指導医インタビュー

昭和大学

昭和大学病院

東京都品川区旗の台1−5−8

名前
小司 久志(ショウジ ヒサシ)先生
職歴経歴
1978年 大阪府出身 2003年 川崎医科大学医学部卒業。 同大学にて内科研修医として勤務。 2005年 同大学医学部呼吸器内科学教室入局。 2007年 昭和大学医学部臨床感染症学教室勤務 臨床感染症学助教、臨床研修指導医

昭和大学医学部附属病院の初期研修プログラムの特徴を教えてください。

当院の初期臨床研修には自主性尊重プログラム、小児科キャリアパス支援型プログラム、産婦人科重点プログラムの3つがありますが、平成23年度は昭和大学病院本院、藤が丘病院、横浜北部病院、豊洲病院の4つの病院群を設けてタスキがけの研修ができるようなシステムにしました。これにより病院間の各研修病院の特徴を活かした研修指導環境を実現しています。2つ目の特徴は、研修医1名につき正・副2名のメンターがつき定期的に研修医と面談して達成度や進路相談などのサポートを行うことです。3つ目は各診療科の垣根が低いので、気軽に診療各科の先生に指導してもらえることがあげられます。合併症をもっている患者さんの場合など、研修している診療科以外の先生に病態や治療に関してアドバイスしてもらう機会も少なくありませんから、臨床各科の垣根が低いことは研修医にとって重要なことだと考えています。

指導するお立場として心がけていることを教えてください。

私は研修医の気持ちを理解しやすい年齢なので、気軽に何でも相談しやすい環境を作るように心がけています。患者さんの状態が落ち着いていれば、少々早く仕事を切り上げて遊びに行っても良いと思います。デートや合コンの予定があれば考慮します(笑)。しかし、患者さんが多いとき、容態が悪いときは休みなし、(合コンもキャンセル)で働き続けるという姿勢が大切だと思います。医師のオン・オフは全て患者さん次第です。また、院外でも必ず連絡だけはとれるように心がけることが重要です。連絡がつかないというのは患者さんの命を預かる医師として恥ずかしいことです。患者さんの容態が急変したときに最初に呼び出しがかかるのは研修医です。「主治医に連絡がつかない」ということを患者が知ったらどう思うでしょうか?自分の親が患者なら自分はどう思うでしょうか?常に医師であることの責任を感じて行動して欲しいと思います。患者さんの容態が研修医の手にあまる状態のときは24時間いつでも指導医に相談して構いません。僕は以前は絶えず携帯電話とポケットベルを持っていました。指導医は病棟からではなく研修医からの連絡を待っています。

研修医に対して「これだけは言っておきたい」事は何でしょうか。

何でも、どんなことであっても経験してほしいと思います。研修するすべての診療科が興味のある科ではないかも知れませんが、その診療科で得た経験は必ず将来プラスになります。一度診た患者さんは絶対忘れません。あの時の経験があったから対応できたということが将来必ずあるので、どの診療科であっても全力を注いで欲しいと思います。
私の専門である感染症領域あれば「どの臓器の、何の病原体による感染症か?」ということが最も重要です。診断がつけば、使う薬、投与量・方法、期間が全て決まりますし、そんなことは本に載っています。当科では診断に至るまでのプロセスを最も大切にしておりますので、一緒に学んでいきませんか?

大学病院で研修するメリットは何でしょうか。

大学病院には臨床各科の専門医、指導医がそろっています。症例カンファレンスでは教授を始めとする上級医からの厳しい試問を受けることもしばしばです。しかしそれを経験することによって初めて、どのような疾患であっても基本的かつ正しいアプローチの仕方が身に付くのです。大学病院よりも一般市中病院の方が臨床経験を多く積めるという意見もありますが、数多くの患者さんを診療して追われるような毎日を過ごしていると1例1例の症例に対して立ち止まって考えることが少なくなります。臨床医として基本的なアプローチの仕方を身につけなければならない初期臨床研修期間は日々の診療活動に追われるような毎日を過ごすよりも、ある程度余裕をもって個々の症例を深く掘り下げ、あらゆる考察を立てる研修を行う方が将来に繋がるのではないでしょうか。「経験」というものは年数とともに自然に積まれていきますので、あわてる必要はないと思います。また当院は地域特性として地域の基幹病院的な役割も果たしているため、大学病院でありながらコモンディジーズも少なくなく、充実した研修生活を送れると思います。

過去にこんな研修医がいたという経験があったら教えてください。

個々の研修医で具体的にということはありませんが、総じて真摯に診療に取り組んでいるという印象が強いですね。感染症領域に限りませんが、患者さんを診るときはその社会的背景にも目を向けることが必要です。たとえばHIV患者さんでは背景が重要な診断情報になります。全人的医療が叫ばれて久しくたちますが、病気を診るだけでなく患者の家族背景、生活歴などにも目を向けることによって患者さんやその家族の方と打ち解けあい、良好な信頼関係を築き、納得して頂ける医療を提供できるのではないでしょうか

医師の計画配置や臨床研修期間の短縮化が叫ばれていますが

私の経験からも初期研修は2年間必要だと思います。2年目には研修医の顔つきも変わり、自信も芽生えてきて、医師らしくなっています。研修医のそういう姿をみていると2年間の初期研修は必要だなと思います。研修開始時は「6年間勉強してきたことはなんだったのか・・」と思うほど、臨床現場では通用しません。まさに「机上の空論」であったと思い知るのです。そういうことを経験して2年間で大まかに現場のことがわかり、3.4年目には技術的にも自信が持てるようになります。診断、治療方針も大きくズレることもなく、何でも1人でできるような気になりますが、このころに落とし穴にもハマります。自分の知識、技術ではどうにもならない患者さんに遭遇し、医学の無力さも感じます。私自身もまだまだ修行中の身でありますが、自信と挫折の繰り返しで一人前になっていくものなんだなと実感してます。そのような医師が育っていく過程の中で初期研修期間はとても重要な意味をもっているではないでしょうか。
 また医師不足が叫ばれ、地域への計画的配置が話題になっています。私は地域医療が疲弊している原因は必ずしも医師不足だけではないと感じています。確かに超高齢化社会に突入し、医療需要も増えていますが、コンビニ受診や必要のない救急車要請なども地域医療を疲弊させている一因と思います。研修医を地域に計画的に配置することも必要だと思いますが、それ以上に病態に応じてどのような医療機関を受診するかをシステムとして構築していくことも必要ではないでしょうか。

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