指導医インタビュー

独立行政法人 国立病院機構

災害医療センター

東京都立川市緑町3256

名前
関口 直宏 先生
教育部長、血液内科医長、治験管理室長、指導医
職歴経歴
1971年に神奈川県藤沢市で生まれる。1997年に東京慈恵会医科大学を卒業し、国立国際医療研究センター病院で研修を行う。2001年に東京慈恵会医科大学附属病院に勤務する。2002年に国立がん研究センター中央病院に勤務する。2004年に東京慈恵会医科大学附属柏病院に勤務する。2005年に国立がん研究センター中央病院に勤務する。2007年に藤沢市の在宅療養支援診療所で院長に就任する。2010年に災害医療センターに血液内科医長として着任する。2012年に災害医療センター治験管理室室長を兼任する。2013年にソウル大学に短期留学を行う。2017年に災害医療センター教育部長を兼任する。
学会等
日本内科学会認定医・指導医、日本血液学会認定専門医・指導医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、東京医療保健大学臨床教授、緩和ケア研修会受講終了者

災害医療センターの特徴をお聞かせください。

立川市は400万人もの人口を抱える多摩地区の拠点となる街です。そのため、当院は幅広いエリアをカバーしつつ、急性期の患者さんからコモンディジーズまでバランス良く診療しています。エリアが広いだけに、希少疾患も集まってきます。また、厚生労働省によるDMATの拠点病院でもあります。日本では大阪医療センターと当院のみです。しかし、通常は国立病院機構に142ある病院の中の一つの病院であり、災害と名前がついていても、一般的な診療を行っています。

災害医療センターの初期研修の特徴もお聞かせください。

救急が強い病院で、初期研修医は救急と内科の当直を通して、初期対応能力が向上します。また、内科が8つに分かれていますので、各科を回る中で考える力を養えます。選択が24週間あるのも特徴ですね。

そのほかの特徴もお願いします。

手技が多くできるのですが、国立病院機構は指導医数も多いので、マンツーマンで教育します。また、救急当直が救急を回っているだけではなく、2年間を通してあります。救急では頭で考えながら、身体を動かしていかないといけません。それはトレーニングし続けないとできるようにならないので、しっかり教育しています。

現在、初期研修医は何人いらっしゃいますか。

当院の初期研修医が12人、東京大学医学部附属病院からのたすきがけの研修医が2人の14人です。2019年度からは東京医科歯科大学医学部附属病院からのたすきがけの研修医が2人増員になります。当院のベッド数は455床で、災害時には900床まで増床できるのですが、ベッド数、研修医数と指導医数のバランスがいいですね。455床の規模だと初期研修医が全ての職種のスタッフと顔見知りになりやすいです。初期研修では他職種と密接に触れ合えた方がスムーズに仕事ができます。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

5つあります。1つ目は医師は医師同士はもちろんですが、色々な職種の人ともコミュニケーションを取らなくてはいけないということです。2つ目は患者さんは商品でなく、奉仕するものだということです。3つ目は時間や締め切りを守るために事務処理能力を高めようということです。事務処理能力に加え、言葉遣い、身なり、接遇をきちんとすることも挙げられます。4つ目は国立病院機構の病院は大学病院ではありませんが、一般診療のほかに治験を含めた臨床研究や教育もバランスよく行うことです。5つ目は一般的な診療能力のみならず、自分のスペシャリティを身につけようということです。

最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

我々の頃と比べると、小さくまとまっていますね。症例のうち、1割は教科書的でなく、非定型的なところがあります。典型症例は数多くやれば分かってきますが、その1割をどうするかなのです。より深く調べて、自分なりの考えを持ってほしいですね。今はスマホで情報が簡単に手に入りますが、EBMを勘違いしている人もいます。EBMは成熟した医師のみが使えるものであり、evidenceだけでなく、experienceも大事なのだということを自覚しないといけません。

先生はなぜ血液内科を選ばれたのですか。

外科志望だったのですが、外科に行く前に内科の知識や経験がないと合併症の管理ができないと言われて、内科の研修をしていました。血液内科でも研修したのですが、最低限の抗がん剤の知識を身につけた頃に固形がんを患って余命宣告を受けた若年女性の患者さんを診る機会がありました。化学療法をしないということでしたが、私は論文を40本ほど読んで、抄読会を開き、化学療法を提案しました。そうしたら指導医が「自分が責任を取るから、化学療法を始めよう」とおっしゃり、化学療法を行ったところ、その方はすっかり回復されて、今もお元気なのです。この経験から、血液内科を選択しました。メスが届かないところにも効く化学療法を学んでいきたいと思いましたね。

先生はどのような研修医時代を過ごされましたか。

いい意味で生意気な研修医でした。国立国際医療研究センター病院は内科が9つに分かれており、内科の中で選択をしながら様々な科目をスーパーローテートをしました。この時代に色々な疾患を診たことが私のベースの一つになっています。

現在の臨床研修制度はいかがですか。

2004年に始まった臨床研修制度も今は時代にマッチしていない部分があります。これは今から14-5年前に制定された制度ですので、いたし方がないものと考えますし、それだけ医療が進歩したということだと思います。一方で、地域医療の研修があることや選択期間が長く、自由度が高いことに関しては評価しています。

新専門医制度についてのご意見をお願いします。

2点あります。1点目は、例えば内科医を志す医師においては、専門家になる前に内科で身に着けるべき知識と経験が幅広く養えるようになった、と考えます。2点目ですが、この制度では5大首都圏では人数制限ができるわけですが、自分が将来首都圏で働きたいのか、地方で働きたいのか、を意識する必要性がある、ということです。初期研修医の時期に、それを十分に考えて将来を決定する必要がある、ということです。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

医師になるにあたって、大学病院にするか、市中病院にするかは大きな問題でしょう。そのためには20年後にどういう医師像を目指すのかを考えてみてください。

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