指導医インタビュー

医療法人

明和病院

兵庫県西宮市上鳴尾町4-31

名前
栁 秀憲 明和病院副院長 指導医
職歴経歴
1958年に兵庫県西宮市で生まれる。1984年に防衛医科大学校を卒業後、防衛医科大学校病院第二外科で研修を行う。1986年に自衛隊阪神病院に勤務する。1990年に兵庫医科大学病院第二外科で医員、助手、講師を務める、2003年に兵庫医科大学病院第二外科助教授に就任する。2007年に明和病院に外科統括部長として、着任する。2011年に明和病院副院長に就任する。

明和病院の特徴をお聞かせください。

兵庫県西宮市の住宅街というロケーションの中で、地域の方への救急医療、がんの診療に力を入れています。350床前後の中規模な病院ですが、診療患者数が兵庫県のベスト3に入っている疾患として、肝臓がん、大腸がんが挙げられますし、5大がんのほぼ全部が10位以内に入っています。また、整形外科のスポーツ整形は非常に特徴がある診療を行っています。

明和病院の初期研修の特徴をお聞かせください。

新たな工夫としては僻地医療を充実させるプログラムを組んだことです。西宮市は兵庫県の南側にありますが、北側の6病院に、当院の初期研修医の約1カ月の研修を受け入れていただいています。

指導医の立場として力を入れたい分野や工夫されたいことがあれば、教えてください。

希望はいくらでもあります(笑)。JAMEPなどの結果を見ると、救急診療の臨床能力に関しては当院のやり方は間違っておらず、力がついていることが分かりました。したがって、救急医療をより進めていくのはいいことだと思っています。当院の診療の柱はがん診療やスポーツ整形ではありますが、初期研修医の研修ではそこに巻き込まず、あくまでも地域に対する救急医療を学ばせていきたいと考えています。

明和病院はER型救急ですが、救急について、詳しくお聞かせください。

ERを行う大前提として、ERと後方の各科との連携が密接にできていることがあります。当院は幸いなことに、ERと後方各科が一体になって診療していますので、有機的な診療ができています。初期研修の中で、ERの当番は3カ月というローテート期間だけでなく、2年間、満遍なく回ってきます。初期研修医は自分が入院させた患者さんの担当医になりますし、内科から外科に移って手術になった場合には初期研修医が外科の手術にも入って、術後管理まで携わります。そのようなシステムが取れていますので、間口を広げるのみならず、奥行きも作れる診療を構築させることができるのです。

栁先生がいらっしゃる外科の特徴をお聞かせください。

このような中規模病院にも関わらず、がんの診療、特に消化器がんを中心とした診療が非常に盛んです。肝臓がんに関しては県下で1位か2位ですし、大腸がんも3位以内です。ほかの消化器がんとしては膵臓がんも4位以内に入っていますので、がん中心の外科ということですね。

コメディカルとの関係はいかがですか。

非常にいいですね。ほかの病院では医師と看護師の関係だけであるところが、当院では医師と診療部の関係が良いんです。親睦会の機会が多く、今では少なくなってきた院内旅行も年に1回あります。屋上でのビアパーティーや新年会も病院全体で行っていますし、各部署の垣根がとても低いです。病院内も各病棟が全て混合病棟なんです。そのため、専門のことしかしないということがなく、機動力が非常に高いです。

当直はどのような体制ですか。

当直は院内と院外に分かれていて、院外は初期研修医がERを診てファーストタッチをします。その上に3年目、4年目から10年目前後までの医師が上級医としてついて、ペアで診る形ですね。院内は少し上の医師が院内のトラブルに対応する形です。

女性医師と男性医師の比率はいかがですか。

当院はほかの病院に比べて、女性は結構多いと思います。初期研修医も今年は5人中、3人が女性ですからね。

飲み会などのコミュニケーションも多いですか。

飲み会は多いですね(笑)。食事に行きやすい土地柄ということもありますし、垣根も低いです。学生さんが見学に来てくれたときに、初期研修医が一緒に飲みに行ったりもしているので、そういう雰囲気もいいなと思っています。

カンファレンスはいかがですか。

カンファレンスは各専門分野で行っています。合同カンファレンスは週に1回、内科、外科、病理科、放射線科、腫瘍内科で開催しています。

初期研修の2年間で、研修医が興味がある科目を延ばすことなどはできますか。

当院は臨床経験を多く積みますから、医師としての初期の能力が1年でできあがってしまいます。そのため、2年目では自分のやりたいことをピュアに検討できるんです。医師としての力に不安を持たずに2年目に移行できますので、2年目の選択期間には非常に細かく回れますし、その期間を自由に使ってもらえるようにしています。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。

最近は皆さん、出来が良くて、自分の生活と仕事とをきちんと分離して、充実させている人が多いのですが、以前はなかなかユニークな人がいました。若い初期研修医が多い中で、40代半ばぐらいに研修医になった人が来たことがあります。最初は箸にも棒にもかからず、普通の医師になれるのかと心配していたのですが、2年間当院のシステムで初期研修を行っているうちに、最後は歌って踊れて頼りになる研修医になっていました(笑)。当院のシステムに乗ってくれて、本当に良かったですね。その人は独善的にならず、コミュニケーションを取りながら仕事をしてくれたので、最後はとても評判が良かったです。

栁先生の研修医時代と現在の臨床研修制度の違いを踏まえて、現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

私の場合、出身大学が防衛医科大学だったので、今のローテーションとほぼ同じローテーションだったんです。そのため、プログラムをあまり抵抗なく受け入れて、分けることができています。しかし、経験上の話で言うと、医局での臨床研修をよく知りません。各科ごとの縦割りで、狭い範囲での臨床研修が、厚労省の指導のもとに、日常の診療をすぐに行えるベースのある医師を育てる研修制度に変わってきたというのはその通りでしょう。

今の4年生や5年生は今後の新専門医制度の動きについて、気になっているようです。

問題なのは内科と外科でしょうが、内科に関しては制度自体がまだグレーなところがあります。当院は基幹型ではなく、受け入れ型になります。兵庫医科大学病院と神鋼病院が基幹病院であり、そこで募集する形です。外科は変わっており、500の手術症例あたり、1人の専攻医を取れるシステムです。当院は登録手術数が年間1500例ありますので、各学年3人ずつ入れることができます。そこで、神戸大学、関西医科大学、兵庫医科大学、防衛医科大学校と連携し、その受け入れ病院となっています。

最近、内科希望の学生が増えてきたという傾向について、栁先生のご意見はいかがですか。

非常に嬉しいことですね。当院でも総合内科を中心にそれぞれの専門性を高めようということで、循環器、呼吸器、消化器、血液などを充実させています。一方で、診療の中心は消化器内科です。当院は内視鏡治療と日本肝胆膵外科学会の高度技術認定施設になっています。高度技術認定施設は全国に100少ししかないのですが、その施設の認定を受けていますので、それをバックにして、肝胆膵疾患も合わせて、内科で診ていこうということです。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

当院のシステムでは症例は自動的に経験していくことになります。しかし、その中で人間関係の大切さや医師としてのコミュニケーション能力を身につけていかなくてはいけません。「報連相」も大事ですし、皆の前でプレゼンテーションをして、それを最終的には論文にできるぐらいの初期研修医になってほしいと思います。

医学生が見学に来られた際など、初期研修医を採用するときのポイントはどういったところですか。

やはり人間性ですね。成績は直前でないと分からないですから、人間性を見ます。チームで動かないといけませんので、チームの一員として、きちんと動けるかどうかを見て、「この人が欲しいな」と考えています。

明和病院で研修をする2年間で、明和病院へ来たら「絶対に間違いない」というのはどんな事ですか。

臨床能力です。当院がほかの病院の救急と違うのはウォークインの患者さんが救急車で来る患者さんばかりではないことにあります。当院の初期研修医は一般的な外来を持っているのと同じ対応を学びますので、医師らしさがとても早く出てくるのです。それは当院が誇るべきことですね。したがって、「早く医師らしくなれますよ」というのがアピールポイントです。

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