指導医インタビュー

愛媛県

愛媛県立中央病院

愛媛県松山市春日町83番地

名前
越智 博
総合周産期母子医療センター長、指導医
職歴経歴
1959年に愛媛県今治市に生まれる。1984年に愛媛大学を卒業する。1998年に愛媛大学医学部附属病院准教授を経て、2005年に愛媛県立中央病院に産婦人科部長として着任する。
2012年に愛媛県立中央病院総合周産期母子医療センター長に就任する。
学会等
日本産婦人科学会専門医・指導医、中国四国産婦人科学会評議員、愛媛県産婦人科医会常任理事、愛媛産婦人科学会評議員、日本周産期新生児医学会指導医、日本女性医学会指導医など。

愛媛県立中央病院の特徴について、お聞かせください。

愛媛県立中央病院は総合周産期母子医療センター、高度救命救急センター、地域がん診療連携拠点病院として機能しており、高いスキルと知識を備えた指導医が各診療科に揃っています。このため、中四国でも有数の症例数があり、愛媛県内では1番の症例数に対して、高度で標準的なEBMを重視した医療を行っています。

愛媛県立中央病院の産婦人科の特徴もお聞かせください。

産科が非常に有名で、愛媛県唯一の総合周産期母子医療センターになっています。産科は母児ともに高度な集中治療への対応が可能であり、愛媛県全域から多くの緊急搬送、紹介に対応しています。愛媛県以外でも、香川県や徳島県からもドクターヘリが飛んで来ていますよ。また、胎児輸血や胎児胸水に対する胸腔シャントなどの高度な胎児治療も行っています。中四国でもトップクラス、四国では1番の症例数があります。分娩数はハイリスク妊婦の比率が高く、かつ、年間の症例数も1,200件を超えています。新病院に移るにあたって、ローリスクの患者さんは一般の開業医の先生、関連病院にお願いして、当院は1,200件台に保つことによって、母体搬送を円滑に受け入れることができるようにしています。病床数やキャパシティが決まっている以上、ハイリスクな比率がより高くなりますから、高度な医療を提供しているところです。一方で、総合周産期母子医療センターがあるので、産科だけではなく、婦人科腫瘍もかなり診ています。腹腔鏡下手術だけでも年間200件を超えています。がん治療になると、愛媛大学や四国がんセンターには及びませんが、がんの化学療法は年間196サイクル行っており、産科に偏ることのない研修が可能です。婦人科腫瘍と周産期に関しては当院で完結できる症例を持っています。専攻医にとっては毎日手術に入るチャンスがあるので、勉強になりますよ。専門研修先としては良い施設だと自負しています。

愛媛県立中央病院の産婦人科プログラムの特徴について、お聞かせください。

当院は四国がんセンターと連携して基幹施設となっており、当院での研修に加え、がんセンターでの研修を行うことにより、婦人科腫瘍に関しても標準的ながん治療から先進的ながん治療まで学ぶことができる非常にユニークなプログラムです。また、体外受精やホルモン療法などの女性医学の分野について十分な研修ができる福井ウイメンズクリニックと連携しており、質の高い研修を行うことができます。地域医療としては県立新居浜病院、県立今治病院、市立宇和島病院と連携しており、これらの病院から選択して地域医療を研修することができます。このように愛媛県立中央病院専門研修プログラムでは全ての分野について、非常に充実した研修が可能です。

新しい専門医制度のプログラムが始まりましたが、産婦人科については以前とどのような違いがありますか。

旧制度は大学に入局するか、病院に就職するかして勉強していました。例えば大学であれば1年間は大学病院で、2年間はどこかの関連病院に行く形になるので、医師によって行く病院が違ったり、なおかつ病院の質が違ったりしてしまい、3年間に研修できる施設に偏りがあったり、行く病院によっては十分な症例にあたれないということがありましたが、今は全ての分野で十分な症例を経験できるようになりました。

愛媛県立中央病院で専門研修を受けることで、どのようなスキルが身につくとお考えでしょうか。

ローリスク分娩だけでなく、ハイリスク分娩や未熟児の管理です。また、帝王切開術、腹腔鏡下手術、開腹手術、膣式手術、がん化学療法など、当院は毎日が手術日ですから、非常に多くの手術にコンスタントに参加することができます。

先生はどのような研修医時代を過ごされたのでしょうか。

私の研修医時代は参考にはなりませんが、1年9カ月ほど愛媛大学の大学病院で研修後、残り3カ月は、国立大阪病院産婦人科で研修しました。当時の国立大阪病院は手術数が多いと超有名病院でしたので、気を引き締めて研修したものですが、多くの症例を経験でき、大変勉強になりました。今でもその時期の経験は活きています。余談ですが、ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授は私より何歳か下で、重なって仕事をしたことはありませんが、山中先生を基礎の道に導いた整形外科の部長のことはよく存じ上げています。当時は今みたいにスーパーローテートするのではなく、直接入局する時代でした。医局や大学が強く、「ここは何々大学の病院」という話もよく聞きました。しかし、今は違います。当院は、医局の垣根を超えた産婦人科専門研修プログラムを組んでおり、専攻医にとっては大きなプラスになりますね。

産婦人科を選んだ理由について、お聞かせください。

産婦人科のカバーする範囲は広く、周産期、婦人科手術、化学療法、女性医学、生殖医学と様々であり、それぞれ魅力がありました。私は周産期と婦人科手術が専門ですが、腹腔鏡下手術を最初に取り入れたのは外科より婦人科の方が早いんです。周産期は迅速な医療によって、児や母体の生命を助けていることが実感できる診療科であり、また、生命の誕生に立ち会えることは非常に嬉しいことです。昭和50年代は妊婦のおなかの中はブラックボックスでしたが、私が医師になった頃から急速に超音波検査機器が進化し、おなかの中の胎児の形態だけでなく、循環動態をも知ることができるようになっていた時期で、大いに興味を持ちました。

カンファレンスはどのような形で行っていますか。

カンファレンスは毎日朝8時15分から15分間と短いですが、産婦人科は色々な病気の対応などをすごく早くしないといけないので、毎朝行っています。時間をかけてやっているのは水曜日の午後のカンファレンスです。総合周産期母子医療センターでは17時から新生児科との合同カンファレンスと産婦人科手術に関する合同カンファレンスを行っています。

専攻医に指導する際、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか。

カンファレンスではEBMを重視したプレゼンをし、考えてもらうことによって、経験した症例に関する知識を深めてもらうようにしています。手術に関しては、助手をしてもらいながら、徐々に執刀のベースになる技術を身に着けてもらい、多くの経験を積ませ、スムーズに執刀医になれるように指導しています。

専攻医にどんなアドバイスをしたいですか。

豊富な症例があるので、技術は当院で研修すれば優れたものを身につけることができますが、疾患だけ診て患者さんを診ないということではいけません。患者さんを大事にして、患者さんの気持ちになって考えることができる医師になってもらいたいです。

最後に、専門研修先を考えている初期研修医の方々にメッセージをお願いします。

新専門医制度となり、戸惑う面もあるでしょうが、各施設で専攻医のことを思い、よく議論してローテートプログラムを作っているはずです。医師になって最初の5年間は特に大事で、そこでどれだけ経験して、能力を向上させるかなのです。研修医、専攻医というのはまさに大事な期間です。とりわけ当院のプログラムはこれから産婦人科専門医となる方々には非常に有用ですので、愛媛県立中央病院プログラムに応募されることを望みます。

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