専門研修インタビュー

2022-09-01

鹿児島医療センター(鹿児島県) 指導医(専門研修) 東健作先生 (2022年)

鹿児島医療センター(鹿児島県)の指導医、東健作先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2022年に収録したものです。

鹿児島医療センター

〒892-0853
鹿児島県鹿児島市城山町8番1号
TEL:099-223-1151
FAX:099-226-9246
病院URL:https://kagomc.hosp.go.jp/

東先生の近影

名前 東 健作(ひがし けんさく)
鹿児島医療センター 指導医

職歴経歴 1973年に鹿児島県指宿市で生まれる。専門領域は内科、循環器科、カテーテル治療。
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本循環器学会 循環器専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医・専門医、浅大腿動脈ステントグラフト実施医、リードレスペースメーカ実施医

貴院の特徴をお聞かせ下さい。

当院は、循環器病とガン、そして脳卒中疾患の三つが中心です。特に循環器科は、第一・第二の二局体制を敷いております。さらには、科目の垣根を越えて、心臓血管外科の先生方もこの分野の診察に加わっていただくなど、一般的なものから複雑な症例まで、数多くの患者さんを受け入れております。

鹿児島医療センターの専攻医研修の特徴をお聞かせください。

一般的な循環器疾患はもちろんですが、それに加えて外科の症例も多いため、院内での連携で、外科の患者さんの管理といった面も多いです。
さらに、当院は総合内科的な疾患を診る診療科がありませんので、いわゆる循環系だけでない、内科一般の患者さんにも我々は、担当機会が多いです。
循環器内科研修とは書いてありますが、一般的なものも含めた総合的な内科の研修に近いような経験ができるという点が特徴です。

最近の高齢化の波もあって症例は、多岐にわたりますね。

はい。例えば、単純に循環器疾患だけで入院される方はそこまで多くはありません。やはり、複合的な併存疾患を持ち合わせている患者さんが多いため、そういった管理を行うという意味では、いろんな症例に対応できるスキルがあると、非常に役に立ちます。また、田舎での往診ですと、やはり内科のドクターも数に限りがあります。そんな時、当院での研修経験というのは、ものすごく役に立っていくのではと思います。

鹿児島医療センターの専攻医プログラムで学べる特徴について、教えて下さい。

特徴は、研修医個人が考え希望するプログラムを自分で作れる点です。いわゆるカスタマイズできるみたいなところでしょうか。例えば、どうしても行きたい院外の研修があれば、よっぽどのところじゃなければだいたい希望は叶います。

具体的な事例等はありますか?

現在3年目の専攻医がおります。元々外科志望の先生でしたので、研修の段階では、内科領域の研修が一部不足しておりました。しかし、彼は、現在の専攻医研修期間中に、糖尿病内科や血液内科を周って補い、また県外の有名な総合診療科にも希望を出してプログラムに組み込むなど、自らが希望して、カスタマイズを行っております。こういった自由にできる点は、当院の研修プログラムならではです。
また、そういった機会を利用した先生が、外での研修に参加し、私たちでは知りえない知識を持って帰って来てくれます。我々の専門領域以外の情報を知りえる術はありませんので、知りえない有益な情報に触れると、私たちも非常に勉強になっております。

鹿児島医療センターでの専攻医研修で、どのようなキャリアアップが望めますか。

循環器領域の専門医になるためには、まずは内科専門医における認定を受ける為、現行の専攻医研修を終了後、内科専門医の受験資格を受けられることになります。
それからは、例えば循環器内科領域でいけば、カテーテルであったり不整脈であったり、または弁膜症のストラクチャーという分野もあります。いわゆる循環器の中のさらに専門分野に特化した専門医という形で、羽ばたいていけるという形になると思います。

カンファレンスについて、お聞かせください。

デイリーでは、毎朝カンファレンスを行います。前日の新患の患者さんの情報を担当医がプレゼンし、入院経緯や治療方針などの話で進みます。科全体カンファレンスは、毎週1回木曜日の夕方に全員で行います。長く入院されている患者さんの治療方針などを検討し、今後の治療に生かしていきます。
その他、循環器科と心臓血管外科とのコラボレーションで行う「ハートチームカンファレンス」を週に1回行います。ここは、外科症例を中心にプレゼンが進んで治療方針を検討いたします。ガイドラインにもありますが、内科だけで決めずに、複数の科と協業して、共に方針を決定させていくことが今後も増えていくと考えます。

東先生の写真

女性の働きやすさに関してはいかがでしょうか。

毎年初期研修医にも循環器科を回っていただきますが、とても楽しく研修されてます。循環器科では、カテーテル手術などが特に興味を引く点ですが、女性の中には、いわゆるエコーなどの分野を専門にしたいという希望が出たりすることもあります。そういった希望には、当然我々も答えてまいります。

柔軟ですね。やはりその点もカスタマイズですね。

もうやりたいことを伸ばしてあげたい一心です。すべては、各研修医がどうしていきたいのかです。なので、初期研修医でもゼロから100まで全てやるタイプ、その反対のタイプなどいろいろおりますが、それぞれを個性と捉えて尊重しています。

先生が循環器内科を専攻されたのはどうしてですか。

医師を目指した時から内科医は目標でしたが、その先まではあまり考えてはいませんでした。しかし、初期研修で循環器分野が当院でして、そこが転機でした。人の命に関わる、治療が人の命に直結する、そういった経験を通じて、自分の手で人が助かっていくことに生きがいを感じたのが理由です。

先生の研修医時代はいかがでしたか。

私の初期研修は、大変は大変でしたね。主に総合内科的な診療科でしたので、循環器は当然のこと、消化器であったり、血液内科や肺とか腎臓などを患った患者さんも含め、一通り全部の一般的な症例をおよそ1年間対応いたしました。その分、そのとき培った知識は、今でも活かされてるなと思います。

専攻医に指導する際、心がけていらっしゃることはどのような事でしょうか。

基本的には、「放っておく」でしょうか笑。いい意味でですね。できるだけ考えさせてあげたいからです。あまり最初から答えを言うのではなく、ある程度は、専攻医から質問を受けて、そのときに的確なアドバイスを出したり、答える内容にも、あんまりバシッと言わず、できるだけ考えさせる環境を作ってあげることが、彼らの成長に繋がるのかなと思って指導してます。私個人としては、“言わない我慢強さ“が求められますが笑。

自らが学ぼうとするには、環境からですね。

はい。彼らの悩みの種類は、かつて私が若いときに経験した疑問や悩みと同じです。彼らがそこにぶつかって、必ず同じことを質問してきます。答えがある質問もあれば、どうやったって答えを出すのが難しい質問もありますが、だからこそそういう質問が出てくると、「わかって来たなぁ」って勝手に関心したりしてます。そう感じる瞬間は、研修を預かる身として、とても嬉しいです。

研修医に対し、「これだけは言いたい」ということはどんな事でしょうか。

私自身が振り返ってみて、“研修のときにもっとやっておけばよかったなと”感じるのが、『英語力』です。例えば、治療方針に困ったとき、海外の文献に何の抵抗もなく触れることが出来れば、とても参考になります。ここは、日本で書いている教科書だけでは、なかなか解決できない問題ばかりなので、そういうのをさっと調べられて、すぐに患者さんに活かせることで、すごく医師としての幅が広がりますので、この点は強く言いたいです。

2018年に新専門医制度スタートしましたが、なにかご意見はございますか?

私たちの時代ですと、内科に所属したら内科全般のことしか知識としてはもらえませんので、現在の研修だと外科に小児科にと、いろんなところで本当に一般的な考え方とか治療とかっていうのを目の当たりにできる機会がありますので、悪くはないのかなとは思います。

これから専門研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

「何か好きなことがあって、それをやっていきたいものがある方は、是非当院へどうぞ」です笑。指導体制は“放っておきます!”ではありませんが、胸の内に秘めた志とモチベーションと、意欲さえあれば、十分サポートできる環境は整っておりますので、ぜひそういった先生方を応援していきたいと思います。

東先生の写真

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