徹底討論!大学病院vs市中病院

徹底討論!大学病院vs市中病院

市中病院チームの主張/災害医療センター

初期研修医
有本 斉仁 医師

若いときには大きな病院に勤務して、多くの症例を見たいと考えていました

大学卒業後、研修先として大学病院でなく、災害医療センターに決めた理由をお聞かせください。

有本:大学時代のクリニカルクラークシップで3週間、災害医療センターの救命救急センターに来たことがきっかけです。鹿児島大学はクリニカルクラークシップに関しては自由度が高く、先方の病院が了承するのであれば行ってきてもいいと言われたのです。それで、この病院に来たのですが、とても印象に残りました。
災害医療センターの研修医は生き生きしているように見えたので、魅力を感じました。若いときには大きな病院に勤務して、多くの症例を見たいと考えていましたので、この病院か、福岡の研修病院かと漠然とピックアップしていました。結局、福岡の病院に見学に行くことはなく、この病院に決めました。大きさの割に研修医が多過ぎず、手技の取り合いにならないで済みそうだったこと、みっちり研修できそうだったことが決め手になりました。
ゴルフ部の5学年上の先輩で、埼玉県の病院に勤務していらっしゃる方がいるんですが、その先輩からこの病院を勧められたことも大きかったです。

災害医療センターに見学に来られたときの印象はいかがでしたか。

有本:研修医が楽しそうに働いていて、とても良い印象を持ちました。研修医ともお話ししたのですが、熱心に勧めてくるわけでもなく、自然に学生の相手をしてくれて、感じが良かったです。

災害医療センターでの初期研修はイメージ通りですか。

有本:イメージ以上に楽しい毎日です。学生の頃にはイメージできなかった経験をさせていただいています。

災害医療センターでの初期研修の特徴をお聞かせください。

有本:診療科によりますので、一概に言うことは難しいのですが、多くの科の先生方と仲良くなれる病院だと思います。私は今、麻酔科にいるのですが、既に外科を終えているので、研修しやすいんですね。大きな病院では難しい横の繋がりがこの病院では密接です。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

有本:人それぞれではありますが、(指導医の)濱元先生より下の学年の先生方は研修制度が身近な世代なので、熱心ですね。でも、全体的に若い先生方が多いので、やりやすいですよ。

災害医療センターでの初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

有本:先日、NHO(国立病院機構)と連携しているVAホスピタル(退役軍人病院)の教授がいらっしゃったので、英語でのケースカンファレンスが行われました。呼吸器の症例について、1カ月ぐらいかけて準備したのですが、勉強になりました。そういう面白さは学生のときは分からなかったんですよね。実際に患者さんを診たうえで、その後を考察していくのは興味深いです。

研修医同士の意見交換や情報共有も活発ですか。

有本:同期は12人で、程良い規模ですね。皆、忙しいので、なかなか集まることができないのですが週一回、研修医の勉強会で意見交換は行われています。また、宿舎も一緒ですし、何人かで食事に行ったりすることはあります。

何か失敗談はありますか。

有本:失敗はいくらだってあります。失敗を恐れて何もしなければ何も始まりません。この点では、上級医とのコミュニケーションが重要だと思います。

初期研修プログラムで改善を望みたいことはありますか。

有本:私たちはずっと消化器、循環器、呼吸器の研修期間を長くしてほしいと言っていたのですが、私たちの下の学年から4週から6週に改善されることになりました。4週間だと、慣れた頃に異動ですからきついのですが、この点が改善されて良かったです。

選択の期間にはどちらの診療科に行かれるのですか。

有本:呼吸器科、あとは脳神経外科、一般外科、心臓血管外科など、外科系に行きたいと思っています。1年目のローテートのときは手術に入らせていただけなかったので、手術を見たいですね。外科系は将来のことを考えたときに関わりが深い科なので、学んでおきたいです。

当直の体制について、お聞かせください。

有本:2週間に3回程度です。当直には内科当直と救命当直の2種類あります。内科当直は指導医と初期研修医の2人体制で、ウォークインの患者さんを担当します。研修医が初診を診ますが、勝手にするわけではなく、指導医の先生からの指導がきちんと入ります。救命当直は救命専門医の先生方が3人と初期研修医が2人の5人体制で、救急車で搬送される、二次、三次救急の患者さんを診ます。

当直では、どんなことが勉強になっていますか。

有本:内科当直も救命当直もそれぞれの良さがあります。救急車の数が多いので、色々な患者さんを診られるのは勉強になりますね。鹿児島はここまで救急医療が活発ではないので、この病院に来て良かったです。今後、できるかできないのかではなく、知っているか知らないのかで差が出てくるはずなので、救命当直を少しでも知っていることは意味があると思っています。

カンファレンスなどの雰囲気はいかがですか。

有本:呼吸器科は(指導医の)濱元先生がよく見てくださっているので、リベラルな雰囲気がありますね。肺がんに関しては大学並みのカンファレンスが行われます。病理科の先生もいらっしゃいますし、面白いです。  救命救急センターは引き継ぎの意味もあって、毎朝、行われています。放射線科の先生からの画像の説明は勉強になります。今の救命救急では画像診断が欠かせないので、しっかり学びたいと思っています。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

有本:細菌検査や病理検査など、頼みやすいですよ。看護師さんたちも研修医慣れされていますし、いい雰囲気の病院です。

今後のご予定をお聞かせください。

有本:専攻する科目をまだ決めていないので、後期研修の病院も決まっていないんです。どの科も楽しいので、決めきれないんですよ(笑)。先輩から「楽しいと思わないと、医師をやっていくうえでのセンスがない」と言われましたが、周囲の皆さんが楽しくさせてくださっているのだと感謝しています。将来は祖父か、父のクリニックを継承することを視野に入れていますが、2人とも勤務医時代は消化器外科医だったので、私も外科系を専攻することを考えています。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

有本:ドライブです。1年目の研修が終わったときに鹿児島から車を持ってきました。でも、忙しいので、遠出をすることはないですね。新宿やお台場まで行って帰ってくるだけで満足しています(笑)。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

有本:私にとってはいい制度です。でも、私は鹿児島が嫌いだからこの病院に来たのではなく、鹿児島が好きだからこそ、この病院に来たのです。私は中学・高校・大学とずっと鹿児島で育ってきましたが、臨床研修マッチングに際しては、広い視野に立って自分が最も生き生きと研修できる病院はどこかという観点で研修先を選ぶことが出来ました。  将来、地元に戻るとしても、初期研修の2年間をここで過ごせたことは貴重な財産になるだろうと思っています。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

有本:私がこの病院を選んだ理由の一つは、自分が働き、研修医している姿をイメージしやすかったからです。有名病院にも見学に行ったのですが、そこではイメージできなかったんですね。ブランドであるとか、有名病院だからだとか、症例数の多さではなく、病院の空気と自分が合うかどうか、人それぞれの価値観で決めればいいと思います。

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