全国で活躍する女性医師

2020-11-30

広島⾚⼗字・原爆病院

全国の赤十字病院の中から、広島県の広島⾚⼗字・原爆病院にお伺いしました。研修のプログラム、1日のスケジュールなど、現場の声が聞けるインタビューです。

岡田邦子先生

岡田 邦子先生プロフィール

  • 1984年
    東京慈恵会医科大学 卒業
    1984年
    広島大学麻酔科 入局
    1984年
    広島大学病院 研修医
    1984年
    広島赤十字・原爆病院 研修医
    1986年
    大分医科大学区(現 大分大学)麻酔科入局
    1986年~
    大分医科大学附属病院(現 大分大学医学部付属病院)、大分県立病院、個人病院 勤務
    1993年
    広島大学麻酔科 再入局
  • 1993年~
    広島大学病院、広島赤十字・原爆病院、広島大学病院 勤務
    1996年~
    広島赤十字・原爆病院 着任

    資格

    • 日本麻酔科学会麻酔科専門医・指導医
    • 日本ペインクリニック学会専門医
    • 麻酔科標榜医 など
  • 馬上結衣先生

    馬上 結衣先生プロフィール

    広島県広島市出身

    2019年3月
    山口大学 卒業
    2019年4月
    広島赤十字・原爆病院 初期研修
  • 徳永文音先生

    徳永 文音先生プロフィール

    広島県広島市出身

    2020年3月
    山口大学 卒業
    2020年4月
    広島赤十字・原爆病院 初期研修

病院の魅力広島⾚⼗字・原爆病院の魅力

広島⾚⼗字・原爆病院を選んだ理由を教えてください

馬上

私は大学は山口なのですが、出身が広島なので、広島に戻ってきました。
 

徳永

私も馬上先生と同じく、出身が広島で、大学も山口でした。ちなみに中学と高校も馬上先生と一緒なんです(笑)。中学の頃は知らなかったのですが、大学時代に県人会などで馬上先生と知り合いになりました。その後、馬上先生が広島赤十字・原爆病院に行くと聞き、色々とお話を伺って、私も当院を選びました。
 

馬上

私も上の学年の研修医に知っている人がいたんです。それで話を聞いたことがきっかけです。診療科が豊富に揃っていることや初期研修医の数が10人ぐらいなので、多すぎず、少なすぎず、程よいところが良かったです。
 

初期研修に人気の秘密は何でしょう?

岡田

大学病院はやはり規模が大きく、診療科は揃っています。一方で、当院は例えば外科にしても人数がそれほど多くないので、コミュニケーションが取りやすいんです。他科の医師もコンサルトしやすいことが魅力の一つなのかもしれません。
 

 

研修内容を教えてください

 
今は皮膚科を回っています。午前中は外来にいて、午後は手術がある日は手術したり、入院患者さんのところに往診に行ったりしています。皮膚科では、患者さんの視診にしても、上の先生はぱっと見て、「あ、あれだ」とすぐ分か るのですが、私は全然分からないので、まだまだだなと思っています。でも、外来中などに指導医の先生に色々と質問して、教えていただき、身になったときに良かったなという満足感があります。
私は今、麻酔科を回っています。朝はその日の麻酔で使う薬の準備をします。そして患者さんが来られたら、麻酔をかけて、手術が終わるまで麻酔管理をしていきます。麻酔科を回るようになって初めて挿管をしたのですが、とても難しく、指導医の先生に助けていただきながらやっています。患者さんの意識がなくなった状態では命がかかっているのだと強く感じますので、そこが一番注意するところであり、遣り甲斐ですね。
徳永先生とは頻繁に一緒に麻酔に入っています。徳永先生は真面目ですね。患者さんに対して優しく話しかけていますし、症例には丁寧に向き合っています。手技に関しても日々、上達しています。気管挿管の手技を修得するために、たくさんの症例の導入に積極的に入っていますね。難しいことはやはり難しいのですが、できなかったことができるようになったり、それなりにできたら達成感があるはずです。ただ研修期間が1か月だから、集中して頑張らないといけないのよね。
 

初期研修にあたって気を付けていることはありますか?

 
年上の患者さんに丁寧な敬語で接することです。そして主訴を聞き出すことですね。紹介状があれば、その内容にある診断に引っ張られないように、ご本人の話をきちんと伺うことに気をつけています。
難しいですよね。
 
難しいよね。話が通じないこともあるから、根気よく話します(笑)。ご家族がいらっしゃれば、ご家族に聞くこともあります。
私も馬上先生と同じで、問診を丁寧に行うことはすごく大事だと思っています。当直だと初めて診る患者さんだったりするので、なるべく患者さんの言葉で訴えを聞き出そうと頑張っています。
 

当直の体制を教えてください

 
初期研修医が1人と上の先生が2人です。初期研修医が1人というのは珍しいです。1年目と2年目が1人ずつ入って、1年目は2年目のもとで働く病院が多いのですが、当院は1年目でも1人で入ります。
1年目の私としては2年目の先生の方が聞きやすかったりしますが、そういう面では初期研修医が複数入る方がいいですね。でも、そうなると当直回数が増えます(笑)。自分しかいないと「まずはこれをしよう」という意識が働き、自分で調べたりするので、主体性も持てるし、成長していると思います。
 

研修医だけの部屋はありますか?

 
研修医室はなく、全ての科の先生方と同じ医局にいます。そこに研修医のスペースがあるので、上の先生方に質問したいことなどがあれば、すぐに質問できる環境です。
 

研修中に印象に残っていることはありますか?

私は麻酔科を専攻する予定なのですが、2年目に麻酔科を回ったときに「麻酔科を考えている」と言ったら、指導医の先生から「じゃあ、最初から最後までやってみよう」と言われました。それで薬の量を決め、薬を入れる導入のところから術中もほとんどを一人で行ったことがあり、そのときはてんやわんやで、緊張と責任の重さがすごくて印象に残っています。でも成長したと思いました。指導医の先生もきちんと見てくださり、バックアップもしてくださいました。
私は麻酔科の前はリウマチ科を回ったのですが、受け持っていた患者さんが亡くなったんです。もともとは買い物できるぐらいに元気な方だったので、ショックな出来事でしたが、亡くなる前に状態が悪くなった段階で、指導医の先生が患者さんとご家族の方にとても丁寧に病状の説明をされていました。私もそれを見て、自分にできることを見つけながら、最後まで見届けることができました。患者さんやその周りの方々と向き合って、話し合いをしておく大切さを学べた経験でした。
  • 馬上先生の1日のスケジュール

  • 徳永先生の1日のスケジュール

 

勤務内容をお聞かせください

 
火曜日の午前中にペインクリニック外来をしています。また週に1回午前中、術前診察外来をして、それ以外は手術室で麻酔管理を行っています。
 

広島赤十字・原爆病院で実現したキャリアはありますか?

現在、緩和ケア部長の藤本真弓先生に誘われたのがきっかけで、1996年ごろから癌性疼痛の勉強を始めました。その後、当時の部長と二人三脚で癌患者さんの疼痛管理を行いました。
 

岡田先生の診療方針をお聞かせください

外来ではご高齢の患者さんが多いので、患者さんの不安を取り除くようにお話を聞くということ、質問しやすい雰囲気を作ることを心がけています。
術前診察のときに、最後に「理解していただけましたか」、「質問はありませんか」と聞くと、外科の先生に聞きにくかったことなどを聞かれることもあります。そんなときは「こんなふうに聞いたらいいですよ」とアドバイスをしています。
 

ほかに気をつけていらっしゃることはありますか?

例えば、お薬のことを把握しているつもりの患者さんでも、話してみるとあまり理解されていないと分かることもあります。でも術前は手術や麻酔の説明を受けたり、一度に多くの情報が入ってくるので煩雑で、それが問題になることもあります。そんなときには「お薬は看護師さんに渡して、管理してもらった方がいいですよ」とアドバイスをしたりしています。
 

患者さんの不安を取り除くコツがあるんですね

「こういう注射をするときには前もって局所麻酔しますよ」「あまり痛くない状態で麻酔しますよ」「眠ってしまったら、あとは私たちが管理しますからね」とお話しして、流れを分かりやすく説明したりしますね。「目が覚めるときには枕元にいて、ポンポンしますよ」とも言います(笑)。そういうふうに具体的に話すと、「じゃあ、私は眠るのを待っておけばいいのね」と言われるんです。
あまりにも複雑に言うと、情報量が多すぎて患者さんは参ってしまうから、患者さんの反応を見ながら情報量を変えていきます。皆に同じではありません。
 

初期研修医や医学生に話し方のアドバイスをお願いします

いくら高齢の患者さんでも「おじいちゃん」「おばあちゃん」という呼びかけ方は良くないと思います。尊厳を持って接しましょう。「○○さん」という言い方の方がいいと思います。

岡田先生の1日のスケジュール

病院の働きやすさ広島⾚⼗字・
原爆病院の働きやすさ

岡田

女性医師の中にはフルタイムで働ける人、育児をしながら働いている人など、色々な人がいます。麻酔科には女性医師が多いのですが、嘱託という形で非常勤勤務をしている人もいますし、時短勤務で週に1回の勤務をしている人もいます。皆で力を合わせて働いています。
夏季休暇などの場合は、以前当院に勤務していた先生や非常勤の先生に応援勤務をお願いしていますし、週に2日は広島大学病院からの応援があり、何とか賄っているという状況です。
 

徳永

お子さんがいらっしゃる先生は早めに帰ることができていますし、お互いが気遣って、支え合っているんだなと感じています。
 

馬上

産婦人科の先生が「子どもが熱を出したから帰る」とおっしゃっていたのを伺い、そういうことが言いやすい環境だと思います。

医師として影響を受けた人医師として影響を受けた人

馬上

一人を挙げるのは難しいのですが、麻酔科の古宮陽子先生ですね。子育てもすごく頑張っていらっしゃいます。
 

徳永

私も一人ではなく、何人かいらっしゃるのですが、その先生方に共通しているのはご自身が診療に熱心で、患者さんに寄り添っていることです。私は色々な面で未熟なので、私のような初期研修医に熱心に指導してくださる先生を素敵だなと思います。
 

岡田

私は広島大学麻酔科の2代目の教授弓削孟文先生ですね。弓削先生の手術室でのふるまい、特に手術室スタッフに対する接し方に大きな感銘を受けましたし、影響を受けました。スタッフをとても大事にされ、みんなのおかげで麻酔が安全に行えるのだと、常々言っておられました。
 

馬上

尊敬する先生方を見習って、これからも頑張ります。
 

徳永

私も教えられてばかりの立場なのですが、将来的にはそういう医師を目指していきたいです。
 

岡田

私は麻酔科医なので、やはり手術室での仕事が多くなります。スタッフとはもちろん、外科医ともコミュニケーションを取ることで、手術がうまくいくと思っていますので、皆で協力して進めていける雰囲気を作ることを心がけています。

キャリアプランキャリアプラン

馬上

まだ研修中なので、できてはいないですが、私も直接、患者さんに診療できたらと思っています。
 

徳永

私も働き始めて半年も経っていないので、自分から何をすべきか分かるようになりたいです。学生の頃よりは自分の行動一つ一つに責任感を持つようになって、日々学んでいる実感はあります。
 

岡田

目標は維持することですね(笑)。本当は新しいこともしたいのですが、年ごとに手術数が100例ほど増えてきていて、一方ではスタッフの増員はないので、そこを何とか効率よく、私も体調を維持しながら続けていきたいと思っています。

病院アピール病院アピール

人道・博愛の赤十字精神のもと、
人々に愛され信頼される病院を目指します。

概要

  • 病院外観
  • 名称広島⾚⼗字・原爆病院
    所在地〒730-8619 広島市中区千田町1丁目9番6号
    電話番号082-241-3111(代表)
    開設年月昭和14年5月
    院長古川 善也
    休診日土曜、日曜、国民の祝日
    年末年始(12/29~1/3)、創立記念日(5月1日)
    病床数565床

診療体制

診療科目

総合内科、腎臓内科、血液内科、内分泌・代謝内科、脳神経内科、循環器内科、呼吸器科、消化器内科(内視鏡センター、肝臓センター)、外科、乳腺外科、消化器外科、内視鏡外科、呼吸器外科、肝胆膵外科、血管外科、脳神経外科、整形外科、リハビリテーション科、リウマチ科(膠原病)、産婦人科(遺伝子カウンセリング外来)、小児科、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、泌尿器科、放射線診断科・放射線治療科、麻酔科、緩和ケア科、救急集中治療部、歯科口腔外科、病理診断科
 

施設設定

  • 二次救急指定医療機関
  • 災害拠点病院(地域災害医療センター)
  • 病院群輪番制病院
  • 臨床研修指定病院(医科・歯科)
  • 地域がん診療連携拠点病院

各種学会教育病院指定等の施設資格

  • 日本内科学会認定医制度教育病院
  • 日本肝臓学会認定施設
  • 日本腎臓学会研修施設
  • 日本透析医学会専門医制度認定施設
  • 日本血液学会認定血液研修施設
  • 日本糖尿病学会認定教育施設
  • 日本内分泌学会認定教育施設
  • 日本神経学会専門医制度教育関連施設
  • 日本循環器学会認定循環器専門医研修施設
  • 日本高血圧学会専門医認定施設
  • 日本呼吸器学会認定施設
  • 日本臨床腫瘍学会認定研修施設
  • 日本感染症学会研修施設
  • 日本呼吸器内視鏡学会専門医制度認定施設
  • 日本老年医学会認定施設
  • 日本消化器内視鏡学会認定専門医制度指導施設
  • 日本消化器病学会認定医制度認定施設
  • 日本胆道学会認定施設
  • 日本消化器外科学会専門医修練施設
  • 日本外科学会外科専門医制度修練施設
  • 呼吸器外科専門医認定機構関連施設
  • 日本乳癌学会認定医・専門医制度認定施設
  • 日本肝胆膵外科学会高度技能医修練施設A
  • 日本脳神経外科学会専門医訓練施設
  • 日本脳卒中学会認定研修教育病院
  • 日本整形外科学会専門医制度研修施設
  • 日本リウマチ学会教育施設
  • 日本産科婦人科学会専門医制度卒後研修指導施設
  • 日本周産期・新生児医学会母体・胎児専門医暫定研修施設
  • 日本小児科学会認定医制度研修施設
  • 日本内分泌学会認定教育施設〔小児科〕
  • 日本小児血液・がん専門医研修施設
  • 日本耳鼻咽喉科学会専門医研修施設
  • 日本気管食道科学会認定気管食道科専門医研修施設
  • 日本眼科学会専門医制度研修施設
  • 日本皮膚科学会認定専門医研修施設
  • 日本泌尿器科学会専門教育施設
  • 日本医学放射線学会放射線科専門医総合修練機関
  • 日本麻酔科学会麻酔科認定病院
  • 日本ペインクリニック学会指定研修施設
  • 日本口腔外科学会認定医制度研修機関
  • 日本病理学会病理専門医制度認定施設B
  • 日本臨床細胞学会認定施設
  • 日本病態栄養学会認定栄養管理・NST実施施設
  • 日本静脈経腸栄養学会認定NST稼動施設
  • 日本栄養療法推進協議会認定NST稼動施設
  • 日本骨髄バンク非血縁者間骨髄採取施設
  • 日本がん治療認定医機構認定研修施設
  • 日本消化管学会暫定処置による胃腸科指導施設
  • 乳房再建用エキスパンダーインプラント実施施設
  • 非血縁者間末梢血幹細胞採取・移植施設認定施設
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施施設
  • 日本脈管学会研修指定施設
  • 日本大腸肛門病学会認定関連施設
  • 日本消化管学会胃腸科指導施設
  • 乳房再建用エキスパンダー実施施設
  • 日本骨髄バンク非血縁者間末梢血幹細胞採取・移植施設認定施設
  • National Clinical database(NDC)施設
  • 日本外科感染症学会教育施設
  • 日本消化器学会連携施設(対象術式:腹腔鏡下肝切除術)
  • 日本救急医学会救急科専門医指定施設
  • 腹部ステントグラフト実施施設
  • 日本IVR専門医修練施設
  • 日本造血細胞移植学会非血縁者間造血幹細胞移植施設
  • 浅大腿動脈ステントグラフト実施施設
  • 心臓血管外科専門医認定機構認定修練施設
  • 日本人間ドック学会人間ドック専門医制度研修施設
  • 日本超音波医学会認定超音波専門医研修施設

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