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国試過去問解説 2025-11-26

国試過去問解説 急性冠症候群 国試(113A61)

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113A61
70歳の女性。胸の重苦しさと息苦しさを主訴に来院した。1週間前から、朝の犬の散歩中に胸の重苦しさと息苦しさを自覚するようになったが、2~3分の休息で症状が消失していた。本日、午前9時から同症状が出現し持続するため、午前10時に家族とともに受診した。65歳時に高血圧症と脂質異常症を指摘されたが、定期的な通院は行っていない。家族歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。身長156cm、体重60kg。体温36.2℃。脈拍84/分、整。血圧116/78mmHg。呼吸数16/分。SpO2 99%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。胸部エックス線写真に異常を認めない。12誘導心電図でV2、V3、V4でST低下を認める。心エコー検査で左室前壁の壁運動低下を認めるが、心嚢液の貯留を認めない。
最も可能性が高いのはどれか。

答え
不正解

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【 診断への手がかり 】
主訴:胸の重苦しさと息苦しさ
症状:悪化している胸部不快感→狭心症、心不全など
既往歴:65歳時に高血圧と脂質異常症→冠疾患の危険因子
心電図:V2、V3、V4でST低下あり→前壁
心エコー:左室前壁の壁運動低下
以上より急性冠症候群(不安定狭心症)の診断となる。


a 例えば113B29の心電図のI,Ⅱ,Ⅲ,aVF,aVL,V2,V3,V4,V5,V6などのようにaVRを除くほぼすべての誘導でST上昇を認めることが多く、否定的である。感冒症状の先行や、吸気時の痛みの増強、心膜摩擦音の聴取などがあり、心嚢液の貯留も起こしうる。よってaは×となる。

b 2~3分で軽快していた胸部症状が、1週間程度で増悪し、午前9時から持続していること、心電図でST低下がみられ、誘導とエコーの異常部位が一致することなどから、急性冠症候群(不安定狭心症)が最も考えられる。よってbが○。

c 高齢女性に多く発症するが、胸痛や心不全などST上昇型心筋梗塞(STEMI)のような症状を示し、心エコーでは心尖部に壁運動異常がみられる。本症例ではST低下を示し、左室前壁の壁運動が低下しており合致しない。よってcは×。

d aと同じく感冒症状が先行し、急性の心不全症状が現れる。(ショック、呼吸困難、Ⅲ音、coarse cracklesなど) 心電図でST-T変化やwide QRSなどがみられる。心エコーでびまん性の壁運動低下、心嚢液貯留を認めることが多い。よってdは×となる。

e 急性の胸痛をきたす代表的な疾患のひとつである。低酸素血症を伴うことが多くSpO2 99%(room air)と合致しない。Ⅱ音の亢進や心電図でSⅠQⅢTⅢパターンがみられるケースもある。(113C57) 心エコーでは右室の拡大がみられる。よってeは×である。

時間のある方は参考資料としてこちらをご覧ください。

連載: 国試過去問解説