指導医インタビュー

厚木市立病院

神奈川県厚木市水引1-16-36

名前
長谷川節(たかし) 副院長、統括診療部長、診療部門神経内科部長、リハビリテーション科部長、中央診療部門リハビリテーションセンター長、医療安全管理室長、指導医
職歴経歴
1960年に東京都港区に生まれる。1985年に東京慈恵会医科大学を卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院で研修医となる。1987年に東京慈恵会医科大学第二内科学講座医員を経て、1988年に神奈川リハビリテーション病院内科医員となる。1991年に東京都立神経病院神経内科に国内留学を行う。1993年に東京慈恵会医科大学内科学講座第2助手を経て、1995年に東京慈恵会医科大学附属病院神経内科診療医員となる。1999年に国立療養所東宇都宮病院神経内科医長を経て、2003年に東京慈恵会医科大学附属病院に神経内科医員とし
学会等
日本内科学会認定医、日本神経学会専門医・指導医、日本脳卒中学会認定脳卒中専門医、日本神経治療学会評議員、全国自治体病院協議会臨床研修指導医タスクフォースなど。日本神経病理学会、日本神経生理学会、日本神経救急学会、日本リハビリテーション医学会、日本嚥下医学会にも所属する。
名前
伊東建(たける) 診療部門小児科上席医長、指導医
職歴経歴
1967年に静岡県浜松市に生まれ、神奈川県相模原市で育つ。1993年に東京慈恵会医科大学を卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院で研修を行う。1995年に富士市立中央病院小児科医員となる。1998年に東京都立北療育医療センター小児科医員となる。2001年に東京慈恵会医科大学附属病院医員となる。2007年にロンドン日本クラブ診療所南診療所所長となる。2011年に厚木市立病院に小児科医長として着任する。2012年に厚木市立病院小児科上席医長に就任する。
学会等
日本小児科学会専門医など。日本小児内分泌学会、日本小児神経学会にも所属する。

厚木市立病院の特徴をお聞かせください。

長谷川:

東京慈恵会医科大学の関連病院ということがまず挙げられます。64人の常勤医師のうち、59人が慈恵医大の医局からの派遣で、残りの5人のうちの2人が医局を辞めて、当院に就職した医師、3人が当院で採用した医師となっています。そのため、慈恵医大の分院のような組織ですね。ただ、分院よりもコンパクトなので、横の繋がりが良いです。医局も一つですから、相談しやすいですね。大学の持つアカデミズムと厚木市の病院としての実践的な面の両方を備えている病院だと言えるでしょう。

伊東:

厚木市の職員としての身分保障があるので、初期研修医の身分が中途半端な立場ではありません。当院はかつての県立病院としての時代も含めますと、戦後直後からの歴史があります。神奈川県の中央部にある総合病院であり、全て揃った二次救急病院です。近隣に三次救急の病院もありますが、当院も救急の設備を整えています。厚木地区は昼間の人口が多く、工業団地がありますので、外国人労働者も少なくありません。初期研修医が救急の現場でファーストタッチを行うところから対応できるのがいいですね。初期対応が身につく病院です。

厚木市立病院の初期臨床研修の特徴をお聞かせください。

長谷川:

大学の関連病院なので、学生がクリニカルクラークシップで当院に来ます。1人の学生が小児科、循環器科、産婦人科、消化器内科で4週間の研修を行うんですね。そのため、当院には常に学生が来ていますから、初期研修医が一番下の存在ではありません。また、初期研修医も学生と一緒に勉強する機会があります。学生から質問を受ける立場ですから、生半可な知識だと駄目ですね。学生との触れ合いを通して、普通の市中病院での初期研修とは違った経験が積めるでしょう。

伊東:

屋根瓦式で、後輩に指導ができるのは特徴ですね。国が定める必修科目は内科、外科、救急、地域医療、麻酔科ですが、当院は小児科、産婦人科、整形外科も必修科目に組み込んでいます。各診療科に指導医がいますから、初期研修医がしたいことを網羅できます。病院の規模が小さいので、プログラムの変更などの自由度が高いことも特徴です。

長谷川:

基本的には1年目は必修科目、2年目に選択科目をローテートします。どの診療科にも指導医がいて、きちんとした指導を受けられます。初期研修医は地方の大学に進学しても、実家が神奈川県内にある人など、神奈川県にゆかりのある人が多いですね。

現在、初期研修医は何人いらっしゃいますか。

長谷川:

2年目が3人、1年目が5人です。5人は適切な規模だと思っています。

長谷川先生は指導医の先生方のご指導もなさっているんですね。

長谷川:

全国自治体病院協議会で、臨床研修指導医タスクフォースを務めています。これは指導医になっていくための講習会で、全国の自治体病院から50人ぐらいの部長クラスの医師が集まります。それを私を含めた5人ほどのタスクフォースで指導します。授業よりもグループワークに重きを置いた研修ですね。8人ぐらいのグループに分け、グループごとに架空の臨床研修病院を作ります。理念や目的、プログラムを設定して、どんな研修がいいのか、どういうことに気をつけてプログラムを作るべきかを考えてもらい、討論後に発表するという研修です。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

長谷川:

医療安全管理室長としての立場もありますので、医療安全には心がけています。初期研修医は人に教わるだけではなく、なるべく自分で判断してほしいものですが、安全上、問題があってはいけませんので、問題にならないように調整しています。その中で、初期研修医には独立した自主性を身につけてほしいです。

伊東:

指導医が課題を与え、それを初期研修医がこなすのではなく、初期研修医が自分で考え、動いてほしいと思っています。私たちはそれを見守って、温かく支えていきたいです。でも、どこまで支えるのかという勘所は難しいですね。

最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

長谷川:

真面目で、一生懸命ですね。私たちが研修医の頃は真面目とは言い難く、周囲からは甘く見てもらっていたようでした(笑)。

伊東:

私も最近の研修医は真面目で、優秀だと思います。各診療科で優秀な人たちだと噂になっていますよ(笑)。規則も守るし、しっかり働いてくれています。どこで息抜きをしているんだろうと心配になるぐらいです。

先生方はどのような研修医時代を過ごされましたか。

長谷川:

自由な時間がなく、丁稚奉公だと言われていた時代で、24時間、患者さんを診ていましたね。家は寝に帰るところでしたが、段々と着替えに帰るところになっていきました。でも、病院と自宅の間に六本木がありましたから、ずっと真面目だったわけではありません(笑)。

伊東:

私はバブルが弾けた頃に大学を卒業しましたが、研修医時代にはバブルの残り香が多少はありました(笑)。私は小児科で1年間の研修をしたあと、内科、外科、麻酔科、耳鼻咽喉科、皮膚科のローテート研修があったんです。当時の慈恵医大で新しく取り組んだ研修システムで、志望科を決めたうえで、その志望科に役立ちそうな診療科をローテートできたのは良かったですね。ポリクリとは違い、医療行為ができたのも有り難かったです。悪い面としてはローテートした科によってはお客さん扱いだったことでしょうか。

以前に忘れられない、すごい研修医がいたという経験があれば教えてください。

長谷川:

以前は勉強はできるのに、患者さんとうまく話せなかったり、年上の患者さんに横柄な言葉遣いをしたり、専門用語だけの説明をしたりする研修医がいましたが、今はそんなことがないですね。

伊東:

病院の跡取り息子さんで、将来の科がはっきり決まっていた研修医がいました。彼は将来の科が決まっているからこそ、ローテートする先々で真剣に取り組んだのでしょうね。どの診療科からも「うちに来ないか」と誘われていました(笑)。また、整形外科を希望する初期研修医が小児科に来たときに小児の整形外科疾患を教えたことがあります。そうしたら、その研修医が後期研修が始まるときに「小児科の紹介状を書いてください」と言ってきたんです。小児科志望の初期研修医が後期研修で小児科を選んでくれたときも嬉しいものですが、ほかの科を志望していた人が小児科を選んでくれるのは特別な嬉しさがありますね。一人の人生を決めることに関与できて、幸せに思いました。

研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

長谷川:

手技に関しては「教えてもらおう」という態度でいいのですが、それ以外は自主性を持って、研修してほしいです。特に患者さんと接して、話を聞くことを人任せにしないでください。失敗しても、安全管理の立場から必ず守ります。

伊東:

大学で教わった「病気を診ずして、人を診ろ」に尽きますね。まず人を診て、それから病気を考え直すのです。与えられるものを待つのではなく、自分で考えて、動ける医師になりましょう。厚木市立病院は全面的に生まれ変わります。新しい建物を動かすのは皆さんです。市民の方々にしろ、職場の人たちにしろ、「私の街の病院」という意識があり、協力体制が整っていますので、仕事しやすい職場です。大学病院と市中病院の良さを合わせ持った当院で是非、初期研修をしてください。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

長谷川:

現在は初期研修が2年、後期研修が3年ですので、一人前になるのが29歳です。さすがに5年は長いかなと思います。初期研修1年、後期研修1年から2年でいいのではないでしょうか。私たちは2年間の研修のみで、その世代の医師が問題であるなら仕方がないですが、私たちの頃は月の収入が15,000円ぐらいで、アルバイトで収入を得ていたんです。ただ、風邪の治療もできない医師がアルバイトをするのは危険です。今はアルバイトが禁じられ、身分保障されているところがいい点ですね。

伊東:

身分保障という意味では今の臨床研修制度は整っていますね。ただ、将来像をはっきり描きにくいので、学生の延長のような感じもします。良い成績を残しても、目的を見失う初期研修医もいますし、この診療科でやっていくんだという覚悟がないまま回っても、身につかないのかもしれません。小児科では珍しい疾患よりも、自分の子どもをきちんと診られるようになろうという指導を行っています。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

長谷川:

適度に勉強でき、適度に遊べる病院を選びましょう。どちらかだけではバランスが良くないです。

伊東:

バランスの良い研修は私も大切だと思います。患者さんや疾患のバランスも同様ですね。偏りのない疾患を診られる病院を選びましょう。その点、日本の縮図である厚木は最適ですよ。長谷川先生がアカデミックなこともご指導なさっていますし、院内の図書室には司書さんもいて、ネットでの文献検索などを手伝ってくれますから、学術研究にもアドバンテージがあります。電子カルテも充実しています。

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長谷川:

大学病院と市中病院の良さを合わせ持った病院です。厚木市のあゆコロちゃんは相模川の鮎を頭に載せた豚のキャラクターです。厚木の豚肉はペリー提督が来たときに食べた豚肉としても知られています。シロコロホルモンも有名ですよ(笑)。

伊東:

厚木は新宿と箱根を結ぶロマンスカーが停まる街ですが、神奈川県民にとっての厚木市立病院は国道246号線の渋滞情報でよくアナウンスされるところとして有名です(笑)。でも圏央道ができて、渋滞はかなり緩和されました。厚木市は東京オリンピック・パラリンピックでニュージーランドのホストタウンに指定されています。7人制ラグビーチームの合宿場所にもなりますから、ラグビー好きな人にもお勧めです。オールブラックスのメンバーと一緒に飲めるかもしれません(笑)。

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