2020-07-31
安曇野⾚⼗字病院
全国の赤十字病院の中から、長野県の安曇野⾚⼗字病院にお伺いしました。研修のプログラム、1日のスケジュールなど、現場の声が聞けるインタビューです。
藤原 万里先生プロフィール
-
大学3年で結婚、出産。多数子育てと初期研修を両立した研修医がいる安曇野赤十字病院を初期研修先に選ぶ。
1年では神経内科、循環器内科、消化器内科、⼀般内科をローテート。2年目の今年は神経内科を終え泌尿器科を回っている。
現在までの藤原先生
-
医師を目指したきっかけをお聞かせください。
-
もともと人と関わる職業に就きたいと思っていたことや、理系科目の勉強が好きだったこともあって、医療系を漠然と目指していました。
医療系にも様々な選択肢がありますが、医師は研究をする機会もあり、できることの幅が広いことが魅力でしたので、最終的に医師を選びました。
学生生活で思い出に残っていることはどんなことですか。
-
最初は部活動などを楽しんでいましたが、3年生の終わりに結婚し、出産もしました。4年生の1年間は休学し、復学後の4年生から6年生までの3年間は学業と子育てを両立させようと頑張ったことが⼀番の思い出です。
安曇野赤十字病院で研修をしたいと思われたのはどうしてですか。
-
私にとっての大きな課題は育児もしないといけないことでした。そこで、以前に育児中の初期研修医を受け入れた前例のある臨床研修病院を探しました。
岡山県にとどまらず、広く探したところ、安曇野赤十字病院には子育てと初期研修を両立させたという方が何人もいらしたと伺いました。長野県に住んだことはなく、親戚もいませんが、友人がいたことがきっかけの⼀つでもあります。
病院探しをするうちに、私にとって魅力の多い病院でしたので、当院に決めました。夫は岡山県に逆単身赴任しており、長⼥を連れて、当地に来ました。
最初に見学にいらしたのは何年生のときですか。
-
4年生のときに復学したのですが、その年の後半に見学に来ました。最初は合同の病院説明会に参加し、それから5年生にかけて何度か見学させていただきました。
見学での第⼀印象はいかがでしたか。
-
最初の見学での印象は指導医の先生がとても親身になって指導してくださるんだなというものです。疑問点にも親切に答えてくださって、学生である私にも手技をさせてくださったのが決め手の⼀つになりました。
研修本音トーク
長野県安曇野市は人⼝10万人の街で、当院は地域の⼆次救急を担う中規模病院です。初期研修医の人数も多くなく、ベテランの指導医の先生からほぼマンツーマンで指導を受けられるのが⼀番の特徴だと、私は思っています。同じ診療科をローテートする初期研修医がほぼいない状態で研修できるので、ほとんどの手技を経験させていただけます。
実際に研修が始まってみたら、イメージ通りでしたか。
思っていた通り、指導医の先生方が熱心に指導してくださっています。手技を勉強する機会も多いので、当院で研修できて良かったです。
これまでローテートした診療科はどちらですか。
1年目は内科系を中心に、神経内科、循環器内科、消化器内科、⼀般内科などを回りました。それから救急ですね。外科系は消化器外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科などを回りました。2年目に入ってからは神経内科を終え、泌尿器科を回っているところです。
初期研修の特徴
安曇野赤十字病院での初期研修の特徴はどういったところにあると思いますか。
ベテランの指導医の先生方から手技のほか、横断的な内容を教えていただけることです。また、救急外来の専従の先生が診療と臨床教育を担当してくださっているのですが、それはこのような中規模病院では珍しいことなのだそうです。そして、初期研修医が主体的に関われる勉強会やカンファレンスが定期的に開催されていることも特徴です。
安曇野赤十字病院の初期研修のプログラムの特徴についてもお聞かせください。
研修内容に融通が利き、内科系、外科系をまんべんなく回らないといけないということはありません。⼀通りの内科系は必修ですが、外科系はさほどでもないので、自分の思うようにプログラムを組むことができます。自由度はかなり高いと思います。
指導医の先生方のご指導はいかがですか。
とても丁寧に、熱心に教えてくださっています。教えることが好きな先生方が多い印象がありますね。学会の発表の機会も色々と与えてくださり、そのための準備にも丁寧なご指導をいただいていますので、勉強になっています。
カンファレンスの雰囲気はいかがですか。
私が発表した症例で印象に残っているのは救急で診断が難しかった方のカンファレンスです。循環器や救急の先生方を交えて、検討会のような雰囲気になりました。感染性心内膜炎の患者さんでしたが、最初は心筋梗塞と診断され、転院になりました。しかし両者が合併している例もあったりするので、このときの例はどうだったのかというのを検討したのは興味深かったです。また、内科のカンファレンスは週に1回あり、内科を回っている初期研修医がいれば症例報告をし、発表後に指導医の先生方と⼀緒に議論するというものですが、今は新型コロナウイルスの影響で開催されていません。
院外での研修もありますか。
1年目はほとんどなかったのですが、2年目になってから院外での研修があります。私は松本市の城西病院で精神科と地域医療を研修させていただく予定です。
プログラムで改善してほしいことはありますか。
当院にはない診療科を研修したい場合はほかの病院で研修できる何らかの制度があればありがたいなと思います。
初期研修医の当直は半直
当直の体制について、お聞かせください。
当院では初期研修医の当直はなく、23時までの半直のみです。年末年始などは当直や長い時間の救急での勤務が入ることもありますが、基本的には半直が月に4、5回あります。私は家庭の事情を配慮していただいているので、月に1、2回です。指導医の先生は救急の先生が1人いらっしゃいますが、外科系だけを診る先生が1人いらっしゃることもあります。救急の先生がどなたもいらっしゃらないときは内科系、外科系の先生が1人ずつですね。初期研修医は1人で、その先生方の下につきます。
当直では、どんなことが勉強になっていますか。
⼀番は患者さんを帰していいのかという判断です。帰していいのか、入院なのかが微妙な場合に指導医の先生に相談すると、社会的な背景も考慮されて入院にされたりすることもあるので、そうしたさじ加減が勉強になっています。
普段から仲良しな同期たち
同期は何人いらっしゃるんですか。
私のほかに3人います。1人は信州大学医学部附属病院からのたすきがけの人で、2年目から⼀緒になりました。
同期の方とのコミュニケーションは活発ですか。
それぞれ回っている科のことを教え合ったり、普段から仲良く過ごしています。研修医室として独立した部屋はないのですが、医局の奥まったところにスペースがあり、そこに机を並べています。
勉強になること・心がけていること
安曇野赤十字病院での初期研修で勉強になっていることはどのようなことですか。
日々が勉強です。救急で指導医の先生と⼀緒に患者さんを診ていると、診断が難しい場合が少なくありません。その後のカンファレンスでそういう患者さんの症例発表をすると、指導医の皆さんと⼀緒に症例検討ができ、フィードバックもいただけます。そういう勉強が特に身になっていると感じます。
どのような姿勢で研修に取り組んでいますか。
できる研修医になりたいのですが、家庭の事情もありますし、理想を高くすると挫折しそうです。でも、救急を回る機会もありますし、救急の現場で見落としをせず、最低限のことができるようになりたいです。また、患者さんに信頼していただけるような診療態度を目指しています。
藤原先生の1日のスケジュール
藤原先生のビジョン
もともと外科系が好きなので、形成外科や泌尿器科などの外科系を考えていますが、来年は娘の就学前の1年になるので、医局に入るのは止めようかなど、はっきりしたプランを組めずにいます。1年をブランクにして、進路を考える時間にしたいですね。
当院に残れるなら残りたいですし、ほかに働ける場所があればとも思っています。
将来は、どんな時も初心を忘れずにいたいです。ベテランになればなるほど、要点だけを聞き出す問診の仕方になってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、私は時間がかかっても、患者さんのお話をなるべく多く聞ける医師になりたいと思っています。
安曇野赤十字病院とは
家庭の時間を持ちやすい病院
初期研修医とスタッフの先生方とでは違うかと思いますが、初期研修医の私たちにとっては自分でフィードバックできたり、家庭の時間を持ちやすい病院です。
17時にはほぼ全ての業務が終わります。そのあとに残ってカルテを書いたり、勉強したりする人もいますが、強制ではありません。その時間に帰っても怒られたり、嫌な顔をされることもないので、有り難い環境です。
院内保育所はなく、病児保育の施設があり、2歳児までの託児所が隣接されています。私の子どもは5歳なので、市内の保育所を利用しています。住まいは、寮はないので自分で探した物件に住み、住宅手当をいただいています。
- 何か失敗談はありますか
- 救急で初期対応をした患者さんの診断が難しく、上の先生に相談するしかできなかったことがありました。
でも、あとから振り返ると、私にも見落としがあったし、もう少し深く追求したら診断に繋がるような情報を得られたのではと後悔したことがあります。そういうときのことを忘れずに、今後に活かしていきたいです。
- オンオフの切り替えはできていますか
- お蔭様で、かなりできていると思います。
- お休みの日は何をされていますか
- 娘と⼀緒に過ごしています。このあたりは自然が豊かで、見るところが多く、週末の楽しみがあります。新型コロナウイルスの感染が広まってからは近所の公園に⾏くぐらいになりましたが、それまでは上高地や軽井沢に⾏ったり、長野を満喫していました。夫も月に1度は来てくれます。去年の夏休みには夫がいる岡山に⾏きましたが、最近は移動ができないので、こちらにいます。
医学生・若手女子医師に
メッセージ
病院アピール
地域に根差した医療を
概要
-
名称 安曇野赤十字病院 所在地 〒399-8205 長野県安曇野市豊科5685 電話番号 0263-72-3170(代) 開設年月 昭和26年3月8日 院長 中野 武 休診日 土曜日、日曜日
国民の祝日、創立記念日(5月1日)
年末年始(12月29日~1月3日)病床数 一般 316床
診療体制
診療科目
内科・総合診療科、神経内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、小児科、外科、整形外科、脳神経外科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、皮膚科、形成外科、リハビリテーション科、病理診断科、麻酔科、救急科、腎臓内科、糖尿病・内分泌内科、歯科口腔外科
特殊診療指定
保険医療機関・国民健康保険療養取扱機関・労災保険指定・生活保護法医療扶助指定医療機関・中国残留邦人等指定医療機関・身体障害者福祉法医療機関(法第15条)・戦傷病者特別援護法指定医療機関・原子爆弾被爆者指定医療機関・基幹型臨床研修病院・結核予防法指定・性病予防法指定・DPC標準病院・救急告示病院・地域医療支援病院・人間ドック健康相談・訪問看護ステーション・訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション・指定居宅介護支援事業所・人工透析・松本広域医療圏第2次救急医療指定施設(輪番病院)・母体保護法指定医・設備
施設認定
- 日本循環器学会認定専門医研修施設
- 日本不整脈学会・日本心電図学会認定不整脈専門医研修施設
- 日本神経学会認定教育関連施設
- 日本消化器内視鏡学会認定指導施設
- 日本外科学会 外科専門医制度修練施設
- 日本がん治療認定医機構・認定研修施設
- 日本整形外科学会認定専門医研修施設
- 日本消化器外科学会認定医修練施設
- 日本消化管学会胃腸科指導施設
- 日本脳神経外 科学会認定専門医訓練C項施設
- 日本麻酔科学会認定麻酔科研修施設
- 日本泌尿器科学会専門医教施設・基幹教育施設
- マンモグラフィ検診施設
- NST稼動施設、臨床微生物検査技師研修施設
- 日本病理学会研修登録施設
- 日本臨床細胞学会施設
- 日本救急医学会救急科専門医指定施設
- マンモグラフィ検診施設画像認定
- 日本糖尿病学会認定教育施設Ⅰ
- 日本透析医学会認定施設
- 日本腎臓学会研修施設