初期研修インタビュー

2022-09-01

産業医科大学病院(福岡県) 初期研修医 田中宏明先生・渕野仁志先生 (2022年)

産業医科大学病院(福岡県)の初期研修医、田中宏明先生・渕野仁志先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2022年に収録したものです。

産業医科大学病院

〒807-8556
福岡県北九州市八幡西区医生ヶ丘1番1号
TEL:093-603-1611
病院URL:https://www.uoeh-u.ac.jp/hospital.html

田中先生の近影

名前田中 宏明
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 岡山県・ 産業医科大学 / 2021年

渕野先生の近影

名前 渕野 仁志
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 福岡県・ 近畿大学 / 2021年

ご自身ドクターを目指されたきっかけはありますか?

田中
高校時代に部活動のバレーボールで前十字靭帯を痛めたのですが、整形外科医だった父が治療してくれたんです。この経験で、漠然と医師を目指し始めました。

渕野
私の親も医師で、幼い頃から笑顔で病院に出勤している姿を見ており、「かっこいいな」という印象がありました。再度考えるきっかけになったのは大学受験のときです。浪人をしたことがきっかけで、将来の仕事について考え直しました。そして自分が将来働いている姿を想像したとき、医師として働いている父の姿がよみがえり、私も医師になろうと決意しました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

田中
勉強に関しては友人と協力し合って、何とか乗り越えてきました(笑)。学生時代の一番の思い出は部活動です。大学の部活動は高校のときとは違って、学生が主体となって運営します。私は副部長を務めていました。副部長として、練習方法を模索し、部員がどうすれば楽しめるかを考える機会が多く、その経験が今の自分に活かされていると感じています。

渕野
私は勉強、部活動、アルバイト中心の生活でした。私も一番思い出に残っているのは部活動です。複数の部を掛け持ちしており、業務も多く大変でしたが、その分、仲間や思い出ができて良かったです。

大学卒業後、研修先を産業医科大学病院に決めた理由をお聞かせください。

田中
自大学出身ということもあり、義務年限も多少意識していますが、約1年間は北九州の協力型病院で研修できるということにメリットを感じて決めました。

渕野
診療科が充実した大学病院を考えていました。その中で産業医科大学病院は2年間の研修中に産業医の資格が取れるというプログラムがあり、そこに魅力がありました。

こちらの病院に見学に来られたときの印象はいかがでしたか。

渕野
オンライン説明会に参加し、産業医の資格が取れるメリットを知ることができました。それがプラスαとなり、当院に決めました。オンライン説明会では研修医の先生方や指導医の先生とお話しすることができ、和やかな雰囲気が伝わってくる病院だったので、心穏やかに研修できるなと思ったことを覚えています。

大学卒業後、研修先を産業医科大学病院に決めた理由をお聞かせください。

田中
研修医は約12人いますが、多くても2人で各科を回ります。手技や検査なども多く、指導医から教わりながら研修医が中心となって診ることができるという点は良かったです。

渕野
オンライン説明会で感じた通りでした。病棟の先生方を初めとする、メディカルスタッフの皆さんはとても親切で優しいです。研修医同士も仲良く、のびのびと研修できているなと実感しています。

どのような姿勢で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

田中
3年目以降を考えながら研修しています。大学病院での研修は医師の数が多いので、守られながら仕事をしているなと感じるのですが、3年目以降は責任ある仕事が多くなってきますし、これからは3年目以降を考えながら仕事をしていくのが大事だと思っています。

渕野
研修を初めた頃は業務内容や病院に慣れることで精一杯でした。1年目の後半からは少し余裕ができ、近い学年の先生方がどう過ごしておられるか意識して見るようになりました。それからは研修を終えた時点で必要とされる知識や技術のうち、今の自分に何が足りていないのかを意識して研修に励んでいます。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

田中
今は集中治療部で研修をしていますが、ICUなので人工呼吸器やモニターの見方など、分からないことが多くあります。まずは自分で調べたり、上級医の先生を捕まえて質問したりと、充実した日々を過ごしています。

渕野
厳しい先生が多いのかなと不安でしたが、実際に働き出してみると指導医の先生方にはとても親切にご指導いただいております。調べても分からないことがあった場合でも萎縮せずに質問しやすい環境です。

こちらの病院での初期研修で良いところはどんなことでしょう。

田中
産業医に興味を持っていても足を踏み出せない先生もいらっしゃるかと思いますが、産業医に進むかどうかに関わらず、産業医大での研修を考えてみることをお勧めしたいです。

渕野
先生方だけでなく、スタッフの方々が優しく、研修医が萎縮せずに質問しやすい環境があるのは学ぶ立場としてはとても大切です。そのような寛容なスタッフがいる場で研修できるのは産業医科大学病院での研修の魅力ですね。

田中・渕野先生の写真

何か失敗談はありますか。

田中
救急外来での経験です。抗菌薬を出す際にバイアルだけオーダーしてしまいました。実際はそのバイアルを生食バッグに繋いで、静脈から投与しないといけなかったのですが、上級医の先生に「それ、口から飲ませる気?」と指摘をいただきました。今、振り返ると恥ずかしい記憶は多々ありますが、それが今の自分の糧となっているのかなと思っています。

渕野
働き始めた頃、2年目の先生に救急対応について大まかな流れや業務内容をあらかじめ聞いていたのですが、いざ救急車が来ると頭が真っ白になって、立ち尽くしまいました。非常に反省し、自分で勉強したり、当直に一緒に入った救急科の先生にフィードバックをいただいたりしました。今は以前に比べると救急対応に慣れてきました。

当直の体制について、お聞かせください。

田中
当直は基本的に月3回です。救急科の先生と研修医の体制となっていて、救急車の対応に関しては先生と一緒なので、あまり心配なく勤務できています。診療科の当直は月2回あり、ローテ―トしている診療科の当直に入ります。今、回っているICUでは次の日の朝、カンファレンスの入室時記録やベッドサイド診察を行っています。

当直ではどのようなことが勉強になっていますか。

田中
今一番すべきことは何かを判断できるようになりました。救急の先生と相談し、優先順位をつけながら、研修医と先生で患者さんの対応にあたっています。

渕野
同感です。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

田中
基本的に週に1回、全体のカンファレンスがあります。その際、自分が受け持っていた患者さんの発表を行います。それとは別に糖尿病や膠原病のカンファレンスが曜日指定で行われています。

渕野
診療科によって雰囲気は変わりますが、全体的に和やかな印象ですね。入院している患者さんの治療経過や方針を上級医の先生方と共有し、決定したり、修正したりといった流れで進みます。外来で気になる患者さんがいれば、上級医の先生に相談をされています。3年目から5年目の若手の先生方が多いので、来年度から自分がその立場になるという姿を想像しながらカンファレンスに臨んでいます。研修医は自分の担当した患者さんについての発表をしますので、非常に緊張します。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

田中
最初はわけが分からず、2年目の先輩の背中ばかり追っていました。働くにつれて少しずつ環境に慣れてきて、分からないことがあればコメディカルのスタッフにすぐに聞くことの大切さを学びました。何が分からないかを素直に聞けば、皆さんから親切に教えていただけます。

渕野
上級医の先生だけでなく、看護師さんや薬剤師さんなどのコメディカルスタッフの方にも業務について教えていただく機会は多いです。思っていた以上に色々なことを教えていただいたので、非常に勉強になりました。研修医のうちは積極的に先輩方に頼り、スタッフの皆さんに質問していくのがいいですね。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

田中
仲はとても良いです。研修医室がきちんと用意されているので、気軽に相談事やプライベートな話をすることができます。

渕野
仕事の始まりと終わりや休憩時間に業務のことやプライベートの話が飛び交っているので、研修医同士の良好な関係を築くことができていると思います。

今後のご予定をお聞かせください。

田中
産業医科大学病院の内科専門医のプログラムに進む予定です。将来は第一内科に進めればと考えています。研修期間を通して、内科の先生の対応や治療方針のディスカッションをされている姿がかっこいいなと思うようになりました。私は膠原病を専門にしたいので、その観点からも第一内科に進みたいです。

渕野
産業医科大学病院の眼科に入局予定です。ゆくゆくは生まれ育った福岡で眼科医として働ければと考えております。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

田中
同期の研修医とご飯を食べに行ったりします。週末には大学の体育館で筋トレをしたり、エルゴメーターをこいだりするなど、身体を動かしています。

渕野
平日も休日もプライベートの時間が確保されているため、社会人になってからも体力維持のために、ランニングや水泳をしています。仕事が終わったあとや休日の息抜きになっています。

最後に、初期臨床研修病院を選ぶポイントを医学生に向けてメッセージをお願いします。

田中
複数の病院の中で悩まれている学生がほとんどだと思います。当院のポイントを挙げるとすれば、協力型病院を含めて自由度の高い研修ができること、他大学の先生にとっては産業医の資格を得ることができるということです。どの病院に決まっても、置かれた環境でどれだけ頑張れるかが一番大事です。

渕野
3年目以降の自分の進路を考えて、病院選びをしましょう。気になる診療科や分野が強い病院があれば、その病院を優先するべきです。3年目以降に行きたい病院を想像し、そこに近かったり、関連する市中病院や大学病院を中心に選ぶことをお勧めします。自分の将来像を見据えて、戦略的に決めるのがいいと思います。

田中・渕野先生の写真

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