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国試過去問解説 2025-11-19

国試過去問解説 糖尿病腎症 国試(112D19)

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112D19
72歳の女性。動悸を主訴に来院した。5年前に大動脈弁狭窄症に対して機械弁による大動脈弁置換術を受けており、定期的に受診し、ワルファリンを内服している。これまでの受診時の心電図検査では洞調律であったが、来院時の心電図は心拍数104/分の心房細動であった。意識は清明。脈拍96/分、不整。血圧120/76mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸部血管雑音を認めない。呼吸音に異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。血液所見:赤血球468万、Hb 13.7g/dL、白血球7,300、血小板18万、PT-INR 2.3(基準0.9〜1.1)。
この患者への対応として適切なのはどれか。

答え
不正解

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心房細動の抗凝固療法の適応については、弁膜症性(僧帽弁狭窄症や人工弁置換術後)ならば、ワルファリンによる抗凝固療法が適応となり、非弁膜症性ならばCHASD2スコアに基づいて判断する。

■CHASD2スコア
危険因子 スコア
C Congestive heart failure 心不全 1
H Hypertension 高血圧 1
A Age≧75y 75歳以上 1
D Diabetes mellitus 糖尿病 1
S Stroke/TIA 脳梗塞、TIAの既往 2
合計0~6
a 出血症状は認められないため、現状止血薬の投与の必要性はないと考えられる。ただし出血性イベントを抑制するためPT-INRを至適範囲(この場合2.0~3.0)にコントロールすることは重要である。よってaは×となる。

b ワルファリンによる抗凝固療法により、上述のPT-INRが2.3と至適範囲にコントロールされているため、ヘパリンの追加投与による抗凝固療法の強化は必要ないと考えられる。よってbは×となる。

c PT-INRが弁膜症性心房細動の管理基準である2.0~3.0の範囲にコントロールされており、抗凝固療法における血栓塞栓症予防と出血性イベントの抑制のバランスが保たれている。よってワルファリンによる現在の抗凝固療法を継続するべきである。cが○。

d ビタミンKはワルファリンの働きを阻害し、その作用を減弱する。もし投与すれば心原生脳梗塞などの血栓塞栓症のリスクが上昇するため、ワルファリンがコントロールされており、出血症状などがない今の状況では投与すべきでない。よってdは×。

e ワルファリン以外の経口抗凝固薬(ダビガトランなど)については、非弁膜症性心房細動に適応があり(CHASD2スコア1点もしくは2点以上)、弁膜症性心房細動に関しては適応がない。よってeは×。

時間のある方は参考資料として日本老年医学会雑誌第55巻第1号をご覧ください。

連載: 国試過去問解説