指導医インタビュー

独立行政法人 国立病院機構

災害医療センター

東京都立川市緑町3256

名前
濱元 陽一郎 先生
呼吸器科医長
職歴経歴
1972年に富山県に生まれ、東京都で育つ。1998年に聖マリアンナ医科大学を卒業後、1999年に国際医療センターで研修を行う。国際医療センターでの後期研修を経て、聖マリアンナ医科大学呼吸器・感染症科の助手に就任する。2004年に災害医療センター呼吸器科に勤務する。2009年に災害医療センター呼吸器科医長に就任する。日本呼吸器学会専門医、日本内科学会内科認定医、日本がん治療認定医機構認定医、日本抗加齢学会専門医など。日本結核病学会、日本肺癌学会、日本アレルギー学会、日本気管支内視鏡学会にも所属する。

災害医療センターの初期臨床研修の特徴をお聞かせください。

このほど、カリキュラムの見直しを行いました。災害という名称が付いている以上は救命救急にさらに力を入れなくてはいけないということで、普通なら麻酔科込みで3カ月というところを麻酔科抜きで3カ月に設定していました。ところが、3カ月は長くて集中しづらいという声が上がったため、来年度からは1年目に8週、2年目に4週に分割しました。最大限の強みや機能性を残したうえで、研修しやすいカリキュラムになったと思います。

救命救急はもちろんですが、一般内科の研修も充実していますね。

これまでは呼吸器、循環器、消化器、神経、血液、内分泌を4週ずつのローテートでしたが、来年度からは呼吸器、循環器、消化器のいわゆるメジャー3科は基礎的な診療能力の向上という目的を現状以上に果たすため、6週ずつに拡充します。また、2年目の自由選択の期間が5カ月と長いことも特徴です。研修医の自主性を尊重していますので、モチベーションの高い研修医にとっては充実した期間になるでしょう。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

研修医に身をもって体験させることです。以前、大学病院で初期研修を終えた後期研修医が当院の呼吸器科に来たのですが、「研修医には一切やらせない」という初期研修を行ってきたようで、何もできないままで後期研修が始まったのです。私自身はそういう育てられ方をしていませんし、非常に戸惑いましたね。したがって、きちんとした指導医のもとで、研修医に多くの経験をさせ、しっかり指導していくことが大事だと改めて感じました。

最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

シャイですね。表に出てきて、「俺がやる」というようなガツガツしたところはあまりないように思います。それから「9時から5時まで」というように、自分のQOLを求めている人もいます。そういった研修医のモチベーションをどう高めていくのかということが指導医としての課題ですね。

以前に忘れられない、すごい研修医がいたという経験があれば教えてください。

色んなところに顔を出していた、すごく真面目な研修医がいました。今は厚生労働省の技官になっていますが、あまりに真面目だったのでよく覚えています。
 研修医のカラーは学年によって違いますし、熱心さの度合いも違います。私が研修を行った国際医療センターは皆が必死でした。当院もそういったところを目指していかないといけません。当院の初期研修にはまだ伸びる余地があります。いかに良い初期研修をやっていくのか、いかに良い医学生をリクルートするのか、考えていきたいですね。

研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

二つあります。一つ目は医療を学ぶにあたって医療経済も学んでほしいということです。開業した途端に日本経済について語ったりする人たちがいます(笑)。やはり、若いときから少しずつでも医療と医業を学び、コスト意識を持っておくことが必要でしょう。
 二つ目は長期的な視野に立ってほしいということです。2年目の自由選択の期間に厳しい道を選んで欲しいと思います。医師の仕事を30年、40年とやっていくうえで、本当に役立つ選択を考えて欲しいということですね。今、やらなくてはいけないことを短期的な面と長期的な面から考えるようにしてほしいです。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

私は非常にいい制度だと思います。市中病院へ研修医が流れるようになってきたことが喜ばしいですね。市中病院が魅力ある病院になることで研修医を集めようとしているのはいいことです。しかし、この制度が始まったために地方の病院が困ってしまいました。そこで大学回帰が始まったとも言われていますが、うまくいっているわけではありません。なぜ、うまくいっていないのか、本質的な問題解決を図らなくてはいけないでしょう。

初期の研修期間の短縮なども議論されていますね。

2年を1年にすることで問題が解決するとは思っていません。医学教育をきちんと見直すことが大事でしょう。アメリカは4年制大学を卒業したあとでメディカルスクールに進みますが、そういったシステムも参考にした方がいいと思います。研修医を育てていくためのトータルな視点を持つべきですね。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

自分の進路は自分で決めろというだけですね。そして、いい師匠を早く見つけてほしいです。私は国際医療センターで吉澤篤人先生に出会い、熱い指導を受けたことで、専攻を呼吸器科にしたのです。大きい組織に行くのか、医師としての資格を活かした人生設計にするのかという選択もありますし、医局への入局をどうするのかという選択もあります。医局にはメリットもありますので、全部を否定することはできませんが、転勤で家族が大変になることもあります。そもそも、欧米では医局制度はないですしね(笑)。

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