教員に気軽に相談していただきたいですね。そうすれば必ず解決方法を見出しますので。

現在の臨床研修制度はいかがですか。

スーパーローテート形式で色々な科目を勉強することができますね。将来様々な症例に対応できるプライマリ・ケアの能力を身につけることができ、ストレート研修を受けた私にとって羨ましい限りです。ただ、一方でストレート方式とは違って、自分が将来進む専門分野の修練を、初期研修期間中には十分行うことができず、3年目以降になりますので、少し遅れを取ることはあると思います。また、自分たちの頃は初期研修期間中に同じ科を6か月以上回りましたが、今は短いですよね。したがって、同じ指導医の先生や患者さんに長く接することができないデメリットもあると思います。今の初期研修医は、研修中に3年目以降自分が進みたい科目を意識しながら研修するとよいですね。

指導されている研修医にどのような医師になってほしいと思いますか。

医学的な手技や知識の修得はもちろん大事ですが、患者―医師関係を重視してコミュニケーション能力の高い医師になってほしいと思います。そうすれば自ずと患者側も医師側も満足できる医療を提供することができ、医療事故や訴訟の減少にも結びつくと思っています。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

今はCOVID-19の影響で病院見学等があまりできないですが、オンラインで病院見学の代わりに私たち産業医臨床研修等指導教員がプログラム説明を行っています。あくまでも全体の説明なので、ある診療科を見学したいという学生さんは、当該診療科の担当医師にオンラインで説明していただくことも可能ですので、ぜひご相談ください。
また、研修医になった際には上級医、指導医と綿密にコンタクトを取ってよく相談して、患者-医師関係を第一に考えて研修に取り組んでもらいたいと思います。くれぐれも健康には気をつけて、何か悩みがあったら私たち産業医臨床研修等指導教員に気軽に相談していただければと思います。