■画像診断の要点■
心エコーにおいて左室後壁に比べ、非対称性に肥厚した心室中隔(ASH)や僧帽弁前尖の収縮期前方運動(SAM)がみられる。
a 心室瘤は心筋梗塞後の合併症や心サルコイドーシスにおいてみられることがある。菲薄化した心筋が圧によって瘤状に突出する。閉塞性肥大型心筋症においてはみられない。よってaは×。
b 心嚢液が貯留すると、左室と心外膜の間のecho free spaceとして心周りの無エコー領域が認められる。心タンポナーデなどでみられる。閉塞性肥大型心筋症ではみられない。よってbは×。
c 僧帽弁狭窄では、僧帽弁Mモードで僧帽弁前尖拡張期後退速度(DDR)の低下がみられる。また左室長軸断層では、左房の拡大や前尖のドーム形成、僧帽弁先端の開放制限などの所見がみられる。よってcは×。
d 僧帽弁狭窄では、僧帽弁Mモードで僧帽弁前尖拡張期後退速度(DDR)の低下がみられる。また左室長軸断層では、左房の拡大や前尖のドーム形成、僧帽弁先端の開放制限などの所見がみられる。よってcは×。
e 本来であれば収縮期には僧帽弁は閉じているはずであるが、狭窄した左室流出路を流れる速い血流に僧帽弁前尖が心室中隔へ引っぱられる。これが僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)であり、閉塞性肥大型心筋症に特徴的にみられる所見である。よってeも○である。
若年者の運動時の失神は、聴診などを参考に心エコー検査につなげ、循環器専門施設やコンサルトすることが重要である。
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