汎血球減少とは血液中の血球成分(赤血球・白血球・血小板)のすべてが減少している状態を指す。血球の産生低下や血球の消費亢進が原因となる。中でも骨髄が低形成を示し、血球産生が低下する再生不良性貧血は代表的な例である。その他SLE・肝硬変による脾機能亢進なども汎血球減少を引き起こしうる。
a 赤芽球癆では骨髄中で赤芽球減少を来すが、白血球・血小板の系統には異常はなく、汎血球減少とはならない。
b 鉄欠乏性貧血では赤血球が減少するが、汎血球減少は呈さない。
c 上述の通り再生不良性貧血は汎血球減少をきたしうる代表的な疾患である。骨髄は低形成となり(脂肪髄)、造血は低下する。治療は重症度によって異なるので整理して出題に備えたい。また、脂肪髄の画像は過去に出題もあるので確認しておきたい(114D32)。
d 骨髄異形成症候群は、骨髄中の造血細胞が複数系統にわたり異形成を呈することで血球減少をきたす疾患である。異常な造血幹細胞が増殖し正常造血を抑制することで血球減少が生じる。また異常な芽球が増殖し異常な血球が作られるが、異常血球は骨髄内でアポトーシスする。異常芽球の比率が20%を超えると、急性白血病に分類される。
e 急性白血病では汎血球減少をきたしうるが、慢性リンパ性白血病では白血球が増殖することが多い。
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