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    国試対策ノート 2023-07-19

    ~神経編~ 脳梗塞

    まずは医師免許取得!症例や問題を取り上げ、傾向と対策を分かりやすく説明しています。

    【脳梗塞とは】

    脳に血液を供給する血管が何らかの原因により閉塞し、最終的には潅流領域の神経細胞死が生じることを主徴とする疾患である。
    本稿では脳梗塞に関して、国家試験で問われうる知識を述べていく事にする。

    【脳梗塞とは】

    下記の三点は基本として押さえておく。

    ・突然発症の言語障害、麻痺、口角下垂(FASTと呼ばれる項目が有名)がある場合、
    発症時間を確認し、速やかに脳卒中診療可能な病院の受診をするよう支持する(必修対策)。

    ・MRIで脳血管の支配領域に合致する拡散制限画像がある場合、急性期の脳梗塞を疑う

    ・一見軽症に見えても、進行する場合や急速に増悪する事がある事を念頭に置く。

    【超急性期脳梗塞の診断と治療プロトコルについて】

    脳梗塞は超急性期とそれ以外で対応が大きく異なってくる。
    その為、まずは超急性期の脳梗塞に対して、時間経過も加味した診断と治療のプロトコルを知る必要性がある。
    下記に頭部CTで脳出血がなく、超急性期脳梗塞が疑われる場合の診療プロトコルを示す(図1)。

    図1

    (図1: アルテプラーゼ静注のプロトコル)

    図1の通り、発症から4.5時間以内で、かつ禁忌事項がない場合は
    アルテプラーゼの静注を目指す事になる。
    しかし、アルテプラーゼの静注には禁忌事項が複数存在する為、これらの禁忌事項を知っておく必要性がある。

    下記にアルテプラーゼの禁忌事項を示す(図2)。

    図2

    (図2: アルテプラーゼ静注の禁忌項目)

    なお、今後の国家試験では、2020年に発症時間が不明な場合でも、
    禁忌事項がなく、かつMRIの所見から発症4.5時間以内と考えられる場合は、
    アルテプラーゼを静注してよいというガイドラインの変更があった点に留意する必要性がある。

    またアルテプラーゼ静注の適応がない場合や、アルテプラーゼ静注を行った症例であっても、
    脳血管の主幹動脈に閉塞があり、頭部画像からペナンブラが残存していると考えられる場合には、
    カテーテルによる緊急での血栓回収療法や血管形成術が適応になりうる。
    特に中大脳動脈起始部や内頚動脈閉塞に対しては脳卒中ガイドラインにおいても緊急での治療が推奨されている(図3)。

    図3

    (図3: 脳卒中ガイドライン2021年から引用)

    【超急性期以降の脳卒中の治療に関して】

    急性期治療と慢性期治療に分類される。
    下記に急性期の治療と慢性期の治療をそれぞれ示す。

    図4

    (図4: 超急性期以降の脳梗塞の治療)

    【脳梗塞の重症度スコアおよび分類について】

    TOAST分類

    アテローム血栓性梗塞、心原性塞栓症、ラクナ梗塞、その他の梗塞の4つに分類される。
    脳梗塞の原因別の分類である。その他の梗塞のうち、塞栓性が疑われるものの、
    塞栓の原因となっている要因が特定できない脳梗塞を塞栓源不明脳塞栓症
    (ESUS;Embolic Stroke of Undetermined Source)
    と呼称し、学会のトピックスになっている。その他の脳梗塞には多種多様な要因が詰め込まれているが、
    そのうち最低限知っておくべきものについては後述する。

    NIHSS score

    図5

    (図5: NIHSS score)


    脳卒中の重症度を診察所見から判定することができる。
    脳梗塞の場合は高点数であればあるほど、主幹動脈が閉塞している可能性が高くなる為、
    カテーテル治療を要しうる。点数をつける際は、必ず判定表に書かれた順番通りに評価を行い、
    一度評価したものは修正しないことが重要になる。

    ASPECTS score

    図6

    中大脳動脈の脳血管の支配領域に画像上の異常があるかを見ることによって、
    脳梗塞の重症度を判定することができる。
    10点満点から上記の梗塞部位が認められた領域の数を減点していき、判定する。血栓回収療法はASPECTS 6点以上で絶対適応である。

    【その他の脳梗塞のうち、例外的に知っておくべき原因】

    いずれも若年者の脳梗塞の要因となり得る為、概要を知っておく必要がある。

    脳動脈解離

    脳動脈がさけることにより、急性に血管の閉塞をきたすことがある。
    特に椎骨脳底動脈系で生じやすく、若年者の脳梗塞の原因となる為、
    若年者の頭痛を伴うワレンベルグ症候群を見た場合はまず脳動脈解離を疑う事が重要である。
    頸部の過伸展やスポーツなどの外傷で生じる事がある。
    画像所見はMRIでT1画像で動脈壁の三日月状高信号(壁在血栓)やMRAで
    pearl and strings signやflap形成が見られる。
    時折動脈瘤を形成することがある為、その場合にはコイル塞栓術の適応となる。

    感染性心内膜炎

    弁膜の疣贅により脳塞栓症を起こすことがある他、感染性動脈瘤を形成することがある。
    感染性心内膜炎の場合、アルテプラーゼの静注は禁忌となる。脳梗塞を伴う場合は、抗菌薬だけでなく、手術も検討する。

    心臓腫瘍

    心臓の腫瘍で最も重要であるのは左房粘液種である。左房粘液種では脳塞栓症をきたしうるため、手術を検討する。

    著者プロフィール

    ペンネーム:なつ
    プロフィール:市中病院勤務の脳神経内科医。趣味は釣りと小説と東洋医学。臨床をこなしながら、
    CES医師国家試験予備校で講師として「アウトプットする授業」をモットーとして学生の指導に
    当たっている。僕のコラムが何らかの形で皆様の力になれば幸いです。一緒に頑張りましょう!

    連載: 国試対策ノート