迅速病理診断とは、手術で摘出した検体を速やかに固定・染色し、組織の質的診断を行うことで、病変部位の追加切除の必要性など判断するための手法である。通常の病理診断が組織の固定にホルマリン溶液を用いるのに対し、迅速病理診断では液体窒素を用いて凍結固定を行うなど、作業手順にも違いがあることを把握しておく。
a 悪性腫瘍が疑われる症例で切除範囲を決定するため、など症例を選んで実施される。予定手術全例では実施しない。
b 良性腫瘍であれば病変部位だけの切除で問題ないが、悪性腫瘍であればマージンを取って切除する、などのケースがあてはまる。
c 迅速病理診断ではホルマリンは使用しない。検体は生理食塩水で湿らせたガーゼで包み込み、病理検査に提出する。その後、液体窒素で凍結固定し切片を作成する工程に進む。
d 通常の病理検査と異なり、凍結切片を使用する。ホルマリン固定していないため、感染症のリスクがある点にも注意が必要である。
e 原則として、HE染色で診断する。免疫染色は通常の病理検査で行う染色と理解しておく。
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