専門研修インタビュー

2022-03-01

今村総合病院(鹿児島県) 指導医(専門研修) 西垂水和隆先生 (2022年)

今村総合病院(鹿児島県)の指導医、西垂水和隆先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2022年に収録したものです。

公益財団法人慈愛会 今村総合病院

〒890-0064
鹿児島県鹿児島市鴨池新町11-23
TEL:099-251-2221
FAX:099-250-6181
病院URL:https://www.jiaikai.or.jp/imamura-general/

西垂水先生の近影

名前 西垂水(にしたるみず) 和隆
今村総合病院 救急・総合内科(ER)担当主任部長 指導医

職歴経歴 1967年に鹿児島県鹿児島市に生まれる。1992年に鹿児島大学を卒業後、沖縄県立中部病院で研修を行う。1996年に沖縄県立宮古病院に勤務する。1997年に沖縄県立中部病院に勤務する。2001年に今村病院分院救急・総合内科に勤務する。2004年に手稲渓仁会病院、倶知安厚生連病院などの総合内科を経て、2007年に今村病院分院に勤務する。2017年に今村病院分院が今村総合病院に名称変更となる。現在は今村総合病院救急・総合内科(ER)主任部長を務めている。
日本内科学会総合内科専門医など。

今村総合病院の特徴をお聞かせください。

鹿児島市内の急性期病院で、32の診療科、428床を有しています。診療科としては総合内科が最も大きいです。鹿児島県内には総合内科のある病院はあまりないので、当院の総合内科は患者数が多いですね。また、脳卒中センターや血液内科にも強みがあり、専門性の高い診療も行っています。

西垂水先生がいらっしゃる救急・総合内科の特徴もお聞かせください。

総合内科では24時間体制で総合内科の診療をしていますので、名称に「救急」と付いています。しかし、総合内科に救急の専門医はおらず、総合内科医のみで24時間稼働しています。外科や外傷は診ず、内科だけを診ていますが、内科に関しては急性も慢性も診ています。外科や外傷は近隣の医療施設に適切にご紹介しています。

今村総合病院の内科専門研修プログラムで学べる特徴について、ご紹介くださいますか。

3年のプログラムで、1年間は当院の救急・総合内科で研修することになっていますが、残りの2年間は自由な研修ができます。ただ、自由と言っても連携している病院でしか研修できませんので、入職する前にどういうことをしていきたいのかを尋ねたうえで、連携先の病院を決めていきます。例えばリウマチを研修したいという専攻医なら、「この病院と連携したプログラムにしよう」などですね。当院のもともとの連携先の病院もありますが、一人一人の専攻医に合わせた病院が必要ですので、現在は連携先の病院を拡充しているところです。

今村総合病院での内科専門研修プログラム終了後はどのようなキャリアアップが望めますか。

まだ始まったばかりの制度ですので、当プログラムを終了した人は1人しかおらず、その1人は現在、手稲渓仁会病院に勤務しています。それぞれの専攻医の希望に合わせ、大学病院や専門性の高い病院などでのキャリアアップが可能ですし、当院に残ることもできます。今のところ、当院に戻ってきて、この地域に貢献したいと言ってくれるメンバーが多く、有り難いと思っています。

カンファレンスについて、お聞かせください。

毎朝7時30分から1時間ほど行っています。前半の30分は症例検討会で、残りの30分は個人の発表です。

カンファレンスでは専攻医の発言の機会は多いですか。

多いですね。司会をすることもあります。

女性医師の働きやすさに関してはいかがでしょうか。

詳しいことはよく分かりません。2022年度に入ってくる専攻医は出産後の予定です。福利厚生も含め、女性医師の働きやすさに関してはほかの病院と大きな差はないと思います。院内保育所もあり、夜間や日曜日も稼働しています。

先生が総合内科を選んだのはどうしてですか。

学生時代に何でもできる医師になりたかったからです。結果的には内科になったわけですが、内科の中で「何でもやる」科ということで総合内科を選びました。総合内科は昔はなかった診療科で、私の世代が始まりの世代です。

西垂水先生の写真

先生の研修医時代の思い出をお聞かせください。

昔はとにかく酷かったです(笑)。休みは全くなかったですし、病院に住んでいました。あるとき病院で寝ていると、「血液型がB型の人はいないか」と言われ、血液を取られただけでなく、ご家族からの採血もさせられたことがあります。生血をそのまま輸血した方がいいという判断だったのでしょうが、血まで取られる病院なのかと思いましたね(笑)。

総合内科の始まりの時代をどのように作っていかれたのですか。

卒後6年目に宮古病院から中部病院に戻ってきたときに、徳田安春先生が帰国されたので、中部病院で一緒に総合内科を始めました。どこの診療科にも振り分けられないような患者さんがいらっしゃったので、そういう患者さんを総合内科で診ていました。

専攻医に指導する際、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか。

教科書的なことは皆よく分かっていますので、私はコツを教えるようにしています。

今の専攻医を見て、いかがですか。

真面目ですね。よく勉強もしていますし、いい人ばかりです。

現在の初期臨床研修制度について、感想をお聞かせください。

産婦人科や小児科が再び必修となりましたが、今のシステムで悪くないと思います。ただ、1カ月も回らなくていい診療科もあります。そうした科は2週間ぐらいにとどめ、より多くの科を回った方がいいですね。私たちの経験から言っても、科を回る長さは幅を持たせたうえで、柔軟に対応していくべきだと感じています。

現在の専門医制度について、感想をお聞かせください。

もともとは内科のジェネラリストを育てたうえで、それからサブスペシャリティに進むという話でしたが、昔の制度に戻ってしまいました。特に鹿児島では初期研修を終えたら大学に入局するという流れになり、選択の幅が狭くなりました。ジェネラルをする人がいなくなるのは仕方がないですが、少なくとも1年ぐらいはジェネラルなマインドを身につけるための研修をすべきです。それには色々な疾患を診る姿勢が必要ですし、そのために地方に行かせるというシステムもあった方がいいと考えています。

これから専攻医研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

自分のしていきたいことを成し遂げるためにはどういう道を選ぶのが一番いいのかを考えた方がいいです。皆が入るから入局するなど、そういうことに流れるのは止めましょう。色々な研修病院を見に行ったうえで、選んでください。当院は随時、見学を受け付けています。

西垂水先生の写真

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