指導医インタビュー

国立病院機構

熊本医療センター

熊本県熊本市中央区二の丸1-5

名前
櫻井 聖大 指導医
医師免許
平成18年(平成17年度)取得
職歴経歴
救命救急・集中治療部医長(H26)、集中治療室長(H31)、日本救急医学会専門医、日本集中治療医学会専門医、日本臨床救急医学会評議員、日本内科学会 認定内科医、日本蘇生学会 指導医、日本救急医学会認定ICLSディレクター、厚生労働省DMAT隊員、厚生労働省病院前医療体制指導医、フライトドクター

熊本医療センターの病院の特徴を教えてください。

病床数が550床と比較的大きな病院で、標榜する診療科も多岐に渡っている病院です。場所も熊本市の中心地からかなり近くて、すぐ隣には熊本城があり、仕事が終わったあとに飲みに行きやすい環境です(笑)。病院を挙げて救急医療に力を入れている病院なので、毎日多くの救急車が来ています。

櫻井先生は本年度から集中治療室の室長になられましたが、救命救急科の特徴をお話ししてください。

救急車で運ばれてきた患者さんの初療を対応のみならず、入院になった重症患者さんの全身管理も引き続き行いますので、外来だけではなく、病棟も持つのが珍しいところです。初期対応だけでなく、その後の全身管理も診られるようになるのが当院の特徴です。

年間どれくらいの患者さんが来られるのですか。

2018年は公的救急車が8601台でした。それに加えて、他病院からの救急車が743台、あとはヘリコプターが136台来ました。手段は色々とありますけど、救急搬送になった患者さんを9500人ぐらい受け入れていることになります。

救命救急科でその後の病棟の管理を含めて診るというのは全国的にも珍しいですね。

救急は大体大きく二通りに分かれます。初療に専念するタイプの救急もあれば、入院後の管理まで継続して行うというタイプもあります。当院は入院患者さんの数自体もかなり多くて、初療だけでなく、その後の継続した全身管理にも力を入れています。

救命救急科のプログラムの特徴をお聞かせください。

3年間のプログラムなのですが、そのうちの2年間は基本的に当院で研修を積み、残りの1年間を連携病院で修練を積んでいただくといった形です。

昨年度から新しい専門医制度のプログラムが始まっていますが、救命救急科では以前と比べてどのような違いになりましたか。

当院の中で行う研修については基本的なやり方は同じです。一人で考えて、一人で対応し、何かあったら上級医に相談しながら、自分で考えて行動するということは以前から変わりありません。ただ、救命救急科自体のスタッフの数が増えてきているので、専攻医への面倒見は昔よりかなり良くなってきていて、相談しやすい環境になっていると思います。

専門研修プログラムを受けることによって、どのようなスキルが身につきますか。

一言で言うと、何でもできるようになります。運ばれてきた色々な重症患者さんを初療で対応して、引き続きその後の全身管理をしていくことになりますから、ものすごい経験を積むことはできます。もちろん手技的なことや処置もかなり多く経験することができますので、数カ月もすると、専攻医としての自信もついてくるはずです。

先生は初期も含めて、どのような研修医時代を過ごされていましたか。

初期研修医時代は病院自体が結構平和な病院だったので、9時から5時までの規則正しい生活を送っていました。救急だけが特殊で有名なところだったので、救急はとても充実していましたが、それ以外の一般科は緊急手術などもないような病院だったのです。当院の後期研修医として働き出したときは今の院長とセンター長が上にいて、あとは私の同期に2人いるだけで、人が非常に少なかったので、相当ハードな日々でしたが、主体性や積極性は自然と身につきました。

初期研修先の大阪から、後期研修で熊本医療センターを選ばれたのはどうしてですか。

初期研修では当院を第二希望で出していたのですが、第一希望の大阪の病院に受かったので、大阪に行きました。その後、熊本に帰りたいと思ったときに、精神科救急にも興味があり、熊本医療センターに橋本先生という精神科兼救急科の先生がいたということもあり、救急を非常に受け入れている病院だったので、当院に来ました。

なぜ救急を選ばれたのですか。

もともと救急には興味がないというか、むしろ嫌いだったので、あまり近寄りたくない領域でした。私は終末期を診るという緩和ケアに興味があったので、緩和ケアで有名な病院に見学へ行っていましたが、緩和ケアをしている先生は刺して腹水を抜くなどの手技的なことはあまりしていないのを知りました。そのとき、患者さんやそのご家族から自分の主治医の先生が何でもできた方が安心だという話を聞いて、緩和ケアをするにしても、何でも一通りできるようになった方が良いなと思い、救急に少しずつ興味を持ち出したというわけです。

専攻医を指導する際に心掛けていらっしゃることはありますか。

専攻医にこうしなさいと上から言うのではなくて、とりあえず自分で考えてもらうことが非常に大事だと思っています。専攻医にとって指導医は自分で考えた答えが正しいのかどうかを答え合わせする存在なので、指導医に質問してもらうように心がけています。

初期研修が終わって、専攻医になられる先生方にこれだけは言っておきたいことはありますか。

初期研修が終わって、専攻医になるということは主治医になるということなのです。研修医時代は守られた中での診療ですが、主治医になると全ての責任が必ず生じてきますので、その責任をしっかり果たす覚悟を持って、患者さんに対応していかなくてはいけないと思います。

熊本医療センターの良さを教えてください。

患者さんが非常に多くて、忙しい病院なので、辛いことも多々あります。逆に言うと、それだけ遣り甲斐がある病院ですから、きついときでも歯を食いしばって頑張っていけると思います。

今後この熊本医療センターでやってみたいことはどのようなことでしょう。

現在、救急外来は各科の先生で協力し合って行っていますが、今後、救命救急医が増えて、マンパワーが充実すれば、救急外来は救命救急科で回したいです。それは多分、他科の先生方も熱望していることだと思うのですが、人が増えないとどうしようもないことなので、私の目標はまずは救命救急科の人員を増やすことです。

初期研修医の方にメッセージをお願いします。

救命救急科のプログラムに救命救急科の専攻医として来ていただければ、非常に濃密な研修が受けられます。異動がないことも大きなメリットとして感じていただけるでしょう。大学に入局すると、年単位で異動がありますが、当院に来れば異動はありません。お金が貯まれば、家も建てることもできます(笑)。救急をやりたい人にとっては非常に良い環境です。臨床的な修練は嫌というほど積めますし、患者数が非常に多いので、臨床研究をするのにもデータを集めやすいです。頑張れば、色々な研究や学会発表もできるのも大きな魅力だと思います。

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