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プロフェッショナルインタビュー 2025-11-11

第3回「湘南鎌倉総合病院は、日本で一番の救急車搬送件数があります。」湘南藤沢徳洲会病院 機能的神経疾患センター(機能神経外科) 山本一徹センター長

話題沸騰!数々の人気番組に出演している医師たちが語る 「キャリア」「信念」「未来」そのすべてに迫るインタビュー! どのようにしてスキルを高め、逆境を乗り越えてきたのか?日常の葛藤、医師としての信条、そして描く未来のビジョンとは――。

【出演番組一部抜粋】
情熱大陸、クローズアップ現代

今回は【湘南藤沢徳洲会病院 機能的神経疾患センター長】山本一徹先生のインタビューです!
湘南鎌倉総合病院にて初期研修をした理由。離島医療にて得られた経験。
留学した経緯やどのようにして手技スキルを高めていったのかなど、語っていただきました――。

テーマは 第3回「湘南鎌倉総合病院は、日本で一番の救急車搬送件数があります」をお話しいただきます。

目次

プロフィール

名 前:

山本(やまもと)一徹(かずあき)

病院名:

湘南藤沢徳洲会病院

所 属:

機能的神経疾患センター(機能神経外科)

資 格:

日本定位・機能神経外科学会技術認定医
日本脳神経外科学会専門医・指導医
日本脊髄外科学会認定医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科専門医など。

学 位:

博士(医学)
先生の写真
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経 歴:

・1984年 北海道札幌市で生まれる。
・2010年 札幌医科大学を卒業後、湘南鎌倉総合病院で初期研修を行う。
・2012年 湘南鎌倉総合病院で脳神経外科の後期研修を行う。
・2016年 湘南鎌倉総合病院脳神経外科に勤務する。
・2019年 東京女子医科大学病院に勤務し、平孝臣氏に師事する。
・2020年 トロント大学Toronto Western Hospitalに勤務し、トロント大学のアンドレス・ロザーノ氏に師事する。
・2022年 帰国後に湘南藤沢徳洲会病院機能的神経疾患センターのセンター長に就任する。

━━ 後期研修も引き続き湘南鎌倉総合病院でなさったのですね。

 後期研修における私の目標は、基本的な脳神経外科手術手技を一通り体得することでしたので、多くの手術を経験する必要がありました。実は大学病院に見学に行ったりもしたのですが、そこで後期研修医の先生方が「こないだ慢慢性硬膜下血腫の手術をさせてもらったよ」と話しているのを聞いて、「ここではあまり手術をさせてもらう機会に恵まれないのかもしれない」と感じてしまいました。湘南鎌倉総合病院では初期研修医でも経験させていただいていたので、経験という観点においては、率直に差を感じずにはいられませんでした。一方で、若手のうちから積極的に手術を経験させる大学もあると聞きますし、大学によって方針が違うようです。やはり数カ所の大学を見学するぐらいでは分からないのでしょうね。それを差し引いたとしても、救急疾患が多くある病院の方が、若手に積極的に手術を経験させる傾向があるかと思います。救急車で次々に運び込まれてくれば緊急手術が増えるわけで、緊急手術を多く行っているところは必然的に若手にも経験させなければいけないような事態が生じやすいということなんですね。救急は若手が経験するものだという誤解が生まれてはいけませんが、若手も手術を経験しなければ、技術を研鑽できません。では、どこでなら経験しやすいかというと、やはり緊急手術の中で指導を受けながら、できるところまで経験させてもらえるところです。その点、湘南鎌倉総合病院は年にもよりますが、日本で一番の救急車搬送件数があります。救急車搬送件数が常に上位に食い込んでいるというのは有名な話ですし、私も身をもって知っていました。そこで緊急手術の多い湘南鎌倉総合病院で経験を積んだほうがいいと考え、後期研修先に選びました。

━━ 後期研修では脳神経外科を集中して学ばれたのですね。

 初期研修の選択期間に脳神経外科を回ったのは1カ月だけだったんです。選択期間は限られており、そのうちの1カ月は脳神経外科、2カ月形成外科を回りました。そのうちの1カ月で脳神経外科、残りの1カ月で形成外科を回りました。脳神経外科を1カ月しか回らなかったのは緊急手術が来たときにどれだけ経験させてもらえるのかを知ることが目的だったためです。そして、1カ月というのはそれを知るには十分な期間でした。実際に後期研修で脳神経外科にお世話になり、そこで研鑽を積んだのですが、やはり緊急手術は予想通り多かったです。様々な経験をさせていただき、基本的な技術を一通り身につけることができました。

先生の写真

━━ 後期研修で印象に残っている出来事はありますか。

 後期研修を行っていくうちに、手術でここまで経験させてもらえるのだという経験の幅が広がっていきます。例えば、若手の医師が経験を積みたい手術の一つに、開頭脳動脈瘤頚部クリッピング術といって、脳の動脈瘤に対して開頭手術を行い、クリップをするというものがありますが、動脈瘤にクリップをかけるのは結果と言いますか、最終的に行うプロセスなんですね。そこにたどり着くまでの技術が非常に重要で、そのたどり着くまでのプロセスで経験させてもらえる幅が広がっていきますと、「ああ、技術が身についてきたんだな」と実感できるわけです。私も完遂してクリップをかけられたときは感動的でしたので、それはとても印象に残っています。ほかにも印象に残っていることは語り尽くせないほどあります。例えば、クリッピング術をしながら年を越したことですとか、年明け早々に緊急で呼ばれたことなどですね。あとは患者さんとの思い出も一つ一つ印象に残っていますので、なかなか語り尽くせません。

━━ その中で特に忘れられない患者さんとの思い出をお聞かせください。

 神経膠芽腫の患者さんで、非常に強く印象に残っている方がいらっしゃいます。神経膠芽腫は、英名ではグリオブラストーマと呼ばれる難病です。この患者さんに対して、執刀医として初めて自立して神経膠芽腫の摘出術を行いました。正確には私と私が指導する後輩とで手術を行ったのですが、それまで同疾患の手術には上司が入ってくれていたので、上司がいない状態で神経膠芽腫の手術をするのは初めてでした。そして、私が手術を行い、グリオブラストーマを完全に摘出して、その後も良好な経過をたどり、後遺症や合併症も何も生じずに化学療法や放射線療法を行いました。グリオブラストーマはできる限りのことをしても平均余命は1年間ほどと言われている中、その患者さんはかなり長い間、生きられました。私が退職するときにはまだお元気で、ピンピンされていましたので、そのあとどこまで元気にしていらっしゃったのかがずっと気になっていますが、その患者さんにとどまらず、やはり一人一人に思い出があります。機能神経外科領域でない患者さんたちでしたが、「ありがとう」と感謝されたり、感謝のお手紙をいただきますと、それも思い出として積み重なりますし、次の仕事へのモチベーションに繋がりますね。

━━ 後期研修終了後はスタッフとして湘南鎌倉総合病院に就職されていますが、お仕事の内容はあまり変わりませんでしたか。

 そうですね。後期研修を終えて脳神経外科の専門医を取得し、湘南鎌倉総合病院にスタッフとして勤務を継続することになりましたが、仕事内容は大きく変わっていません。専門医資格を取得したことで、上司にとっても対外的な観点から私にさらに仕事を任せやすくなった面はあったかもしれません。しかし、後期研修期間中に経験を重ね、年々できることが増えるにつれて、周囲の信頼を得て任される仕事内容や業務量はすでにかなり増えていましたので、あまり変わった実感はありませんでした。後期研修で大きく成長させていただいた結果と言えますし、この点においても当時の上司や環境に深く感謝しています

連載: プロフェッショナルインタビュー