専門研修インタビュー

2024-10-01

神戸大学医学部附属病院(兵庫島)指導医 小林隆(コバヤシタカシ)先生(2024年)

神戸大学医学部附属病院(兵庫県)の指導医、小林隆(コバヤシタカシ)先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2024年に収録したものです。

神戸大学医学部附属病院

〒650-0017
神戸市中央区楠町7丁目5-2
TEL:078-382-5111
FAX:078-382-6597
病院URL:https://www.hosp.kobe-u.ac.jp/

小林先生の近影
名前
小林 隆(コバヤシ タカシ)先生
役職
助教・診療科長補佐(医局長)
経歴
1980年、大阪府に生まれる。
2005年 神戸大学医学部を卒業。
2005年6月から 神戸大学医学部附属病院 初期研修医
2007年4月から 明石市立市民病院 消化器科 専攻医
2009年4月から 兵庫県立がんセンター 消化器内科 専攻医
2010年4月から 神戸大学医学部附属病院 医員
2016年4月から 神戸大学大学院医学研究科 消化器内科学分野 特命助教
2020年4月から 神戸大学大学院医学研究科 地域医療ネットワーク学分野 助教
2021年4月から 神戸大学医学部附属病院 消化器内科 特定助教
2022年4月から 神戸大学大学院医学研究科 消化器内科学 特命助教
2023年4月から 神戸大学医学部附属病院 消化器内科 助教
専門分野
消化器内科、特に膵臓・胆道
専門医資格
  • 日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
  • 日本消化器病学会専門医・指導医
  • 日本膵臓学会認定指導医
  • 日本胆道学会認定指導医

神戸大学医学部附属病院の特徴をお聞かせください

神戸大学医学部附属病院は、大学病院としては珍しく神戸大学出身者の割合がそこまで高くはないです。四国や九州など西日本を中心ではありますが、多様な施設から集まっているというのが特徴の一つです。

そういう意味では、常に新しい風が入りやすい活気のある環境なのかなと考えています。ちなみに、初期研修では神戸大学出身以外が約7割です。

もちろん科にもよりますが、消化器内科を例にだすと、旧態の医局制度みたいな締め付けは強くなく、個人個人の背景などを尊重した形となっています。

小林先生がいらっしゃる消化器内科の特徴もお聞かせください

自由度が高く、先程説明したように、色んな背景をもった人が集まるような多様な科となっています。実際に若い先生がどんどん増えてきています。仕事の仕方もフレキシブルに選びやすいのも特徴だと思います。

消化器内科研修プログラムの特徴をお聞かせください

専攻医1年目は神戸大学で研修していただき、2年目からは市中病院の関連施設で研修してもらいます。これは内科学講座全体的にそういう形が一般的です。消化器内科では専攻医2年目の外病院をはじめに決めないといけないわけではなく、1年目の9月や10月ぐらいから考えていくような形でフレキシブルに決められます。一般的な病院でいうと、1年目の初めの時点から2年目3年目の病院を決められていることが多いかなと思いますが、神戸大学は興味領域を見極めてから選んでいけます。

もちろん一方的に選べるわけではないんですけども、専攻医の先生の意見などを尊重しながら選んでいくという形になります。

小林先生は、どのようなキャリアアップをされましたか?

私自身は神戸大学出身で、初期研修も神戸大学で受けました。
後期研修は、明石市民病院という市中病院で行いました。その後、兵庫県立がんセンターに1年勤めて、また神戸大学に戻ってきました。私自身、非常に大学で過ごした時間が長く、今どきでは特殊かなとも思います。

学生の頃から消化器内科に進みたいなと思っていて、上司と相談しながら病院を決めたという感じなのであまり進路についての悩みはなかったです。

後期研修を明石市民病院で行ったのは、当時消化器内科が盛んで活気のある病院だったのと、神戸大学の関連病院で胆道やや膵臓の診療が強かったのでそちらを選びました。あとは、初期研修を大学病院で行ったので、色んな世界を知る必要があるかなと思い外にでてみたいと思ったのも1つあります。

小林先生の指導風景

カンファレンスについて、お聞かせください

全体でやるカンファレンスは週に2回あります。
火曜日にチャートカンファレンスという、新患患者さんのレビューを行います。その時に、初期研修医や専攻医が症例をプレゼンしてみんなで議論するといった場になっています。これは教育的なこともありまして、火曜日の午前に毎週やっています。もちろん発表の前には、指導医の先生方が研修医や専攻医を指導してみんなで準備していきます。

火曜日の夕方には医局会も兼ねて発表会を行っており、これは専攻医などに限らず大学に所属している先生が順番で発表していくものになります。

あとはグループにわかれて行いますが、消化器内科ではグループが5つあり、それぞれ領域のカンファレンスを実施致します。大学では、臨床のカンファレンスと研究のカンファレンスというのがあっていろいろな角度から症例に関わっていきます。

女性医師の働きやすさに関してはいかがでしょうか

消化器内科では、だいたい3割ぐらいが女性となっています。消化器内科の専攻医は、今年は男性2名、女性1名の先生が入ってくれています。今は、医学生の段階で女性が増えてきているので、内科全体としてもやはり増えてきているなと感じます。産休、育休や有休をとりやすいようチーム制やシフト制を導入していますし、女性でも男性でも働きやすい環境づくりを意識しています。

先生の研修時代はいかがでしたか

私の後期研修のときとは、やはりシステムも大きく変わってきていますね。もちろんJ-OSLERとかもなかったので、今はシステマティックになったと感じています。やはり指導する側としても、それを意識するようにはなってきていると思います。これ自体は、専攻医たちにはきつい面もあって内科離れに拍車をかけているんじゃないかみたいな話しもあるんですが、確かに見ててしんどそうだと思います。ただ、今の専攻医は、昔に比べたらどんどんしっかりとしてきているなと思うところもあり、良い面もあるのかなと思います。

あとは、実務面でも違いはあると思います。昔は研修医や専攻医は雑務みたいな働き方も多かったなと思いますが、働き方改革のこともあってそういうのはほとんどなくなっていて本来的な研修体制が整ってきているなと感じます。

専攻医と一緒に

専攻医に指導する際、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか

一番は、やはり仕事に対する姿勢を見ており、しっかりしたプロフェッショナリズムをもった医師を育成していきたいなということをまず第一に考えているところです。

そして、最初にお話しした通り神戸大学病院は多様で色んな方がきてくれますので、互いに日々接しながらしっかりとした信頼関係を作って指導することを心掛けています。

あとは責任感についてですね。どうしても何でもシステムで決まっており、時間も制限されたりすると、自分の患者のことなのになぜか他人事みたいな感じで軽く終わっている場合もでてくるんですけど、そういったところをきちんと教えてあげて責任感を植え付けてあげることが、今求められていることだと考えています。

大学病院だと、屋根瓦が厚くて複数人体制で診療をしていくことになりますが、無意識に仕事をしていると受け身になりがちです。そこを、個別にきちんと自分で考えさせたり意見をださせたりして、日々フィードバックしていくと責任感が生まれてくると思っています。

印象に残っている専攻医のエピソードはありますか

1人のエピソードというわけではありませんが、指導している専攻医の成長が見られるのはやはり嬉しいことですね。私たち消化器内科は内視鏡業務が大きな柱になってきますが、これを本格的にやり始めるのは専攻医になってからが多いと思います。

専攻医が責任感を持って対応してくれている患者さんには内視鏡処置を任せてみようかなと思わされますし、任せることで専攻医もさらに前向きになってくれたりして、ぐんと成長することを実感します。

これから専攻医研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします

大学病院では市中と違って、医師の指導医も多く、若手からベテランまでが所属しているので、偏りのない指導ができるところはメリットだなと思います。

神戸大学や消化器内科というより、僕らとしては内科に興味を持って欲しいなと思います。やはり医療においても非常に大事な役割をもっていますし、内科医がいなくなってしまうと医療は成りたたないと思っています。なんといっても、内科には幅広い仕事の仕方があります。先程お話ししたJ-OSLERの件もあり、専門医をとるのが大変だと思われがちですが、内科の指導医の先生方がみんなよく理解して指導医してくれるので、必ずその辺は克服できることだと思っています。

そんなシステムのことで内科を敬遠するというのはもったいないと思います。単純に、診断を突き詰めていくところとか、実際に内視鏡を使って治療までやっていけるなど、面白い面が多々あります。興味さえもっていただけたら、我々としては色んな研修医、専攻医を受け入れてますし、多様な将来の選択肢を示すことができますので、ぜひ神戸大学の内科専門研修を選択の1つとして考えてもらえたら嬉しいなと思います。

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