指導医インタビュー

愛媛県

愛媛県立中央病院

愛媛県松山市春日町83番地

名前
中西 徳彦(のりひこ)先生
がん治療センター長、研修委員会専門研修部会長、指導医
職歴経歴
1962年に香川県高松市に生まれる。1986年に岡山大学を卒業し、岡山大学第二内科に入局する。岡山大学大学院を修了後に愛媛県立中央病院に着任する。2017年に愛媛県立中央病院がん治療センター長に就任する。
学会等
日本内科学会認定医・専門医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本呼吸器内視鏡学会専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医、ICD制度協議会インフェクションコントロールドクターなど。

愛媛県立中央病院の特徴について、お聞かせください。

自治体病院の中では病床数を含め、非常に規模の大きな病院だと言えますし、多彩な専門科があります。私は内科ですが、内科の中でも循環器、呼吸器、消化器、腎臓、神経など、様々な専門医が揃っています。内科に新しい専門医制度ができましたが、関連13学会で専門医や指導医が認定される中で、その全ての学会の専門医が少なくとも1人はいます。どの領域にもまんべんなく指導医がいるということです。症例数ももちろん多く、近隣のいわゆる二次救急の病院や開業医の先生方との連携を進める「病診連携の会」を定期的に開催し、紹介をいただいています。最近も色々な領域で症例が増えてきていますね。外科も新しい専門医制度の基幹施設になっていますし、上部や下部の消化器、呼吸器、乳腺、心臓外科、肝胆膵などの全てに対応しています。大腸がんは全国で数本の指に入るぐらいの症例数があります。

指導医の先生も豊富なのですね。

当院には、教えるのがうまい指導医がいます。例えば内科学会の地方会や呼吸器学会地方会などの地方会では研修医に発表してもらい、賞を出すところが多いですが、当院の研修医はよく賞をもらっています。今月も内科学会の地方会で優秀賞をもらっていましたよ。

新しい専門医制度のプログラムが始まりましたが、内科については以前とどのような違いがありますか。

まだ始まったばかりで、こちらも手探りではありますが、内科学会のホームページを見たり、説明会にも行って、話を聞いてきた中で感じているのは本来あるべき専門医の姿に近づいていっているのかなということです。私も10年以上内科学会の認定や専門医を受験する人の症例の査読をしてきましたが、大体の人は症例が非常に偏っている気がします。消化器の医師でしたら、消化器疾患はもちろんいいのですが、消化器疾患がベースにあって肺炎を起こした症例が呼吸器疾患にあったり、肝硬変の患者さんが心筋梗塞を起こした症例が循環器疾患にあるなど、もとの病気の経過の中で起きているような症例が多かったのです。今回の新しい制度はそのあたりを厳しくチェックしていますね。心不全やネフローゼなどが一番の問題点となって入院したというような主病名をきちんと経験させることが規定されています。したがって、我々もそれに対応すべく、幅広い領域での症例が経験できる計画を立てています。なお、当院の内科の募集定員枠は10人、今年のプログラムに入ったのが7人です。

県立中央病院の内科プログラムの特徴についてお聞かせください。

様々な領域な症例を確実に経験できるように、ローテーション研修をしていますが、これからは専攻医の希望も聞きながら、柔軟に対応しています。3年の間に1年は地域に出る決まりがありますから、残りの2年間、特に最後の1年間は希望するサブスペシャリティを主体に研修してもらうことを考えています。

県立中央病院で専門研修を受けることで、どのようなスキルが身につくとお考えでしょうか。

誰でもこれぐらいはできるだろうという処置はできないといけません。皆が気管支鏡、生検、心カテができないといけないかというと、そこまでではありませんが、胸腔穿刺や胃カメラ、エコーなどはできるようにするべきです。感染症なら病原体をどう検査し、それに対して抗生剤をどう選び、どのぐらいの期間でいくのかとか、ショックの患者さんに何の輸液をどのぐらいの量でいくのかといった基本です。抗菌薬、輸液、バイタルサインから見た基本の基本をきちんと身につけたうえで、専攻医であれば屋根瓦式のように、初期研修医に理論立てて教えることができるようになるのが専門研修の目標だと思います。

先生はどのような研修医時代を過ごされたのでしょうか。

私が大学を卒業したのは当然ローテーションのない時代で、岡山大学に3つある内科の中から第二内科を自分で選んで入りました。第二内科は呼吸器と血液の内科でした。当時はどこもそうでしたが、大学で限られた領域だけをして、外の病院である程度のことを経験してという感じでしたね。私が出た外の病院は小さな病院でしたので、重症の患者さんを最後まで診ることができず、初期対応をして、ほかの病院に送ることもありました。振り返ってみれば、今ほど基本的なことを理論立てて勉強できていませんでしたね。そういう意味では新しい専門医制度は本来の研修制度と呼べるものでしょう。

呼吸器内科を選んだ理由についてお聞かせください。

岡山大学の第二内科では呼吸器と血液の両方をしていて、血液の細胞をみるのが好きだったのと、部活動の先輩がいたこともあって選びました。最近の人たちの方が研修病院の情報を集めたり悩んだり、迷ったりと余程しっかりしていますね。私の専門領域は上の先生に決められた感じです。学位は血液で取り、大学院を終えて当院に来てから呼吸器を始めたんです。言われて始めた専門ではありますが、それはそれで楽しくやってきました。

血液、呼吸器内科の魅力について、お聞かせください。

呼吸器は消化器とか循環器と比べて、すっきりした診断がつかないケースやはっきり言い切れないケースが多いです。病理解剖の中でも呼吸器内科が多いのは最後の診断にはっきりしない部分があるからなんですね。分からないから面白いし、経験がものを言う、経験を積めば積むほど身につくところが魅力です。血液は細胞が綺麗なんです(笑)。私は今でも気管支肺胞洗浄という気管支鏡をした検体を顕微鏡を覗いて、自分で見ていますよ。

専攻医に指導する際、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか。

やれることはやってもらいますし、考えてもらいます。最初から「こうしろ」と言わず、どうするのかを考えてほしいんですね。専攻医から「どうしましょう」ではなく、「これでいいでしょうか」と尋ねてもらって、それで良かったら「いいよ」と言いますし、修正すべきところがあれば「こうした方がいいよ」と修正します。いきなり答えを教えるのではなく、一度は考えてもらう方針です。

専攻医に「これだけは言いたい」ということがあればお聞かせください。

医師だけで何でもできるわけではなく、皆が助けてくれるからこそ、すべきことができているのです。コメディカルの仲間を立て、大事にし、リスペクトする気持ちや心構えで臨んでほしいです。同期生などの仲間との付き合いも大切にしたら楽しいですよ。私も入局同期が26人おり、ときどき連絡を取ることもあるし、困ったときには頼りにしていますから、繋がりは大事ですね。

最後に、専門研修先を考えている初期研修医の方々にメッセージをお願いします。

医学は様々な領域で進歩していますから、どんな領域でも学ぶことは多く、新しいことを知ることは非常に楽しいものです。学生時代はとにかく暗記暗記で、知識を覚えて増やすことが必要ですが、医師になるとはっきり覚えていないことでも調べれば分かりますので、「これは何でだろう」という疑問を持つことの方が暗記よりも大切です。「どうして、この病気で皮膚に病変ができるのか」、「どうして、この病気でリンパ節が腫れるのか」といった疑問に対して、答えが出ないかもしれませんが、その中で「こういうことなのかな」と思いつくことがあれば嬉しいし、大きな進歩になるかもしれません。その点、当院は症例が多いので、そういった指導はかなりできていると思っています。

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