指導医インタビュー

学校法人 近畿大学

近畿大学医学部附属病院

大阪府大阪狭山市大野東377−2

名前
竹山 宜典(よしふみ)先生
副病院長(安全管理担当)、近畿大学医学部外科学肝胆膵部門主任教授、総合医学教育研修センター長、プログラム責任者
職歴経歴
1957年に大阪府大阪市で生まれる。1981年に神戸大学を卒業後、神戸大学第一外科に入局する。2003年に近畿大学医学部外科助教授に就任する。2010年に近畿大学医学部外科主任教授に就任する。2014年に近畿大学医学部附属病院副院長および近畿大学医学部附属病院総合医学教育研修センター長を兼任する。

近畿大学医学部附属病院の特徴をお聞かせください。

当院は大阪府の南側にあります。大阪府の北部には多くの大学病院があり、地域がかぶっているところがあるのですが、近大病院は南大阪のかなり広い地域をカバーしている大学病院です。それぞれの診療科が担当している様々な難病の患者さんが近畿圏を超えて、全国から集まってきています。それとともに、南大阪地域の患者さんの最後の砦のような病院という側面もあります。大阪狭山市や河内長野市、富田林市などの三次救急病院にもなっています。手術症例や治験の件数が非常に多く、全国から患者さんが集まってくるような病院でもあり、地域医療を担う病院という性格も持っています。

病院が新築して移転するという話がありますが、いつ頃になりますか。

移転の時期については4年半後くらいになりそうです。現在の当院の最寄り駅は南海高野線金剛駅と泉北高速鉄道の泉ケ丘駅からそれぞれバスで15分程となっており、いずれも電車からバスに乗り継がなくてはならず、利便性に少し問題があります。また、建物も築40年になり、建て替えの時期が来ているということで、新築移転の話が計画されました。3年程前から病院を挙げて青写真を作っていましたが、泉ヶ丘の駅前に土地が確保できましたので、具体的な病院の設計図がようやく決まりつつあります。規模としては現在より少し小さくなり、より急性期に特化した病床数の病院になると思われます。

竹山先生が現在いらっしゃる外科の肝胆膵部門の特徴を教えてください。

肝胆膵外科部門は外科学の中にあり、消化器外科を担当する部門は肝胆膵のほかに食道や胃を担当する上部消化管部門、小腸・大腸を担当する下部消化管部門があります。我々はほかの消化器外科とは違う、複雑な機能を持っている実質臓器を対象にしている外科です。肝胆膵の手術は一般的な消化器外科の中では「時間が長くかかる」、「手術が難しい」と言われています。症例の少ないところは習熟度がなかなか上がらないために、手術に時間がかりますが、我々の外科は比較的多くの症例をこなしているので、手術時間もそんなにかかりませんし、手術の合併症も少ないです。最近は肝疾患と胆膵疾患の割合が逆転し、胆膵疾患の手術数が増えてきていますが、その中でも慢性膵炎の手術を行っている施設は珍しいので、数では当院が全国で一番多いと思います。患者さんも近畿圏を超えて、全国から来られています。

4月から新しい専門研修で専門医のプログラムが始まりましたが、以前の後期研修と変わったと感じるところはありますか。

一番変わったのは内科です。すぐに内科のサブスペシャリティに入れなくなったということが一番変わったことですね。そのほかの科は基本的にはあまり変わっていません。例えば外科でいうと、外科専門医プログラムというのがあって、それがたまたま今回の後期研修の専門医プログラムという全国レベルのプログラムの中に入ったというだけだと思われます。

近畿大学医学部附属病院の外科プログラムを専攻すると、どのようなスキルアップが望めますか。

最初から各部門に取り込もうとは一切考えていません。今までもそうでしたが、外科のプログラムを選んでいただいた場合、最低限の目標は外科専門医の取得であり、そのために必要な症例を経験していただきます。そのうえで、余裕があれば「将来こういうことをしたいので、ここに行きたい」という希望を言っていただくことはもちろん構いません。それぞれの外科で最先端の治療をしていますから、腹腔鏡の手術やダヴィンチを使った胃がんの手術、乳腺でしたら手術中の迅速遺伝子診断を使った手術方針の決定など、全ての症例を経験できます。診療科としては外科・心臓血管外科が独立してありますが、外科プログラムでは心臓血管外科も回っていただけるので、心臓血管外科に入局したいと希望している人も問題ありません。昔は外科に入局して外科専門医をとりたいという場合、心臓血管外科の症例がなかなか経験できないということがありましたが、今は一緒に回っていますので、非常にスムーズに症例を経験することができます。

今回のインタビューに出ていただいている専攻医の先生は女性ですが、近畿大学医学部附属病院での女性医師の働きやすさはいかがですか。

近大は女性医師が多い方だと思います。地理的なこともあり、女性の医学生は4割程度ですが、研修医に関して言うと、ほぼ半数は女性です。そのため、病院内に女性医師がいるというのはごく当たり前のことになっています。外科に関しても、女性医師は若手で3人在籍しており、医学部講師にも1人います。妊娠や出産などでキャリアが途切れないよう、できるだけ配慮しています。病院としても、当直をしなくていいような雇用形態も存在しています。

カンファレンスはどのような雰囲気で行われていますか。

外科全体で一堂に会するのは週2回あり、火曜日の午後5時からは基本的に学生がプレゼンテーションしています。学生は自分が割り当てられた症例を発表し、それに対して、指導医がコメントしたり、教授が質問したりしていますね。特殊な症例の場合は主治医が発表することもあります。大体17時から19時まで行っていますが、その間、各種の委員会などがあるので、入れ替わり立ち替わりで、自由な雰囲気です。もう1回は土曜日の抄読会で、研修医も担当します。抄読会をして、皆で質疑応答するといった流れです。朝の8時半から30分ほど行い、その後、皆で病棟へ行き、回診します。外科全体ではこの二つだけで、そのほかは部門ごとに行っています。

肝胆膵部門のカンファレンスはいかがですか。

肝胆膵外科で言うと、肝胆膵のキャンサーボードといった、これからの治療方針を相談する会を毎週木曜日の朝7時半から開催しています。これには内科、外科のみならず、腫瘍内科や、場合によっては放射線科の医師が集まります。基本的には治療方針はここで決まります。術後の症例検討会もあります。これは肝胆膵だけで、金曜日の回診後に必要があれば行っています。特に重症の症例や亡くなられた方の症例があれば、肝胆膵外科部門ですぐに集まるようにしています。術後の経過などで勉強になるものや特殊なもの、検討を要するものをピックアップして、月に1回、外科医、内科医、放射線科医、病理医、腫瘍内科医など、関係している各科が集まり、症例検討会をしています。教授が仕切っているとか、そういったことは一切ないですね。

竹山先生が研修医の頃はどのように過ごしていましたか。

神戸大学の第一外科といって、消化器外科がメインの外科に右も左も分からない状態で入局しました。それ以外の科に行くということはほとんどありませんでしたが、第二外科とのローテーションがありました。研修期間の1年間はほとんど病院に住んでいました。研修医が寝泊まりする部屋が病院の中にあり、週に1回、家に帰って、着替えを交換して、病棟に戻るという生活でした。

当時は指導体制が整っていなかったとほかの先生方からよくお聞きしますが、いかがでしたか。

神戸大学での指導体制は整っていましたね。3カ月ごとに主治医団を移るのですが、基本的には3人体制グループで、上に助手以上の常勤医がいて、真ん中には今で言う大学院生や卒後6年から10年程の先生、私たち研修医は一番下でした。このグループで毎朝、毎夕回診し、手術もこのグループでしていました。色々な検査にも配属され、徹底的に教えてもらいました。当時は手術件数よりも検査の方が多く、内科より外科の方が検査をしていました。超音波や胃カメラ、ERCPなどの検査に関しては今でも全て自分で行うことができるので、そういう意味では昔は良い時代だったと思います。手術でも何でも全てが刺激的でしたね。手術後は研修医が病院に泊まり、急変時は上の先生に連絡するように言われていました。ベッドサイドで患者さんを診ていたことが今も役に立っています。「人間って、手術したら刻一刻こんなふうになるのか」、「患者さんは夜中こんなふうに過ごしているのか」というのが分かりました。私はこういった研修医生活を送れて、すごく良かったと思っています。

先生が専攻医を指導する際に常に心がけておられることはありますか。

一番大事なのはとにかく患者さんを診ることです。患者さんに何が起こっているのか、患者さんの病態を考えてほしいのですが、そのためにはとにかく患者さんを診ないといけません。研修医も学生も電子カルテ室で色々と見ていますが、カルテの情報を熟読する前に、患者さんの顔を見に行って、診察をして、話をするのが医療者としての第一歩です。そこから患者さんに何が起こっているのかというのを考えてほしいです。電子カルテを見るのはその後でしょう。病棟にあまり行かない風潮があるので、何とかしないといけないですね。患者さんから「この先生に診てもらいたい」と希望されるには「この先生が一番私のことを考えてくれている」と思われないといけません。そのためには患者さんが一番きついときに話を聞くことが大切です。研修医は一番時間があるので、毎朝、上の先生より早く患者さんに会いに行きましょう。外科の患者さんでいうと、術後3日目くらいがきついときで、入院時に一番辛いのは夜です。そこで、毎朝、誰よりも早く病院に行って、患者さんに「大丈夫ですか」と聞くだけで、患者さんに安心感を与えることができます。医師のワークライフバランスから考えると、医師は朝早くから夜遅くまで病院にいなくてはいけないのかということになりますが、本質的にはやはり医師はそうあるべきです。

現在の臨床研修制度についてどのようにお考えでしょうか。

かなり回り道をしている印象です。現在は医学部の教育が変わってきており、2、3年生で教育を大方終わらせ、4年生半ばからずっと実習というカリキュラムになっています。前倒しが進んでいますから、卒業後にさらに2年の初期研修が必要なのか、疑問です。医療全体を考えると、勿体ない気がします。2年間しっかり頑張っている人はもちろんいますが、だらけてしまう人もいます。国家試験に向けて必死で頑張った分、その反動で緩んでしまうようです。初期研修は自分でゆっくりしようと思えばできるわけですから、その間は強制的にでも各科を回らせるか、救急は必ず回らせるといった、いわゆるジェネラルなことを絶対に経験させておくべきですね。当院の初期研修2年目では11カ月は自由に選択できるプログラムになっていますが、初期研修2年目から後期研修を始めてもいいのではないかと思っています。

最後に研修医に向けてメッセージと近畿大学医学部附属病院のPRをお願いします。

当院はとにかく豊富な症例があり、優秀な指導医やスタッフに恵まれています。新しい人が入って来て、新しい人たちに支えてもらいながら継続していますので、これから新しい病院で新しいものを作っていく中核になっていただきたいと思います。

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