専門研修インタビュー

2021-11-01

加古川中央市民病院(兵庫県) 指導医(専門研修) 西澤昭彦先生(2021年)

加古川中央市民病院(兵庫県)の指導医、西澤昭彦先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2021年に収録したものです。

加古川中央市民病院

兵庫県加古川市本町439

医師近影

名前  西澤 昭彦
加古川中央市民病院消化器内科部長 消化器センター副センター長 がん緩和ケア室室長 緩和ケアセンターセンター長 指導医

職歴経歴 1971年に大阪府堺市に生まれる。1995年に神戸大学を卒業後、神戸大学第二内科に入局し、神戸大学医学部附属病院で研修を行う。1996年に甲南病院(現 甲南医療センター)で研修を行う。1998年に神戸大学大学院に入学し、2003年に神戸大学大学院を修了する。2003年から神戸大学第二内科の関連病院に勤務する。2009年に加古川市民病院(現 加古川中央市民病院)に勤務する。2011年に加古川西市民病院に名称変更になる。2013年に加古川西市民病院消化器内科部長に就任する。2007年に加古川中央市民病院に名称変更になる。
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本病院総合診療医学会認定医、日本緩和医療学会緩和医療認定医、日本内科学会近畿支部評議員、臨床研修指導医など。

加古川中央市民病院の特徴をお聞かせください。

兵庫県の東播磨という人口70万人を超える地域の核となる加古川市にある600床の急性期総合病院です。33の診療科に多数の医師が所属し、全ての診療が自院で完結できることが特徴です。また、消化器センター、心臓血管センター、こどもセンター、周産母子センター、がん集学的治療センターの5大センターを中心に、多くの診療科の連携を強化して、その総合力で救急医療を実践しています。母体となる加古川市民病院と神鋼加古川病院はそれぞれ200床ぐらいの病院でしたが、それが2016年に合併して600床の加古川中央市民病院となり、若くて生き生きとした病院です。さらに、初期研修医や専攻医など、若手医師が刺激し合っており、その若手のパワーで病院の診療機能が支えられていると言っても過言ではありません。

西澤先生がいらっしゃる消化器内科についてはいかがですか。

消化管疾患や肝胆膵疾患など、幅広く診療を行っています。特に上下部消化管病変に対するESD、肝胆膵病変に対するERCP、超音波内視鏡診断や治療、小腸病変に対するカプセル内視鏡やバルーン内視鏡など、地域随一の件数を誇っています。ここ2、3年で専攻医が増えたこともあり、現在は21人の医師が所属していますが、その半分以上が卒後10年未満の若手医師なので活気があります。若手医師は上級医の指導のもと、病棟業務、検査、治療、手技を主体的に経験できます。また、時間内外問わず救急疾患の緊急対応も毎日しっかり経験しています。さらに学術面にも力を入れており、学会発表などを行う機会が複数回得られますので、専門医取得の道に早く進むことができます。

加古川中央市民病院の内科専門研修プログラムで学べる特徴について、ご紹介くださいますか。

幅広く学べることが特徴です。各診療科に専門医や指導医が数多く揃っていますので、大学病院に引けを取らないくらい専門性の高い疾患を経験できることも特徴の一つとして挙げられます。専攻医は多いですが、症例も多いですので、症例の不足や取り合いはありません。内科専門研修プログラムは1年目は当院、2年目は関連病院、3年目はまた当院に戻ってきて研修するというのがオーソドックスなパターンで、1年目の開始前にどのような研修をしたいのかという希望を調査し、その希望をなるべく叶えられるようにローテーションを組んでいます。ローテーション開始後も経験の不足する疾患領域があれば経験できるようにしています。例えば、消化器内科ローテーション中に血液内科の症例を受け持ちたいときにはそれができるような調整をしています。

外部の病院の選択肢も豊富ですね。

15病院以上ありますので、多いですね。ホームページに全て載せていますので、ご覧になってください。地域医療に貢献するという目的のもと、都会の病院、それ以外の病院をバランスよくそろえているのが特徴です。

加古川中央市民病院での内科専門研修プログラム終了後はどのようなキャリアアップが望めますか。

消化器内科でも、ほかの内科でも当院のスタッフとして勤務することがもちろん可能です。他院への就職希望があればそれも可能です。神戸大学と連携がありますので、神戸大学医学部附属病院に勤務したり、大学院に進学したり、大学で研究者を目指す道もあります。それぞれの希望に応じて、アドバイスできればと思っています。

カンファレンスについて、お聞かせください。

まず消化器内科だけのカンファレンスとしては、病棟の患者さんについての新患カンファレンス、内視鏡の読影をしたり、込み入った症例を皆で考えるためのカンファレンスがあります。また、消化器内科、消化器外科、放射線科、病理診断科などとキャンサーボードのような総合的なカンファレンスも行っていますし、病理診断科と消化器内科の合同カンファレンスもあります。回数は新患カンファレンス、内視鏡・症例カンファレンスが週に1回ずつ、外科などとの合同カンファレンスは週に1回程度、病理診断科とのカンファレンスが月に1回程度です。かなり多くのカンファレンスがあるので、なるべく短時間に終わるように心がけています。

医師近影

女性医師の働きやすさに関してはいかがでしょうか。

当院は周産母子センターがあり、小児科も充実していることから、女性医師が多く勤務しています。24時間体制の院内保育所もあり、誰もが働きやすい環境です。消化器内科の女性医師の中にはフルタイムの人、時短勤務の人、人間ドックで内視鏡を担当している人がいます。年代や家族構成に合わせて、三者三様の働き方ができているように思います。消化器内科は医師数が多いので、カバーし合えるのがいいですね。

先生が消化器内科を選んだのはどうしてですか。

学生の頃から内科志望だったのですが、手先を動かす科がいいなと思い、循環器か消化器に絞りました。消化器内科を選んだのは疾患が多いこと、患者さんの層が幅広いこと、内視鏡が面白そうだったことです。それから憧れの先輩が消化器内科だったことも挙げられます(笑)。

先生の研修医時代の思い出をお聞かせください。

神戸大学医学部附属病院と甲南病院で研修しましたが、楽しかったですね。病院が自分のホームスタジアムのような場所になり、研修を終えるときは寂しい思いをしたぐらい楽しかったんです。当時は飲み会なども盛んでしたし、人と人との繋がりができて、思い出に残る研修医生活でした。

専攻医に指導する際、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか。

専攻医は初期研修医よりも専門的な内容を自主性を持って、主体的に学んでいかなくてはいけません。私の立場としては押しつけにならないよう、主体的にやってもらったり、ヒントを与えたりしています。専攻医が不十分なときはやり直してもらうこともありますが、一から十まで教えず、「ちょっと待って。これとこれを考えようね」というヒントを言って、専攻医がそれに応えるのを待っています。また「困ったことは時間外であってもすぐに連絡していいんだよ」と伝えています。

今の専攻医を見て、いかがですか。

専攻医はそれなりに頑張っていますね。初期研修医には「しっかりしろ」と思うこともあります(笑)。初期研修医には学生の延長でもなく、お客さんでもなく、自分がメインプレイヤーだという自覚をもう少し持ってもらいたいのですが、さすがに専攻医になると自覚を持って仕事をしているように思います。

現在の臨床研修制度について、感想をお聞かせください。

とてもいい制度です。一方で、初期研修医がメインプレイヤーだという主体性がないのは指導医がいて、指導体制がきちんとある、この制度のせいかもしれません。そういう側面は悲しいのですが、できている初期研修医もいるので、それぞれが頑張ってほしいです。しかし、私たちの世代は複数の科を横断的に回ったりしていないのですが、この制度では多くの科を回ることで知識やスキルを身につけたり、割とスペシャルな経験も積めたりして、私ができないことができるようになったりするのがうらやましく、良いところだと思っています。

現在の専門医制度について、感想をお聞かせください。

国が専門医というレベルを担保するために掲げている理想に近づければ、おそらく立派な医師が育つでしょう。そのためには症例をこなしていくことが必要ですが、J-OSLERへの登録がきちんとできている人とそうではない人にかなり差が出ています。新しい制度が始まる前から内科、外科といったメジャー科を選ぶ人が減ってきた気がしていましたが、新しい制度が始まるにあたって分からないことや、ややこしいことが多い印象を抱き、それを嫌がった人がさらに増えた様に思います。しかし、しばらく経てば、その波も落ち着き、また内科に戻ってきてくれることを期待しています。

これから専攻医研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

当院は様々な診療科が揃っており、専門医、指導医の数も豊富ですので、専門性を身につけるための経験がしっかり積め、早く専門医になれる病院です。まだ比較的新しく、綺麗な病院で、医療体制も充実しています。初期研修医を含め、一人一人に電子カルテが提供されており、文献検索のツールを法人契約していますので、国内、海外の論文にストレスなくアクセスできます。研修医生活を支える24時間営業のコンビニエンスストアもあります。当院は医師のみならず、コメディカルスタッフも若い人が多く、女性も多いので、クリスマスなどにはイベントがあったり、楽しくやっています。コロナ禍でコミュニケーションが取りにくい面もありますが、若い力があり、明るく切磋琢磨している病院ですので、是非いらしてください。

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