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熊本赤十字病院血液腫瘍内科副部長 / 指導医 大戸雅史先生 /熊本赤十字病院 / 初期研修医2年目 宮崎聖子先生

大戸雅史先生 略歴

2003年
熊本大学を卒業後、熊本大学総合診療部に入局し、熊本大学医学部附属病院で研修を行う
2005年
福岡徳洲会病院総合内科に勤務
2006年
熊本赤十字病院内科に勤務
2009年
がん研有明病院化学療法科に勤務
2011年
熊本赤十字病院血液・腫瘍内科に勤務
2014年
熊本赤十字病院血液腫瘍内科副部長に就任
加盟学会・専門分野など
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医
日本プライマリ・ケア連合学会プライマリ・ケア認定医・認定指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本血液学会血液専門医
など

宮崎聖子先生 略歴

出身
熊本県熊本市
出身大学
大分大学
卒業年度
2017年

大戸先生に聞く熊本赤十字の現在

2016年の熊本地震で被災地に!
あらゆる分野の医療を高いレベルで取り組んでいます。
病院の特徴は?
救急やプライマリケア、災害医療に加え、高度先進医療を高いレベルで並立していこうと取り組んでいる病院ですね。
2016年の熊本地震で被災地に。現場では?
震源地の益城町から一番近い災害拠点病院でしたので、一言で言うと大変でした。最初の3日間でたしか1400人ほど診ました。宮崎先生はまだ来ていないときで、当時の初期研修医も頑張って診療していました。私は内科医ですので、できることは限られるのですが、全員一丸となって取り組みました。
震災後の病院に変化は?
変わったという点では、今までは海外や東北に派遣をする側だったのが、自分たちが被災するというのは初めての経験でしたから、実際に被災してから改善すべき点が多かったことが分かりました。救護をはじめとする災害対応マニュアルや訓練の在り方を今、変えているところです。

現在までのおふたり

戸雅史 先生

熊本赤十字病院血液腫瘍内科副部長 / 指導医
総合内科の中では大事な知識「がんを診る」
大戸先生のいらっしゃる血液・腫瘍内科の特徴をお聞かせください。
血液・腫瘍内科はまだ珍しい科なのですが、血液内のほとんどのがんを対象に抗がん剤治療と緩和治療をしている診療科です。高齢社会になって、高齢者の方が増えたことで患者さんは非常に多いです。
先生ご自身はなぜこちらを専門にされようと思われたのですか。
私はもともと日赤で総合内科の研修をしたのですが、総合内科は高齢の患者さんが多く、がんは切っても切り離せないものです。がんを診るということは総合内科の中では大事な知識ということで選びました。

崎聖子 先生

熊本赤十字病院 / 初期研修医2年目
忙しそうでありながら楽しそう。イメージ通りでした!
宮崎先生が熊本赤十字病院で研修をしたいと思われたのはどうしてですか。
初期研修の病院を選ぶにあたっては初期研修の間に救急疾患などの幅広い疾患を診ておきたいと思っていたので、救急や内科を幅広く診られる病院を考えていました。熊本赤十字病院を見学した理由は地元ということが大きかったですが、見学してみたら雰囲気が好きになったので、決めました。
最初に見学にいらしたのは何年生のときですか。
5年生だったと思います。
そのときの第一印象はいかがでしたか。
忙しい病院だと聞いていたのですが、初期研修の先生につかせてもらって見学していると、忙しそうでありながら楽しそうだと思いました。雰囲気が明るかったです。
実際に研修が始まってみたら、イメージ通りでしたか。
イメージ通りでしたね。
熊本赤十字病院での初期研修で良いところはどのようなところですか。
指導医の先生だけでなく、ほかのスタッフの方々を含めて、病院全体で初期研修医を指導してくださったり、見守ってくださっているところですね。指導体制がとても手厚いので有り難いと思っています。

おふたりの対談

初期研修の特徴

Q1初期研修医の指導にあたって心がけていらっしゃることを教えてください。

大戸難しいですが、初期研修医本人のやる気を自発的に出させることです。しかし、優秀な人が多いので、若い人のアイディアやプランを大事にしています。

Q2大戸先生のご指導は厳しいですか。

宮崎厳しくはないです(笑)。
大戸宮崎先生は血液・腫瘍内科を回ったことがあるのですが、私は直接は教えていないんです。
宮崎当院の指導医の先生方はフランクな先生ばかりです。実はこの先生はすごく偉い方なんだと改めて思い出すぐらい、部長クラスの先生方も優しく、親身になって、研修医の話を聞いてくださるんです。研修は本当に楽しいです。

Q3指導体制について、何かこだわってらっしゃることはあるのですか。

大戸教えることが勉強することだということです。宮崎先生は2年目ですが、多分1年目の初期研修医を一生懸命教えることで自分の知識を確かにしているところでしょう。当院では随分前から屋根瓦式の教育を行っていますが、これからもそこには力を入れていきたいです。

Q4同期は何人いらっしゃるんですか。

宮崎14人です。1年目も大体そのぐらいです。
大戸多すぎず、適切な数ですよね。多いと症例経験ができません。

Q5同期の方とのコミュニケーションは活発ですか。

宮崎はい。研修医部屋という研修医だけの部屋をもらっていますので、部屋では結構、話しています。

Q6そこには指導医の先生は入られないんですよね。

大戸よほど用事がない限りは行きませんね(笑)。

Q7カンファレンスはいかがですか。

宮崎カンファレンスは大学病院などと比べたら少ないかもしれないです。今は内科を回っているのですが、内科は全体のカンファレンスを毎朝しており、色々な先生方の目が入るので、とても勉強になる機会です。

Q8先生はどういったご指導をされるのですか。

大戸彼女たちのプレゼンを聞いて、この検査がもっと必要であるとか、こういう所見をもっと取った方がいいとかなどを指導します。ただ、私たちはカンファレンスよりもベッドサイドで教えることに重きを置いているので、カンファレンスはあくまでも確認ですね。

Q9ベッドサイドでの研修はいかがですか。

宮崎指導医や後期研修医の先生に手技などを直接、教えていただけます。一緒に手を出して教えていただける機会が多く、勉強になるし、やりやすいなと思っています。手技は初めてのときは先生がなさるのを見て、次からは「じゃ、やってみよう。この間、説明したよね」という感じで言われることもあります。すぐに完全に一人ですることにはならないのですが、一人でできるだけできるようにという視点で教えていただくようにしています。
熊本赤十字病院の働きやすさ

Q10「働き方改革」が重視されていますが、熊本赤十字病院ではどのように取り組まれていますか。

大戸当院は救急を積極的に行っているので、早朝や夜間といった時間外に患者さんがいらっしゃるわけですから、働き方改革と言っても、時間の管理という点で非常に苦労しています。単純に労務時間を減らすことが難しいんです。特に女性が働くとなった場合のワーク・ライフ・バランスや、結婚して出産して、かつ専門医を取りたい、しかも日赤でとなった場合の時間配分は難しいですね。この取り組みはこれからというところです。

Q11院内保育所はありますか。

大戸2年ぐらい前にできました。24時間対応ではありませんが、使っている女性医師もいます。

Q12先生はどのようなキャリアプランを考えていらっしゃいますか。

宮崎来年から後期研修なので、当院の産婦人科に進みたいと思っています。今はやはり仕事が一番頭にあるので、そこまで結婚や出産との両立について悩んでいるわけではないですが、確かに少しずるずるになっていますね(笑)。難しいということもありますが、折角こういう機会がもらえたのだから、仕事が優先にならざるをえないところもあります。

Q13産婦人科を選ばれたのはどうしてですか。

宮崎学生時代から興味はあったのですが、初期研修で回ってみて楽しかったことと女性の目線が分かるという点で、男性医師とは違うところを活かせるのかなと思ったのが理由です。決めたのは最近で、後期研修先を当院でというのも最近になって決めました。

Q14初期研修医の方が後期研修にも残られるのは嬉しいですね。

大戸嬉しいですね。今は女性医師が圧倒的に多くなっているのは間違いないことで、優秀な人も多いですから、産休などで抜けたあとにママとして帰ってきてもらうためには同僚として助け合って頑張らなくてはいけないと思っています。宮崎先生をはじめとする女性医師が当院で周りのサポートを受けてキャリアアップしつつ、かつプライベートも充実すると、新たな良いサイクルが生まれます。そうすると、下の人たちも「日赤なら、これができる」と入ってきますから、良いサイクルが回っていきますね。内科には産休中の医師が1人、産休明けの医師が1人います。彼女たちが下の世代に良いメッセージを送ってくれるはずです。一般の病院に比べると苦労を伴うことは間違いないのですが、助け合うことで、助けてもらった医師が上の世代になったときに「うちはできるよ」というふうになっていきたいですね。宮崎先生にもそうなってほしいです。
宮崎確かに女性の先生方を見ていると、先でそういう働き方もできるんだなという印象を持っています。ただ、産休を取られている先生方は外来が中心で、私たち研修医は外来を診るというよりは病棟中心なので、あまりお話をする機会がありません。
大戸先日、女性のワーク・ライフ・バランスを考える会のようなものを初めて開催しました。彼女たちからの強烈なメッセージがありましたが、宮崎先生も来ていましたか。
宮崎はい。産休明けの内科の先生、育児休暇中の先生、後期研修医の先生、初期研修医の4人がそれぞれのワーク・ライフ・バランス観を話されましたね。
大戸そうそう。それぞれが今、考えていることをプレゼンしてもらいました。本当に面白かったです。初期研修医、後期研修医、30代、40代でママになっているという、それぞれのフェーズで考えていることを聞けたのが良かったですね。
宮崎出産を経験された先生方のお話、たった二人なのに色々なパターンがあるのだと勉強になりました。一人は専門医まで取って、産休を取られたんですよね。サブスペシャリティまで取ったあとで出産された先生と出産されたあとで取られた先生と…。
大戸出産前に取ったものもあるし、出産後に取ったものもあった気がします。
宮崎色々と持っていらっしゃいますもんね。そういうサブスペシャリティの勉強をしつつ、出産された先生のお話を聞くと、どこにそういうウェイトを持ってくるか、考えた通りにはいかないのでしょうが、考えていくことは必要なのだと思いました。
これからの宮崎先生

Q15こういう産婦人科医になりたいという目標はありますか。

宮崎その先の専門はまだ決めていないので、まずは何でも一通りの分野を診られるようになりたいです。

Q16大戸先生も期待されていますよね。

大戸宮崎先生は優秀ですし、産婦人科医として立派に成長してくれると思います。初期研修で学んだ救急プライマリケアはおそらく当院でしか経験できないことなので、その精神を持ったまま、サブスペシャリティでも頑張ってほしいというのが願いです。

Q17働きやすい病院ですか。

宮崎福利厚生は充実しています。お休みもそれなりに取れています(笑)。ほかの病院のことはあまり知らないので、何とも言えないですが、どこの初期研修医も忙しいと思います。 当院も忙しいときは忙しいですが、2年間、1日も休みがなくて忙しいわけではありません。忙しい科もあれば、そうでもない科もあります。忙しくても、同期や先輩、指導医の先生が支えてくれますし、環境として楽しいからやっていけています。

Q18オンオフの切り替えはできていますか。

宮崎できて…できています(笑)

Q19お休みの日は何をされていますか。

宮崎ずっと家にいます(笑)。当院の初期研修医は宿舎に入ることになっているので、一人暮らしなのですが、平日に散らかした家を片付けたりしています。宿舎は病院の近くなのですが、実家も遠くはないので、実家にもまめに帰っています。
医学生・若手医師にメッセージ

Q20それでは大戸先生から熊本赤十字病院のPRをお願いします。

大戸宮崎先生が話してくれたように、当院はハードですし、背負っているものが多い病院です。救急、災害、がん診療の拠点病院ですし、小児救急もあります。地域における役割が重いので、研修自体もハードで、指導医もハードに働いています。その分、遣り甲斐もあり、楽しいと思える環境です。医師だけでなく、看護師などのスタッフ全員がそういうミッションを受け止め、楽しく働いています。そういう点では勢いがあり、皆のやる気で支えられている病院です。学生、研修医を問わず、そういうやる気のある方に仲間に加わってほしいです。
インタビュアーからひとこと!
「師弟愛」に感動しました!
宮崎先生が初期研修で血液・腫瘍内科を回られたときに、直接の指導医は大戸先生ではなかったとのことでしたが、大戸先生が宮崎先生をよく見ておられたことがインタビューを通して分かり、「師弟愛」に感動しました。
熊本赤十字病院は多くの公的な役目を持つ病院ゆえに、分かりやすい形での働き方改革の実現は難しそうですが、先生方が遣り甲斐を持って、大きなミッションに向かっておられる姿は医学生や若手医師の皆さんの共感を呼びそうです。

病院アピール

私たちは「人道・博愛・奉仕」の精神をもって医療を実践します。

概要

名称 熊本赤十字病院
院長 平田 稔彦
許可病床数 490床(一般)
敷地面積 63,283.12m2
建物面積 18,317.35m2
延床面積 70,148.59m2
所在地 熊本市東区長嶺南二丁目1番1号

診療体制

診療科目

内科、血液・腫瘍内科、神経内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、小児科、外科、整形外科、乳腺内分泌外科、脳神経外科、心臓血管外科、小児外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、放射線科・放射線治療科、麻酔科、歯科・歯科口腔外科、救急科、病理診断科、精神腫瘍科

特徴

救命救急センター
小児救命救急センター
臨床研修指定病院
災害拠点病院(基幹災害拠点病院)
小児救急医療拠点病院
地域周産期母子医療センター
地域医療支援病院
熊本県ドクターヘリ基地病院
DPC対象病院
地域がん診療連携拠点病院
NPO法人 卒後臨床研修評価機構による臨床研修評価認定(認定期間4年)期間4年)

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