指導医インタビュー

医療法人 徳洲会

大隅鹿屋病院

鹿児島県鹿屋市新川町6081番地1

名前
貴島 沙織 先生

大隅鹿屋病院の特徴をお聞かせください。

大隅半島で大きな総合病院というのは当院しかなく、近辺の住民皆さんにも困ったら大隅鹿屋病院に行くと思って頂いています。当院は診療科の垣根がなく、循環器や腎臓、呼吸器内分泌、感染症等、幅広い疾患の方が当院に来院されています。

大隅鹿屋病院の研修の方針や、先生の教育理念についてお聞かせください。

初期研修の2年間はなんでも質問して良いし、いくら恥をかいても良い時期ではあると思っています。ただ、後々は自分で判断して治療していかなくてはいけないので、もちろん指導医はそばで見ていますが、初期対応や救急対応をある程度研修医に任せて、自分で考えさせるというのが、私だけでなく当院の教育方針になっています。
教育すると言う事は、非常に労力と時間はかかりますが、当院の指導医はみな教えるのが大好きで、いずれは地域の医療を支えていってくれるだろうと思って日々指導をしています。研修医を指導するのはもちろんの事、クリニカルクラークシップや病院見学に来た医学生に対しても、みんな自分の仕事も忙しいのに、丁寧に教えています。私たちがここで教えた人が、もし当院に来なかったとしても、どこかで活躍できる様に教えていきたいと思っています。

先生がいらっしゃる科の特徴をお聞かせください。

当院の内科は、本当にひとくくりの「内科」という形で診療を行っています。来る患者さんの層が厚くて、周辺の病院の先生も困ったらうちの病院を紹介されるので、呼吸器疾患、肺がん関係、間質性肺炎とか難しい病気から、腎不全、透析導入、ICUでの管理であったり、感染症、糖尿病のコントロールなど、いま総合内科専門医等言われていますが、専門資格に必要な症例を網羅できるくらい幅広い患者さんが来られます。他の病院では細分化されているところを当院では、「内科」として診療しているので、当たり前の様に全体を見る事が出来るのは特徴だと思います。また、私たち内科の指導医が常に考えているのは、道端で倒れている人を救えるような医師になってほしいと思っています。例えば、新幹線に乗っていて、「だれかお医者さんはいませんか。」という時に、自分は専門外だからと出ないのではなく、患者さんの病気が何かも分からない状態から、心肺蘇生して、ABC(気道確保、人工呼吸、心臓マッサージ等による心拍と血圧の維持)をして鑑別して、病院に運ぶと言った、緊急時の初期対応を過不足なく出来る様になって欲しいです。それが出来る様に指導をしますし、必要な症例は十分にあります。うちの内科の一番の強みは、○○の症例数は他の病院には負けませんという事ではなく、総合力なのかなと思っています。

大隅鹿屋病院の初期研修の特徴もお願いします。

1年目は基本的に当院で最低限必要な技術や知識を学んでいきます。2年目は徳洲会グループという事もあって、院長と研修医だけといった、指導体制があまり整っていない離島とかへき地などの病院で研修を受けます。1年目に当院で学んだ事を2年目に自分が責任を持ってやる事になるので、2年間守られているだけではなくて、自立できる環境があります。2年目の研修先は年度によって違いますが、奄美とか徳之島や、東北・北海道とかですね。その時の人手が足りないところで研修を受けています。そういうところから帰ってきた研修医を見ると、一年目は少し心許ないと思っていた子が様々な事を経験して下地を作って戻ってきます。

指導される立場として、心がけていらっしゃることを教えてください。

(直接的な指導で言えば、朝の救急の振り返りとか、後期研修医の先生のフィードバックをして、みんなの中で共通理念というか、この疾患が来たらこういった処置をしましょう。といった共通の知識を教えています。あとは救急対応の時に質問を投げかけて、研修医に自分で考えてもらう様にしています。)

私は出来ない子っていないと思っていて、みんな伸びしろはあるし、それをいかに伸ばしてあげられるかだと考えています。ただし、ペースや能力というのは人それぞれだと思うので、個人に合わせて指導する様にはしていますね。私は絶対に「あいつは使えない。」とか「あいつは出来ない。」いう発言はしません。そうなってしまうのは、指導医が馬鹿だと思っているから。教える立場が馬鹿だから研修医が成長していないんだと考えています。成長させてあげるのが教える立場の責任だと思っているので、その人の個性やスピード、どこまで理解したかを見極めて、「ここはこうしよう。」「ここまで自分でしようか。」「ここまで鑑別挙げてみようか。」とか、段階を踏んだ上で、人によって変えるようにしています。

反対に先生が研修医から学ぶ事はありますか。

こっちが曖昧になっていることを質問されると勉強になるというのが一つ。一瞬ぎょっとすることを研修医がしていて、それを指摘する時に、最新のデータを見てみると、研修医の方が正しかったりもします。それと、間違っているようで実はこういう考えもあるんだなとかですかね。研修医から学ぶ事はたくさんあります。なので、教えることで私も最新の知識をブラッシュアップ出来ています。あとはまあ私も気持ちは若いところがあるので、若い人と話してリフレッシュしているかなというところですね。

研修医にどのような医師になって欲しいですか。

昔のギリシャの話で、医者や政治家、法律家といったプロフェッショナリズムが高い職業は、ある程度自分の事を犠牲にして働かないといけないって言われていますよね。ただ、医学教育の中で、教えるのが難しいのはプロフェッショナリズムというか倫理観だと思います。いくら技術があって、手技がうまくて、治療法を考え付いても、倫理的な患者さんの背景が分からないのであれば良い医者ではないと思っています。もちろんQOLを維持しましょうとかみんな出来ていますが、患者さんためにどう動くかが重要です。自分の全てを犠牲にしろとは言いませんが、多少自己犠牲してでも相手のために尽くせるプロフェッショナリズムの高いお医者さんになってほしいと思います。

最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

年度によって特徴があるのですが。ゴリゴリやる年代もあれば、「不安だから一緒にいて下さい。」という年代もありますね。最近の研修医の先生がそうなのかはわかりませんが、とある年はすごい自分でガンガンやって、2年目で一人主治医できるくらいの技術があるという人もいれば、2年目も普通に手取り足取りっていう人もいるので、確かにちょっと貪欲じゃない人もいるかなと思います。

積極的に来る子のほうが教えやすいのでしょうか。

一概にそうとは言えないですね。臨床研修が終了しても、長い目で見れば、10年目くらいになればみんな同じレベルになるので、最近の子は覇気がないとか劣っているとかは一切思わないですね。

「印象に残っている研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。

印象に残っているというか、以前うちで研修していた先生なのですが、コミュニケーションも上手ではないし、手技も不器用なタイプで、大丈夫かなっていう子がいました。でもすごく礼儀正しくて、みんなで食事した時も、率先して後片付けをしていたり、挨拶もしっかりしていたり、そういうところがしっかり出来る子でした。その子が2年目に離島に行って、多くの経験をして、その後もうちで後期研修をして手技も身に付いているのを見た時に、先ほどのプロフェッショナリズムの話じゃないですけど、いいなって思いましたね。技術や知識はそのうち身に付きますが、礼儀とか見えないところで頑張れるのはすごく大事だと思います。後々うちに残ってもくれたし(笑)。そういう礼儀正しさ、人としての正しさはすごく気持ちよかったです。

研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

楽しく好奇心をもってやってもらえたらいいかなと思います。最近思うのは、「頑張る」という事は、「無理している。」って意味なのかなと。好きな事って、頑張らなくてもやっていけると思います。ワクワク楽しく好奇心を持ってやってもらえたら、多少苦しくても続けられるかなと思います。今は苦しくても、いつかいいことがあるし、苦しい患者さんを経験することが、次にいい治療を経験できるステップなので、苦しさを楽しむというとM(自虐)みたいだけど、楽しくやることが大事じゃないかなと思います。それに、周りとコミュニケーションを取るうえでもやっぱり楽しむ事は必要だと思いますね。

先生の研修医時代はどのようにお過ごしでしたか。

研修医時代は大手の市中病院と大学病院で過ごしたので、ほとんど学生実習状態でした。研修中は救急車を一人で見たことがなかったです。先ほど私が言っていた、道端で倒れている患者を救える医者にはなれないような感じでした・・・(苦笑)。それが悪いわけではなく、それが古くから大学病院系列でやってきた研修ですし、いいこともありましたし、悪いとも思わないです。ただ、今ここにいる研修医よりは全然何もできない医者だったかなと・・・。学生の延長という感じでしたね。ただ、臨床研修初年度でしたから、病院も何をしたらよいか分からない中で、指導する体制も指導医も分かっていないような状況だったので、仕方がないと言えば仕方が無かったかもしれませんね。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

やっぱり道端で倒れている人を救えるようになってほしいと思います。若い時はなんでもジェネラルにしていたほうがいいなと思っていて、専門領域を突き詰めるのは後々いつでも出来ると思うのですが、若いときに得た知識や経験は、じゃあ40~50代でジェネラルにしようと思っても難しいと思います。若いうちは揉まれてほしいと思うので、症例が経験できる病院がいいかなと思います。そういう意味でうちも一つの選択肢に入れてもらえるといいかなと思います。

最後に大隅鹿屋病院のPRをお願いします。

医者の垣根がないというのはもちろんどの病院もそうだとは思いますが、看護師さんやコメディカルの方とも話しやすいですし、孤独にならない病院だと思います。一体感は抜群だと思いますね。大隅半島で当院が最後の砦になりますし、うちでなんとかしないと患者さんが亡くなってしまうので、みんな全力で患者さんのために尽くしてくれています。それは医者だけじゃなくて、看護師や検査部も含めて、全部一体となっている感じがあって、全てに関して動きが速いので、やりやすいし研修医一人でジーっとしているようなことはないです。来たら色々なところで声をかけられたり、遊びに行きませんかと誘われたり。良くも悪くもあるかもしれませんが、みんなでワイワイ楽しく一体となってやっています。学生の皆さんに伝えたいのは、色んな病院を見て、行った時の合う/合わないはよく見ておいた方がいいかと思います。うちは体育会系の病院なので、合わないなと思ったらカンファがいっぱいある病院に行ったりするとか・・・。とにかくよく見る事をお勧めします。その上で当院を選んでいただけたら、病院全体で皆さんの研修を全力でサポートします!

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