初期研修インタビュー

2023-05-01

佐賀大学医学部附属病院(佐賀県) 指導医(初期研修) 吉田和代先生 (2023年)

佐賀大学医学部附属病院(佐賀県)の指導医、吉田和代先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2023年に収録したものです。

佐賀大学医学部附属病院

〒849-8501
佐賀県佐賀市鍋島5-1-1
TEL:0952-31-6511
FAX:0952-34-2071
病院URL:https://www.hospital.med.saga-u.ac.jp/

吉田先生の近影

名前 吉田 和代
佐賀大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター准教授・卒後臨床研修センター副センター長 指導医

職歴経歴 1963年に福岡県大牟田市で生まれる。1988年に佐賀医科大学(現 佐賀大学)を卒業する。1988年に佐賀医科大学医学部附属病院で内科研修医となる。1989年に国立療養所筑後病院(現 国立病院機構大牟田病院)に勤務。1990年に佐賀医科大学医学部附属病院を経て1991年に医療法人社団敬愛会内田記念病院に勤務する。1992年に佐賀医科大学医学部附属病院医員を経て1993年に佐賀医科大学医学部助手に就任する。1998年に佐賀医科大学医学部研究生を経て、2000年に佐賀医科大学医学部附属病院医員となる。2002年に佐賀医科大学附属病院助手を経て2003年に佐賀大学医学部附属病院循環器内科助手に就任する。2005年に佐賀大学医学部附属病院検査部助手、佐賀大学医学部附属病院循環器内科助教を経て、2007年に佐賀大学医学部附属病院総合診療部講師に就任する。2008年12月 に佐賀大学医学部附属病院卒後臨床研修センター教育指導准教授に就任する。2014年4月に佐賀大学医学部附属病院卒後臨床研修センター准教授に就任。現職。
日本循環器学会専門医など。
資格 医学博士、日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本医師会認定産業医

佐賀大学医学部附属病院の特徴をお聞かせ下さい。

 佐賀大学医学部附属病院は1981年に開院し、新設当時は佐賀医科大学附属病院という名称でしたが、2003年に佐賀大学と統合し、今の名称に変更されました。
新設医科大学でしたので、大学病院ではありますが、他の大学病院とイメージが少し違うところがあるかなと思っています。
当院は佐賀県の基幹病院としてプライマリケアから三次救急まで幅広く受け入れており、簡単に言うと、大学病院と大きな市中病院の中間のようなイメージの病院です。
大学病院ですのでもちろん高度な先進医療や研究も行っていますが、かなり臨床のベーシックなところにも対応しています。

吉田先生がいらっしゃる循環器内科についてはいかがですか。

 循環器も高度な医療から基本的なところまでを広く扱っています。私が思う当院の循環器内科の特徴としては2つの点が挙げられると思います。1つ目は女性医師が多く、結婚や出産を経ても働きやすいというサポート体制があることです。
2つ目は教授の方針で、研究にもしっかり力を入れている事です。例えば、国立循環器病センターのような国内でトップクラスの高度な医療施設や大学院に国内留学に行くことができて、現在はそこからまた戻ってきた先生たちが中心になって活躍しています。
最初から都会の大きな病院での初期研修や専門医研修に行きたいなあと思っておられる先生方もいらっしゃると思いますが、初期研修や基幹領域の専門医研修である医師の基本を作った上で、より高度な学びを得に行くことで、様々な先端の知識や技術もより専門的に身につけられるのでとても勉強になると思いますし、そこで得た成果や技能を大学に持ち帰って後進に伝えるということで医局全体がレベルアップできたと思います。
先生方の横の繋がりが広いからこそできる取り組みですね。

よく医局は怖いとか医局に制限されるという不安を持っておられる学生さんや研修医の先生たちもいると思うのですが、もはや「白い巨塔」の時代ではないので(笑)、医局というのはこのようにライフイベントがあったときに支援してくれたり、医局員の希望もちゃんとヒアリングしてくれたり、キャリアアップを支援してくれたりと、皆さん自身にとってもとても役に立つものなんだよと思います。

佐賀大学医学部附属病院の初期研修プログラムで学べる特徴についてご紹介お願いします。

 まず県内の他病院と協力してプログラム運営をしているので、たすきがけプログラムが7つある事です。
「たすきがけ」先も県内の基幹型病院をカバーしているので、選択肢が豊富です。
また、大学を中心として学ぶプログラムもあるのですが、自由度がとても高く、2年間大学しか経験できないわけではなく、選択科目の中で市中病院にも行けます。
大学で医師としてのベースを学びつつ、大学で診られない事を市中病院でも学ぶことができるのが特徴です。
さらに2023年度には地域医療と総合診療に重点を置いたプログラムを作りました。
研修医の皆さんとの面談を通して、診断がまだついていない患者さんや軽症の救急患者さんを診る経験などが、大学にいながらでも学べる環境は大事だなと思っていた事がこのプログラムに繋がりました。
幸い学内に総合診療部がありますので、総合診療部と地域医療を合わせて5ヶ月間学べるプログラムとなっています。
大学病院だと経験できないものがあると言われないような内容にしたいと考えています。

指導にあたって心がけておられることをお聞かせ下さい。

 いわゆるティーチングにならないように気をつけています。
「何でなぜそう思うのか」「どう考えるのか」、研修医に色々と問いかけて、自ら考えて導き出していけるような指導を心がけています。

先生の研修医時代はいかがでしたか。

 働き方改革が全然進んでいない時代でしたね(笑)。
自分の研修医時代を振り返るとよく働いていたし、よく遊んでもいたなと思います。
忙しい中でもオンオフを切り替えて、働くのも好きだったのですが、遊んで気分転換もしていました。制度の違いはありますが、今の研修医は制度としてのON-OFFは進んできていますが、基本的には真面目に頑張っていますね。
研修については一番違うのはスーパーローテートかどうかでしょう。私達の時にはそれがなかったので、今の研修医たちを診ていると、自分も他科も回りたかったなという思いはあります。
しかし、当時の佐賀医科大学附属病院は若い大学だったので、臨床実習の学生でも採血したり、点滴したり、カルテを書いたりなどをたくさんさせてもらっていました。
そういうことに関しては今の学生さんや研修医さんよりも学生時代から、より診療参加型臨床実習だったかもしれません(笑)。

吉田先生の写真

先生はなぜ循環器内科を選ばれたのですか。

 実は学生時代は循環器が苦手でした。
当時は女性が外科に行くイメージがあまりなかったので内科系で考えており、血液内科や神経内科を視野に入れて臨床実習も進めていました。「循環器内科にだけはいかない」と思っていたんですよ(笑)。
しかし、いざ研修を始めた時に、医師として循環器を学んだら、とても面白かったんです。
外科は選択に入らなかったとお話ししましたが、自分の性格的には外科寄りの性格なんですよね。なので、内科医でも少し他の科と違いカテーテル治療などの手技がある循環器は面白かったのと、循環器内科は心臓が止まりそうな患者さんが救急外来に来ますが、医師が頑張れば命を直接救って、元気に歩いて退院していただく事ができると実感できる科だったので、それが私にとって一番の魅力でした。

循環器内科の面白さはどこにありますか。

 若いときは直接的に命を救うという実感が持てた緊急性の高い疾患や治療をしているときに遣り甲斐を感じていました。
今は患者さんを広く長く診ていく事に遣り甲斐があります。
例えば高血圧や脂質異常症など、一生お付き合いしていくような病気がありますよね。
私達はそういう疾患も診ますので非常に広い目で長く患者さんと接していくところが大事だと思っています。

巣立っていく研修医に対してどのような医師になって欲しいですか?

 患者さんに対して、優しいお医者さんになってほしいです。これから色々な専門に分かれていきますので、きちんとした専門能力も身につけてほしいですが、専門医としてもジェネラルに診てもらいたいです。
地方ですと、どこにでも専門医を配置できるわけではないので、専門医も細かく専門分化するのでなく、ジェネラルに診る姿勢がとても大切になってきます。
総合診療医が増える必要があるだけでなく、もちろん専門医もややはり重要なのですが、「〇〇しか診ません」では、求められているものが果たせないと思います。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあればお聞かせ下さい。

 研修医にかかわってきたのが長くていろんな研修医が浮かぶので、だれかをと言われるとエピソードがありすぎて難しいですね(笑)。 特定の研修医の話ではありませんが、他の地域の指導医講習会や学会などで当院の研修医だった先生達が「先生、お久しぶりです」と挨拶に来てくれるんです。
皆、佐賀大学医学部附属病院を好きでいてくれたんだなというのがとても嬉しいですね。
逆に私も卒後臨床研修センターや当院を巣立った先生方にコンサルトをする機会があります。その際、先生方がとても丁寧に答えてくれて、「こういう風にしたら良いですよ」とアドバイスをしてくれると、当院で研修を頑張っていた先生方が明らかに成長しているところを実感でき、頼もしくなった姿がとても嬉しいです。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けてメッセージをお願いします。

 まずは医師としての基本、根幹となるものの考え方などを身につけてくれたら嬉しいです。初期研修ではそういう視点を一つ持って学んでいって欲しいですね。
手技などについても、もちろん研修中に経験できる機会がたくさんあるのもいいことだと思いますが、幹ができていれば、手技などについては初期研修後にも身につけ上達していく機会はいくらでも広がると思います。

最後に佐賀大学医学部附属病院のPRをお願いします。

 この地域での医療の基幹となる病院ですし、この地域での医療の砦となる病院でもあります。症例数も豊富にあり色々な経験ができます。
当院の目標に「良き医療人の養成」がありますが、研修医の先生方にも患者さんにも良いと思われるような研修ができる病院です。
地域医療や総合診療にも力を入れていますので、患者さんに寄り添った医療を学んでいけます。
地方の大学病院なのでどうしても自学出身者が多く、「佐賀大学は他学出身者に冷たい」というような都市伝説がありますが(笑)、佐賀大学医学部附属病院は色々な学生さんに広く門戸を開いています。海外の大学出身の研修医の先生もいます。
是非、皆さん、佐賀大学医学部附属病院で一緒に研修しましょう!

吉田先生の写真

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