指導医インタビュー

愛知県厚生農業協同組合連合会

渥美病院

愛知県田原市神戸町赤石1-1

名前
三谷 幸生
副院長、診療部長、研修管理委員長
職歴経歴
1964年生まれ。1988年名古屋大学卒業。加茂病院(現 豊田厚生病院)、名古屋大学医学部附属病院、昭和病院(現 東濃厚生病院)勤務を経て、1999年より渥美病院勤務。2014年より副院長。
学会等
日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本高血圧学会指導医など。

病院の特徴をお聞かせください。

当院は渥美半島で唯一の病院で、他に病院はありません。したがって当院が渥美半島の医療全体を担っています。救急医療を中心にしていますが、地域の医療ニーズに全力で応えるために、亜急性期、療養期まで対応できるケアミックスの病院です。

病院の初期研修の特徴もお聞かせください。

研修医の先生に幅広く経験してもらうことに主眼を置いています。当院は研修医の定員が1学年2人と少ないですが、逆に研修医一人一人のニーズや性格に合わせた個別性の高いカリキュラムを組んでいます。研修医の「私はこういうことをしたい」という希望に応えることができるし、ほかの研修医と重なることでカリキュラムが組めないということもありません。
救急医療の研修に力を入れていることも特徴です。私たち医師は救急医療の最前線で研修医に指導しながら一緒に診療を行っています。研修医がいろいろな手技や診療機会を経験できるように配慮しています。ただし他には研修医が少数ですので、研修医個人の業務が過剰にならないようには配慮をしています。また、当院だけでは経験できない診療科は、近隣の大きな連携病院と連携して研修できるようになっています。

最初はどの診療科に行くのですか。

最初の3ヶ月は1ヶ月ずつ循環器内科、外科、整形外科を研修してもらうようにしています。最初にその科を回るのは研修医も救急や当直の現場に立ちますので、救急医療の基本的な診療技術や手技をより早い時期に身につけてもらうのが狙いです。

ほかに、特徴はありますか。

ジェネラルに幅広く患者を診ることをモットーに指導をしています。主な診療科は教育施設にも認定されていますし、この規模の病院には珍しく麻酔科医と病理医が常勤としていますので、教育的な研修が積めると思います。主要な科は1年目に全科ローテートにしています。いわゆるマイナー科は希望に合わせて主に2年目に研修をします。
私のいる循環器内科では冬場の心血管多い時期に再度重点的に回ってもらい、入院初期から主治医としても治療に参加してもらっています。その方がモチベーションも上がります。2年目の後半は、希望により本人の将来目指す科で重点的に研修することもあります。
当院は大きな病院ではないので、各科の風通しが良く、医師とコメディカルスタッフの関係も緊密ですが、研修医に対しても同様で、スタッフと温かい関係が構築されていますね。ある科を回っているときに、ほかの科の医師から「手術に入らないか」と声がかかったり、指導を受けることもよくあります。

指導されるお立場として、心がけていらっしゃることを教えてください。

みなさん最初は学生の気分が残っていますので、社会人として、医療者としての心構えを身につけてもらおうと気を付けています。指導方法としては、自主性を育てるために、むしろ教えすぎないように心がけています。受け身の研修に陥らないように課題を与えて取り組んでもらいやる気を引き出して、成功体験を重ねてほしいと思っています。また、若手で優秀な先生も多いので、その先生たちにロールモデルとしての部分を演じてもらい、直接的な指導者として関わってもらっています。

研修医のやりたいことを最大限、尊重されているのですね。

そうですね。当院で研修できない診療科は、近隣の大きな病院で研修できる様に連携をしています。その意味でも研修医がやりたいことを提供できていると思います。

最近の研修医をご覧になられて、どう思われますか。

30年前は「先輩の背中を見て覚えろ」と言われ、教育という意識が今よりも薄かったように思います。今は指導医が研修医教育に高い意識を持っていますし、指導体制も整っています。また、教材も揃っていますから、正直なところ恵まれていると思います(笑)。もちろん、研修医自身もちゃんと勉強しているなあと感心することが多いです。
また、電子カルテの恩恵だと思いますが、研修医も直接タッチしていない救急患者のことも電子カルテで確認して勉強してCT画像などよく見ていますので、画像診断はみんな比較的得意になりますね。逆に、研修医室の電子カルテの前で業務を済ませようとするは近頃の悪い点ですね。もっと現場や病棟に出てほしいし、患者を直接診て欲しい気はします。

先生はなぜ循環器内科を選ばれたのですか。

循環器内科は「生きる死ぬ」に一番直結していますし、治しているという手応えを直接感じるところに魅力を感じました。また、循環器救急の現場でチームで集まって治療にあたるのはとても楽しかったんです。循環器は本当に面白いです。最初に患者さんの救命・救急治療をして、その後慢性疾患として治療し背景の生活習慣病も診ながら患者さんの長期予後を改善していくという治療の流れがとても気に入っています。

循環器内科は大きく変わりましたね。

私たちの時代はちょうどインターベンションなどの循環器診療が伸びてきた時期でした。皆で成長していこうとする活気のある時代でしたね。昔はガイドラインもエビデンスもまだ整備されていませんでした。循環器インターベンション治療や薬物治療が発展してエビデンスとして定着していくところを体感できたのは貴重な経験だと思っています。

先生はどのような初期研修医時代を過ごされましたか。

名古屋大学の関連病院では当時から、1年間のスーパーローテート研修をしていました。愛知県豊田市の加茂病院(現豊田厚生病院)で研修を行いました。研修医が7人いて、やはり救急ばかりしていたという印象があります。当直の回数も多かったですし、全科を回って、それぞれの科で目新しいことがあって、すごく楽しかったという印象ですね。学生気分がまだ抜けていない中で、色々なことをさせていただいて感謝しています。

初期研修医に対して「これだけは言いたい」と言うことがあれば、お聞かせください。

学生とは根本的には違い、研修医は社会人であり医療者であるということです。患者さんは全面的に体を委ねて、こちらが全力で診療しなければならないという立場にいるということをまず理解してほしいです。
また、能動的に研修に取り組むことが非常に重要です。能動的な態度を見せてくれると、指導医はとても指導がしやすいです。これは他の職種の方への接する上でも同じことが言えます。能動的な態度を見せることも含めて、コミュニケーション能力を身に付けることは、成長する上でも、自分の身を守る上でもとても大切です。

現在の臨床研修制度はいかがですか。

将来にわたっての基礎を築く大切な2年間ですので、スーパーローテート研修は非常に良いシステムだと考えています。患者さんの診療をするには、総合的な医療知識が必要ですので、それを研修の場で体験できるということは大きな価値があります。

新しい専門医制度についてのご意見をお願いいたします。

医療や教育の標準化が進みますので、医療の質が上がるのではないかと楽観的に考えています。ただし、頻回の転勤を伴う点、専門領域に入る時期が遅れることなど問題も指摘されています。心配しているのは、都市部に医師が集中して地域の病院に来なくなってしまわないかという点ですね。

これから初期研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いいたします。

渥美病院での初期研修は田舎暮らしに抵抗がないならば、どんな人にも喜んでもらえるはずです。
救急医療の急性期から亜急性期、慢性期まで多くの症例を経験したいという、やる気もある方に是非、来てもらいたいです。また、大きすぎない規模で個別的な教育が得意なので、大きな病院が苦手な方や奥手の方に対応しやすいと思います。
経験できる医療は豊富にあります。研修医の数が少ない分、一人当たりが経験する患者数は多いため、力がつきます。ぜひ、一度渥美病院に見学に来てください。おいしい魚を食べながら語り合いましょう。

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