初期研修インタビュー

2023-01-01

武蔵野赤十字病院(東京都) 初期研修医 木内瑛大先生、井上瑛裕先生、高熊朗先生、菊地晃太朗先生 (2023年)

武蔵野赤十字病院(東京都)の初期研修医、木内瑛大先生、井上瑛裕先生、高熊朗先生、菊地晃太朗先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2023年に収録したものです。

武蔵野赤十字病院

〒180-8610
東京都武蔵野市境南町1-26-1
TEL:0422-32-3111
FAX:0422-32-3525
病院URL:https://www.musashino.jrc.or.jp/

木内先生の近影

名前 木内 瑛大(あきひろ)
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 愛知県名古屋市・ 岐阜大学 / 2021年

井上先生の近影

名前 井上 瑛裕(あきひろ)
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 茨城県土浦市・ 鳥取大学 / 2021年

高熊先生の近影

名前 高熊 朗(あきら)
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 神奈川県厚木市・ 横浜市立大学 / 2022年

菊地先生の近影

名前 菊地 晃太朗(こうたろう)
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 東京都世田谷区・ 東京医科歯科大学 / 2022年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

菊地
父が医師で、父の背中を見て育ったこともあり、小学生の頃は医師になることしか考えていなかったんです。でも中学生の頃に父から「医師でなくてもいいんだよ」と言われ、反抗期だからか「何でそんなことを言うんだろう」と悔しくなって、医師を目指し始めました(笑)。

高熊
7歳上の兄が医師になり、仕事の話を聞いているうちに、私も患者さんのために尽くせる仕事に就きたいと考えるようになりました。その中でも医師は患者さんの人生により深く携われる職業だと思ったことから、目指すようになりました。

井上
私は2人のように家族に医師がいるわけではないのですが、小さい頃から『人の役に立ちたい、それなら医師になろう』という思いがあり、初志貫徹して医師になりました(笑)。

木内
母が小学校教員だったこともあり、私も小学校教員になりたいと思っていたのですが、小学生のときに父が脳梗塞になったことに衝撃を受け、医師になりたいと考えるようになりました。そして医学部進学者の多い高校に入学したこともあり、仲の良い友だちも医師を目指すということで、色々な話を聞いているうちに生命を救える職業は責任感も必要だし、素敵な仕事だなと分かり、私も医学部に進学することにしました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

井上
大学では専ら部活動に打ち込みました。私は小学1年生のときにバスケットボールを始め、大学6年生まで続けてました。チームでは幹部の学年のときに西医体で準優勝、個人では中四国大会でMVP&得点王になりました。

木内
中高ではバレーボール部だったのですが、大学ではハンドボール部に所属し、4年生のときに2部リーグにいたチームが1部に昇格できたことが一番の思い出です。コロナ禍で部活動ができなくなってからはオンラインでのインターンを始め、医療系のベンチャー企業で1年を過ごしたことも印象に残っています。

菊地
私は中高のときからダンスをしており、大学でもダンス部に入りました。ダンス部には東医体や西医体のような大会はなく、各大学に30人ほどの部員しかいないのですが、その関東の医療系大学のダンス部が集まり、UDMというコミュニティを作っています。私は5年生のときにUDMのリーダーになりました。コロナ禍になり、それまでの活動ができなくなったときに、医療系団体としての自覚を持ちながら、サークルのメンバーにどう楽しんでもらえるのかを考えた結果、オンラインイベントを開催したり、コミュニティの色を強めるためにも医療系ということにフォーカスした就活ワークショップを開催したりして、コロナ禍でも盛り上がれるような工夫をしていました。

高熊
大学に入ったときに「この6年間は大学生のときにしかできないこと、勉強以外のことをしよう」と思い、それまでやっていたトロンボーンとピアノを活かそうとオーケストラ部に入り、ピアノの会の活動も始めました。また身体も動かしたかったので、バレーボール部にも入り、キャプテンも務めました。4年生になり、「リサーチ・クラークシップ」で研究室に配属されたのですが、私はその後も急性心筋炎における発生機序の基礎研究を続け、学会で発表させていただいていました。6年生のときにその論文が『Scientific Reports』に掲載されました。

大学卒業後、研修先を武蔵野赤十字病院に決めた理由をお聞かせください。

菊地
大学時代、ダンス部とは別に英語でディスカッションするコミュニティに入っていたのですが、5年生の6月にそこで大尊敬している先輩に初期研修の病院の選び方を尋ねたんです。その先輩が武蔵野赤十字病院の2年目の初期研修医でした。その先輩から「いい病院だよ」と勧めていただいたので、当院に病院見学に来たのですが、それが私の初めての病院見学でした。その後も10病院ほど見学に行きましたが、当院より雰囲気の良い病院は見つからなかったので、当院に決めました。

井上
正直に言うと、食事が美味しかったからです(笑)。当時の私は筋トレなどの身体づくりをしっかりやっていたので、栄養が摂れ、食事が美味しいというのは大事な観点でした。5年生のときに初めて当院に来たのですが、職員食堂が好きなだけ食べられるバイキング形式で、しかも400円と知り、ここしかないと思いました。

木内
確かに食事は美味しいですね(笑)。私も地元の病院などにも見学に行ったのですが、廊下で出会った上級医と研修医が会話している回数が明らかに多いのが当院だと思いました。上の先生方との垣根も低いですし、研修医同士の会話も活発で、そういう雰囲気の良さに惹かれました。

高熊
私も研修医の雰囲気の良さが決め手でした。多くの希望者の中から選ばれているだけあって、コミュニケーション能力が高い人が揃っています。見学に来たときに木内先生にお会いしたことも印象に残っています(笑)。優しい先輩方に憧れて、当院に決めました。

見学での印象が良かったのですね。

木内
見学では初期研修医がつくことになっているので、私も初期研修2年目の先生とお話ししたのですが、初期研修からもう1周ぐらい回ったかのような雰囲気の方だったんです(笑)。「2年目でこんなにしっかりされているんだな。私もこういう先生のようになりたいな」と思いました。

菊地
5年生のときに初めて来て、総合診療科を見学させていただきました。当時1年目の先生がコピー機から1枚の紙を持ってきてくださり、「分からないことがあったら、調べて教えて」と言われたんです。病院見学は病院のことを知りにいくものだと思っていたのに、調べたことによって、胆嚢炎の診断基準などの新しい知識を得ることができました。病院見学を別の面から楽しませてくれる先生が入るような病院なんだなという認識を持てたことが当院を魅力的に感じた一つの要因になりました。

井上
私は2回ほど見学に来ました。2回目は男子学生と一緒だったのですが、初期研修医の先生から「君たち2人とも武蔵野に来そうだね」と言われ、「そうなんですね」と答えていたのですが、いざ初期研修が始まってみると、本当にその人がいました。2人とも当院に受かっていたんですね。運命的な出会いでした(笑)。

高熊
私は15病院ぐらい見学したんです(笑)。その中で当院が一番、良い雰囲気でした。

武蔵野赤十字病院での初期研修はイメージ通りですか。

菊地
人間関係や雰囲気の良さに関してはイメージ以上ですね。ほかの病院のことは分からないのですが、同期はもちろん、初期研修医の先輩や上の先生方への話しかけやすさ、相談しやすさのある環境です。

井上
先生方は非常に教育的です。日常の診療の中でも質問したことは何でも教えてくださるし、時間外の勉強会もかなりの頻度で開催されています。勉強会の内容も私たちからお願いしたことをレクチャーしてくださるし、行き届いた教育という面はイメージ以上ですね。

木内
イメージ通りです。いいなと思ったのは「この検査、大丈夫かな」と心配になったときに、回ったことのある診療科の先生に「お友だちコンサル」のように質問できたことです。一般的には「あの先生に伺うのは申し訳ない」と遠慮することがあるのかもしれませんが、そういうことをすっと質問できるのは当院の良さですね。

高熊
私もイメージ通りです。見学では上の先生方と関わる機会が少ないのですが、一緒に働くと先生方の良さが分かり、いい病院だと感じます。

プログラムの特徴はどんな点でしょうか。

木内
全身管理ができるようになることです。救命救急科を1年目で2カ月、2年目で2カ月回り、総合診療科を1年目で1カ月、2年目で1カ月回ります。これに麻酔科を含めるかどうかは悩むところですが、麻酔科も2カ月回りますので、これも含めると8カ月、全身をしっかり診られるプログラムとなっています。

高熊
内科を併診できることも特徴です。単科だと1カ月だけというところが多いのでしょうが、当院は2科併診で2カ月間という長いスパンで診られます。例えば血液内科のように長いスパンで診る診療科ですと、入院患者さんをじっくり診ることができるのがいいなと思っています。

院外での研修はどのようなところに行けるのですか。

井上
当院オリジナルのプログラムの場合、2年目の10月から毎月2人ずつ地域医療研修に行きます。私は10月に北海道の浦河赤十字病院に行ってきました。周囲に大きな病院がないので、小児科なら開業医の先生が診るような風邪からCPAで運ばれてくるようなことまでありました。また浦河赤十字病院には循環器内科や心臓血管外科がないので、心筋梗塞や大動脈解離の患者さんが来ると、転院搬送させないといけません。その転院搬送の際も救急車に片道2時間や3時間もの間、同乗し、救急車の中で何かあったら、自分で判断して診療しないといけないというのはとても勉強になりましたし、限界がある中で責任感を持って働けるのはいい環境だと思いました。

木内
私は1月に浦河赤十字病院に行くので、荷造りをしながら楽しみにしているところです(笑)。このほか、2人ともまだなのですが、精神科の研修は4週間あり、そのうちの2週間は井之頭病院に行くことになっています。

高熊
私は日本赤十字社の災害訓練の一環である訓練に参加しました。伊豆諸島の神津島に行き、地域の先生方と話し合ったり、協力して、災害訓練に臨みました。

どのような姿勢で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

菊地
月ごとにローテート先の診療科が変わるのですが、変わるたびに「この診療科ではこれができるようになりたい」ということを頭の中でリストアップして、それができるように努力しています。今は神経内科を回っているのですが、目標は一般的な神経診察を5分以内にできるようにすることです。救急外来でも神経診察の機会が多く、これにもたつくと、診療時間が延びてしまうからです。そのため、神経内科で神経診察をするときには目標を達成できるように頑張っています。もう一つの目標は脳梗塞の画像を読めるようになるための本を1冊読むことです。こうした目標に到達すべく、1カ月間を有意義に過ごすようにしています。

高熊
初期研修医は診療科に関係なく、上の先生方に質問しやすい立場だと考えています。3年目以降になってしまうと、上の先生に質問する場合はコンサルトという形になり、ハードルが上がってしまいます。でも今は低いハードルのところにいるので、上の先生方に「こういうときはどうなんですか」「実臨床ではどうなんですか」などと質問し、教科書と実臨床の差を埋めていくことを心がけています。

井上
来年からは放射線科に進むので病棟管理等からは離れてしまうのですが、だからこそ初期研修のうちにしっかり学びたいと思っています。また各科を回る中で、その診療科特有の画像を勉強するのは勿論ですが、オーダーする先生方がその検査から何を知りたいのかを把握するようにしています。

木内
初期研修医は守られている立場ですし、当院は特にそのシステムが確立しています。したがって、気を抜くと「お客様」になるので、そうならないように気をつけています。1年目のときは経験することに重きを置き、とにかく経験値を積めればいいのかなと思っていましたが、2年目の今はお客様にならないよう、自分が主治医だったらどうするかという視点で患者さんを診るようにしています。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

高熊
初期研修医はどうしても木内先生が言った「お客様」になりがちな面がありますが、当院の先生方は私たちの要望にしっかり応えてくださっていると感じています。主治医でなくても、主治医のように管理したいと伝えれば、「やってみようか」という感じで仕事を任せてくださったり、それでもできなかったら「ここはこういうふうにするんだよ」とフォローをしてくださいます。自分のやる気次第で対応してくださる先生方が多いと思います。

木内
私は上の先生方とよく話すのですが、ミニレクチャーをしてくださる先生方が多いですね。「これって、こういうことだと考えているのですが、違いますか」と聞くと、「ここに書いてあるよ」と一緒に画面を見ながら話してくださったり、「こう書いてはあるけど、実際はね」といった丁寧なご指導をいただいています。

木内先生、井上先生、高熊先生、菊地先生の写真

武蔵野赤十字病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

木内
全てですよね(笑)。

井上
救急外来が一番勉強になりますね。入職したてのときはどうやって診察すればいいのか、何の検査をすればいいのかも分からないし、鑑別も分かりませんでした。今は患者さんの問診や患者さんから話を聞きつつ、頭の中で鑑別を挙げ、「こういう検査を出さないとな」などと考えながら、ほかの患者さんも並行して診ることができるようになりました。救急外来は初期研修医が成長できる場だと思います。

木内
感染症を診る機会が多いので、1周回ってグラム染色にはまっているところです(笑)。尿の検体からその答えが実際はどうだったのかと比べてみると、そのときの抗菌薬の選択が本当に正しかったどうかを考えることができます。学生の頃には興味が持てなかったし、1年目では普通にやっていたグラム染色が臨床の場を重ねるにつれて大切なものなのだと分かってきました。

菊地
私には総合診療科の研修がインパクトありました。私は内科志望ですが、一般的な内科の診療は病名に対してアプローチしていきます。それが初めての診療科であれば、何らかの学びがありますが、先生方はルーティン的に対応できているんですね。そのため、私も介入しようとはしますが、介入の余地はあまりありません。一方で、総合診療科はプロブレムベースです。検査値や身体所見にフォーカスして、この身体所見で何が起こっているのか、低カリウム血症があれば、その原因は何かなどを研修医に考えさせてくれるんです。もちろん他科も主治医のような対応をさせてくださいますが、総合診療科では「主治医として対応しなさい」という半強制的なスタイルなので、自分で考えて動かないと始まらないですし、患者さんのためにもなりません。強制力は成長のための重要なファクターだと実感しています。

木内
確かに、いつの間にか主治医になっているよね。

菊地
看護師さんから患者さんの相談なども全て私に来ますので、しっかり対応しないといけません。難しいですが、遣り甲斐があります。

木内
看護師さんの中で病棟のことでは研修医を呼ぶというルールがあるようです。

高熊
二つあります。一つは勉強会です。当院には指導医の先生方に依頼してレクチャーをいただく勉強会があるほか、研修医同士での勉強会もあります。ERケースシェアはその一つで、自分が救急外来で経験したことを皆にフィードバックする機会です。発表する側としては適当なものは発表できないので、きちんと勉強して、かつ勉強した内容を専門医の先生に見ていただき、太鼓判を押されたうえで発表となります。そういった準備の段階も勉強になります。また発表を聞く側としても同期や先輩方が実際に経験した症例はより身近に感じられますし、集中して話を聞きますので、勉強になります。私も勉強しないといけないという焦燥感が生まれることもいいですね。もう一つは総合診療科の外来です。救急外来で診た患者さんを総合診療科の外来でフォローしたり、総合診療科に新たにいらした患者さんをフォローして診ていく研修は衝撃的でした。この外来がなければ、研修医は入院患者さんを診るか、救急外来でワンポイントで診るかしかないので、3年目以降で経験するような外来を1、2週間の間隔で診ていけるのは良いことだと思っています。

何か失敗談はありますか。

井上
当院の入職時のオリエンテーションは少し長めで3週間ぐらいあります。私はオリエンテーション後、いきなり救命救急科からローテートが始まりました。救命救急科は研修医が入院患者さんのプレゼンをするのですが、初日はさすがに免除されたものの、2日目に「やってみろ」と言われました。しかし何を話していいのか分からず、調べた情報をばーっと話していたら、指導医の先生から「何を言っているのか分からない」と言われたことが一番印象に残っています(笑)。それをきっかけに、プレゼンもきちんと勉強しなければいけないのだと痛感し、「こういうことを言わなくては」などとブラッシュアップに繋がったので、いい失敗だったのかなと思っています。

木内
初めて診る症例は分からないものですが、1年目の6月に診た症例はいまだに記憶に残っています。高血糖緊急症で入院になったのですが、意識が良くなってきたタイミングで、手足に麻痺が出てきました。これは脳梗塞に繋がりやすいリスクで、これを救急外来で診る必要があったのかどうかは悩ましいのですが、このときに上の先生との差を感じました。できているようで、知らないことは多くあるので、傲慢にならずに低姿勢で働こうと思わせてくれた経験です。

菊地
救急外来では研修医が基本的にファーストタッチし、一通りの検査をオーダーします。そのときに採血やルートをとったり、血液培養をしたりすることもあります。私はもともと不器用で、ルートをとれるようになったのも最近なのですが、6月のある日の深夜2時頃、血液培養を初めてしたときにご家族の方が部屋にいらっしゃる状態で、1時間ぐらい粘っていたのですが、それでもできず、ご家族の方がナースステーションに「やばいですよ」と言いにいかれたんです(笑)。コロナ禍なので防護服を着て、一人で黙々とせざるをえない状況で無我夢中でやっていたら、看護師さんが「代わるよ」といらっしゃったのが自分の中で萎えましたし、残念でした。

高熊
心に残っているのは見逃しです。身体所見では虫垂炎のような患者さんでしたが、採血では炎症反応が上がらず、異常もなかったので、上の先生とご相談のうえ、お帰ししたところ、翌日の夜にお腹が痛くて戻ってこられたんです。身体所見での基準をきちんと見ていれば、何とか画像検査まで行えて虫垂炎と診断できたのかもしれません。私の少ない経験の中で検査まで行けなかったのは失敗でした。

当直の体制について、お聞かせください。

高熊
3種類あります。一つ目は休日、祝日の日直で、これは1年目と2年目が2人ずつペアを組み、4人で入ります。二つ目は17時から23時までの夜直で、1年目と2年目が1人ずつのペアです。三つ目は17時から翌朝8時30分までの当直で、1年目と2年目が1人ずつのペアとなっています。回数は3種類合わせて、月に7回から8回です。

当直では、どんなことが勉強になっていますか。

木内
ファーストタッチは研修医がします。最初から産婦人科と分かっている妊婦さんは産婦人科の当直医が診ますが、普通に救急にいらした妊婦さんなら私たちが診ますし、小児科、脳神経外科、整形外科、内科など、全ての患者さんを診ることが勉強になっています。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

木内
救命救急科は毎朝、研修医がフルプレゼンを行います。プレゼンを系統立てて話すためには疾患への理解が必要ですし、上の先生から質問されることで、分かっていなかったと気づきます。上の先生と一緒に調べることもありますし、フルプレゼンは大事だと思います。

菊地
総合診療科も毎朝、カンファレンスがあり、研修医が新入院の患者さんのフルプレゼンをします。水曜日は研修医が新入院でない患者さんも含め、1週間、何をしたのか、何がプロブレムなのかというプレゼンをするのですが、それに対して、上の先生が「ここはどうなの」と突っ込んでくださるので、できるだけ解答を作っていくようにしています。解答できないときには「これを調べよう」「この検査をしてみよう」と言われます。朝8時から正午ぐらいまでカンファレンスがあり、そこで得られた追加の検査を消化していく流れです。カンファレンス前の準備もしますが、カンファレンス中にも学びがあるので、楽しいです。

病院に改善してほしいことはありますか。

菊地
電波の状態が良くないです(笑)。

高熊
特にauが弱いですね(笑)。

井上
現在、新しい病院が建っているところで、工事の音もしています。確かに今はハード面は弱いのですが、いずれ良くなると思います。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

井上
看護師さんや放射線技師さんをはじめ沢山の方々にお世話になっています。骨折疑いの患者さんのレントゲンをオーダーした際に、放射線技師さんの方から「骨折ありそうなのですがCT追加しますか」と連絡をくださいます。病棟の看護師さんには「この患者さん、日中の様子はどうですか」と気兼ねなく聞けますし、コミュニケーションはよく取れています。
プライベートでも、最近は病院内の体育館でスポーツができるようになってきたので、時間のある人たちでバスケットボールやバレーボールを月に2、3回しています。

高熊
朝早くから病棟業務をしていると、看護師さんから「頑張ってね」とチョコレートをいただいたりしています(笑)。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

菊地
圧倒的に自信があります(笑)。

木内
研修医室はなく、医局に一人一つの机があります。

井上
医局でも手が空いている人がいれば話したり、コミュニケーションはかなり活発です。仲が良すぎて、ほかの病院から来た人たちに引かれるぐらいです(笑)。少人数で食事に行くこともありますね。

菊地
同期と仲が良いのはどの病院もそうなのでしょうが、当院は救急外来で1年目と2年目がペアになるシステムなので、学年に関係なく仲良くなれます。当直明けに2人で食事に行くと、仕事の悩みやプライベートの話で盛り上がりますね。当直明けで楽しかったのは先輩とテニスの楽天オープンを観に行ったことです。当直明けに食事だけでなく、追加のアクティビティがあると楽しいです。平日はどこも空いていますしね。

木内
高熊先生と当直明けに山登りに行ったこともあったね(笑)。

高熊
5月頃、まだ私が何もできないので、木内先生がフォローしてくださって、2人とも全然寝ることができなかったのですが、当直明けにあまりにも天気が良く、高尾山に登ろうということになりました(笑)。救命救急科で当直明けだった先輩も含め、3人で登りに行きました。

木内
当直明けにパラグライダーをしにいったこともあります(笑)。でも1つ下の人たちと遊びに行くのは今に始まったことではなく、私たちが1年目のときも先輩方にそうしてもらっていたんです。そういうふうに仲良く過ごせるのが当院のいいところだなと思います。

寮もありますか。

高熊
院内寮、院外寮、自分で借りるという選択肢があります。院内寮に住んでいる人はおらず、3分の1が院外寮、自分で借りている人が3分の2です。私は徒歩1分のところに自分で借りています。いつでも病院に駆けつけるためです(笑)。

井上
当院にはオンコールがないので、病院に駆けつける必要はありません(笑)。

木内
オンコールがなく、オンとオフをしっかり切り替えられる病院です。

今後のご予定をお聞かせください。

井上
私は放射線科に進みます。決めたのは2年目の4月です。日常の業務の中で読影やIVRに触れる機会があり、興味を持ったのがきっかけです。いざローテーションしてみて放射線科は自分に合ってると思いました。専攻医研修は横浜市立大学で行う予定です。

木内
私は整形外科に進み、当院で専攻医研修を行う予定です。整形外科に決めた理由はいくつもあります(笑)。痛みがあって歩けなかった患者さんが元気に歩いて帰っていく姿を見られることは魅力的だとローテート中に感じたことが大きいですね。整形外科の患者さんは他科よりも若い方が多く、病棟も明るいので、私も元気をもらえますし、「痛い」とおっしゃる患者さんの痛みを取ってさしあげたいと思いました。当院の整形外科は雰囲気が良く、こういうところで働きたいと考え、当院に残ることにしました。

菊地
消化器内科を考えています。私は東京医科歯科大学出身で、当院も東京医科歯科大学の関連病院なのですが、専攻医研修は医科歯科の医局に入るのか、当院で研修するのか、まだ決めていません。

高熊
消化器内科と循環器内科で悩んでいます。菊地が「消化器内科にしよう」と言ってきますが、循環器内科にも興味があるんです(笑)。どちらの科の疾患にも興味がありますし、どちらの科も全身管理をしつつ、手技もあるというのが魅力的です。あと4カ月は悩もうと思っています。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

菊地
ゴルフが趣味です。練習して、友だちとラウンドしたりしています。

木内
この前、一緒に行ったね。

菊地
当院の研修医はゴルフをする人が多くて、一緒に行けるのが楽しいです。

高熊
私の趣味は筋トレとランニングです。仕事で疲れて、ストレスが溜まっているときに筋トレするとすっきりします。寒くなってきましたが、ランニングもいいですね。病院の中にいると季節を感じにくいのですが、病院の近くに井の頭公園があるので、井の頭公園まで走って、季節を感じられるのはとてもいいです。

井上
私も身体を動かすことが好きで、平日の仕事終わりは筋トレをしています。また、当直のシフトを研修医同士で決めることができるので、土日を連続の休みにして国内旅行によく行きます。

木内
私は一人旅が趣味で、好きな旅先は与論島です。金曜日が当直明けだと、金曜日から日曜日まで島に行けるので、そういう時間の使い方を工夫しています。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

菊地
現在の制度には医師になるうえで最低限必要な診療科が含まれています。内科に進むにしても、小児を診たり、精神科の薬剤を使ったり、住む環境によっては僻地医療のようなことをしないといけないこともあったり、全身管理という意味では麻酔科の知識も必要なので、どの診療科に進むにしても知っておかなくてはいけないことを2年間の初期研修で学び、3年目以降に専門に進むという形は合理的だと思います。

木内
様々な診療科をローテートすることで、この診療科ではこういうことを考えるべきだという最低限の内容を学べるのはいいシステムです。一方で、自分が専門にしない分野には限界があり、こういうことは専門科の医師に聞かないと分からないことがあるということをひしひしと感じます。

井上
3年目以降の進路が決まっていない人にとっては半強制的に色々な診療科を回ることで、興味を持てる科なのかどうかや自分の適性が分かってくるので、いい制度だと思います。

高熊
私は内科志望なので、様々な診療科を回ることは苦ではありません。しかし眼科などの狭い領域を志望している人にとってはストレスもあるのかなと感じています。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

菊地
研修病院を選ぶときには色々と条件があると思いますが、一番大事なのは直感です(笑)。この病院で働いている自分を想像できるのかどうかが大事で、それが見えない状態で受験しても、おそらく受かりません。そこを妥協せずに探し続けましょう。

高熊
見学に来た医学生に言っていることですが、6年生にならないうちは自分に向いている病院を決めつけず、色々な雰囲気の病院に見学に行きましょう。というのも、ハイパーな病院に行きたい、ハイパーな病院が合っていると思っていても、いざ6年生になって少しゆっくり目の病院で勉強する時間を確保しながら研修したいとなったときに選択肢がなくなってしまうと大変だからです。4、5年生のうちは絞らず、忙しさ、給料、立地などを含めて、色々な病院を見る中で、それまで考えてもいなかった病院が自分に合っている病院だと分かったり、こういう雰囲気は合っていないと実感できたりするので、色々な病院に見学に行くことをお勧めします。

井上
病院の選び方や見学に関しては2人が言った通りです。当院は研修内容に関してはとても教育的です。働くときはしっかり集中して研修し、オンコールがないので、オフも楽しむことができます。給料を含め、福利厚生も充実しています。有給休暇も年間20日以上あるので、消化しきれない人が大半です。働きやすさが担保されている環境で2年間、研修に集中できるので、お勧めです。

木内
病院見学もそうですが、ポリクリでも地方の病院や忙しい病院に行ってみましょう。色々な病院を見る中で、自分に合っている病院が分かってきます。そして見学の際に見てほしいのが研修医の雰囲気です。私は人と話すことが好きですし、当院はそういう研修医が多いので、相談したいときに声をかけたり、後輩とも気軽に話せたりする雰囲気が自分に合っていたのだと思います。実際に見学に行き、その病院の雰囲気に合っているのかどうかを感じてみてください。

木内先生、井上先生、高熊先生、菊地先生の写真

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