指導医インタビュー

地方独立行政法人 大阪市民病院機構 

大阪市立総合医療センター

大阪府大阪市都島区都島本通2丁目13番22号

名前
清水 貞利(さだとし) 大阪市立総合医療センター医療安全管理部長兼肝胆膵外科副部長、消化器外科副部長、教育研修センター副部長 指導医
職歴経歴
1967年に兵庫県宝塚市で生まれる。1993年に大阪市立大学を卒業後、大阪市立大学医学部附属病院で臨床研修医となる。1995年に医療法人寿楽会大野記念病院に勤務を経て、1997年に大阪市立大学大学院医学研究科に入学する。2000年に大阪市立総合医療センターに臨床研究医として勤務を経て、2002年に大阪市立総合医療センター消化器外科兼外科に勤務する。2003年に大阪市立総合医療センター消化器外科医長を経て、2008年に大阪市立総合医療センター肝胆膵外科副部長兼消化器外科副部長に、2012年に大阪市立総合医療センター肝胆膵外科副部長兼消化器外科副部長、臨床教育・研修部副部長に就任する。2014年に大阪市立総合医療センター肝胆膵外科副部長兼消化器外科副部長、人材教育研修センター副部長、医療安全管理部副部長に就任し、2017年に大阪市立総合医療センター医療安全管理部長兼肝胆膵外科副部長、消化器外科副部長、教育研修センター副部長に就任する。

大阪市立総合医療センターの特徴をお聞かせください。

当院は大阪市内にあり、市内でも梅田に近くて立地条件がとても良いです。近くに大川が流れており、今の時期は桜がとても綺麗で、環境も良いところです。病院の規模はかなり大きく、1063床の病床と57の診療科があります。診療科が細分化されていて、かなり専門的な診療が行われている病院なんですが、専門診療だけではなく、救急や総合診療科も充実していて、一般的なよくあるような病気にも対応するなど、色々な疾患に幅広く対応できる病院です。

大阪市立総合医療センターの消化器外科の特徴もお聞かせください。

消化器外科は肝胆膵外科と消化器外科と乳腺外科の3つの診療科が一緒になっており、予定手術と緊急手術を合わせて、年間1000件ほどの手術をしています。レジデントとシニアレジデントが14人、スタッフと合わせて全部で27人います。手術は上部消化管、下部消化管、肝胆膵、乳腺などの臓器別になっており、それぞれが専門的な手術をしています。最近は腹腔鏡手術のニーズが高く、当院でも積極的に行っています。そういう専門的な面がある一方で、ヘルニアや虫垂炎などの手術もあり、幅広く疾患に対応しています。外来は肝胆膵外科、消化器外科、乳腺外科がそれぞれ1つのブースを持ち、1日に40人から50人の患者さんを診ています。

院内の雰囲気を教えてください。

57も診療科があるのですが、診療科同士の垣根はあまり感じないですね。特に研修医・レジデントは横の繋がり、学年の繋がりが強いというイメージがあります。最近はチーム医療を大事にしようと言われますが、形ばかりになってしまうこともある中、当院は充実したチーム医療ができていると思っています。これだけの大きな病院で、医師数も多く、忙しいのに、皆が仲良く働いています。気兼ねなくお互いに意見を言い合って助け合っているからこそ、いい医療ができているのではないでしょうか。

後期研修プログラムの特徴を教えてください。

新専門医制度は、当院は19基本領域のうちの12領域が基幹型を予定しています。当院は大学病院並みの症例数がありますし、研修医としての2年間を含めた5年間を当院でできるだけ独自の教育をしていきたいと思っています。現在は内科コースのプログラムでは、3年間のうちの初めの1年目は自分の行きたいところに3カ月、ほかを9カ月回ることになっています。外科も外科専門医を取るための手術症例が必要ですから、消化器外科希望であっても、心臓外科、呼吸器外科、小児外科を回らないといけません。当院ではそれ以外にも選択で2つの診療科を回るようにしています。選択の中にはICUもありますし、連携している救命救急病院がありますので、救急や集中管理など、外科医になったらなかなか勉強できないようなことも学んでもらっています。若いときに色々なことを経験しながら知識を得て、幅広い考え方を持ってほしいと思っています。

こちらでの後期研修を受けることで、どのようなスキルが身につくとお考えでしょうか。

まずは、最短で外科専門医を取れるようにと考えています。その次は消化器外科専門医ですので、それを取れるように手術件数を見ながら手術を当てていく配慮をしています。最初は「色々とやりたい」と言っていても、少しずつ腹腔鏡に興味が出てきたりなどしますので、14人のレジデントがいますが、ひとりひとりにどういうことをしたいのかを確認し、1年間の経験症例や数を決めています。また消化器外科専門医には難度別の手術件数も求められますので、状況をみながら段階的に手術をしてもらっています。外科専門医、消化器外科専門医を例に挙げましたが、それだけのスキルが身につくと思っています。

カンファレンスはどのような形で行っていますか。

外科では週に2回、朝8時に集合して、緊急手術症例を検討したり、合併症を起こした患者さんの状態を相談したりしています。予定手術は画像を出しながら、術式を報告します。できるだけレジデントに中心になってもらいたいと考えているので、カンファレンスの司会や進行を任せています。研修医がいたら研修医が発表するようにしていますが、横で直接指導するのはレジデントの役割です。レジデントが答えられない質問にはスタッフができるだけ教育的な配慮をしながら、コメントをしています。

先生はどのような研修医時代を過ごされたのでしょうか。

研修医時代はずっと大学にいました。人として扱ってくれているのかなと疑問に思うほど、忙しかったですね(笑)。2年間は寝ずに過ごしていたのではないかというぐらい、寝ていない印象です。結婚したばかりでしたので、家には帰っていたのですが、帰宅するのが夜中の3時か4時で、朝5時に家を出て、6時から採血をしていました。その頃は車通勤が認められていたのですが、家に向かう途中で空が明るくなってくるんです。「帰っても、すぐに戻らないとな」と思いながら運転していました。赤信号で寝ていたような感じだったので、赤信号はとにかく嬉しかったですね。後ろの車のクラクションで起きていました(笑)。研修医時代に手術や診察以外に医局のいろいろな雑用などもあったんですが、今からすればいい経験になったと思っています。今は研修医のアルバイトは禁止されていますが、当時は研修医がアルバイトで当直に行っていたんです。そこで度胸もつきましたし、患者さんへの接し方も分かってきました。「寝当直」と言って、寝ているだけの病院もありましたし、とても忙しい病院もありました。忙しい病院だと、「ここまでできる」といった成長を実感できました。そういう病院で当直していることが嬉しかったことを覚えています。

肝胆膵外科を選ばれた理由をお聞かせください。

学生のときに外科を選んだのは、外科医になれば何でもできるようになると思っていたからなんです。今はそうでもありませんが、当時は癌治療といえば、どちらかといえば内科医が診断して、外科医が治療するというイメージがありました。また、外科では救急や麻酔のことも勉強できましたし、エコーやカメラなど多少の診断技術も勉強できました。私の医局では消化器のみならず、乳腺や甲状腺もやっていましたので、様々な領域の勉強もできました。このように色々な経験を積んでいく中で、肝胆膵の領域は難治な癌が多く、亡くなっていく患者さんを何とかしてあげたいという思いが強くなり、細かいことが好きで得意だったこともあって、肝胆膵を専門に選びました。

研修医に指導する際、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか。

私は研修医の間に絶対に学んでほしい基本姿勢を話すようにしています。例えば、カルテ上のデータや採血データだけで診療を済ませてしまわないこと、必ずベッドサイドに行って患者さんと話をすること、ご家族としっかりコミュニケーションを取ることなど、医師として大事なことをわかってもらおうと思っています。色々と指導してしまうと受け身になりますから、研修医が自主性を引き出せるように、あまり細かいことは言わないようにしています。

研修医にどんなアドバイスをしたいですか。

今の初期研修は賛否両論ありますね。2年間を無駄に過ごそうと思えば、いくらでも無駄に過ごせます。その意味では2年間を自分の中でどう位置づけ、医師としての第一歩をどう踏み出すのかをよく考えてもらいたいです。「これ、やる意味あるのかな」とか、「面倒くさいな」と思うこともあるでしょうし、希望していなかったり興味のない診療科を回ることもあるでしょうが、必ずこれから先の医師としての幅に繋がっていきますから、何事も無駄と思わずに頑張ってほしいです。

最後に研修医にメッセージをお願いします。

初期研修はとても大事な時期です。昔はずっと世話をしてくれる上級医がいて、その背中を見てという研修でした。今はそうではなくなりましたが、色々な指導医がいるというのはいい環境ではないでしょうか。様々な考え方を幅広く吸収できるし、広い視野で見ることができます。この研修制度のメリットを最大限に活かして、医師としての良いスタートを切ってください。病院選びに際してはどうしても大きな病院や症例数の多い病院を希望したくなりますが、実際に見学に行き、医師と看護師のコミュニケーションの雰囲気、医師や看護師の患者さんへの接し方などを見てみましょう。そこに自分の理想の医療を加味したうえで、選ぶといいですよ。当院は院内の雰囲気や患者さんへの接し方などを重視する目で見れば、ナンバーワンの病院だと思います。

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