初期研修インタビュー

2021-09-01

岸和田徳洲会病院(大阪府) 指導医(初期研修) 山田元大先生 (2021年)

岸和田徳洲会病院(大阪府)の指導医、山田元大先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2021年に収録したものです。

岸和田徳洲会病院

大阪府岸和田市加守町4-27-1

医師近影

名前 山田 元大
岸和田徳洲会病院 救急科医長 研修実行委員長 指導医

職歴経歴 1982年に熊本県人吉市で生まれる。2011年に熊本大学を卒業後、岸和田徳洲会病院で初期研修を行う。2013年に岸和田徳洲会病院で後期研修を行う。2016年に岸和田徳洲会病院救急科に勤務する。2019年9月に岸和田徳洲会病院救急科医長に就任する。2019年12月に岸和田徳洲会病院研修実行委員長に就任する。
日本救急医学会専門医など。

岸和田徳洲会病院の特徴をお聞かせください。

三次救急の病院ですが、メインになるのは一次、二次の救急というところです。そこが三次救急に特化している病院との違いです。例えば大きな事故に遭った患者さんには集学的治療を早急に始めないといけないところですが、当院はもともと一次、二次から始まっている病院ですので、その意味では幅広い患者さんの受け入れを行っています。転倒した方や飲みすぎて気分が悪くなった方といった患者さんも多いです。

ほかにはどのような特徴がありますか。

診療科に関しては先々代の院長でいらした廣岡大志先生、現院長の尾野亘先生のご専門が消化器内科であることから消化器内科に強みがあり、内視鏡の検査や治療数は日本でも有数となっています。また、前院長で現総長の東上震一先生のご専門は心臓血管外科なのですが、こちらも手術件数がとても多く大阪府以外からの紹介も多数来る診療科となっています。

山田先生がいらっしゃる救急科についてはいかがですか。

一次から三次救急に対応しています。徳洲会グループ全体に言えることですが、当院も「断らない医療」を実現しようと頑張っています。

医師近影

岸和田徳洲会病院の初期研修の特徴もお願いします。

初期研修医のうちから実際の診療にあたり、自分で治療方針を立てるなど、能動的に関わっていけるのが特徴です。内科、外科、救急などを幅広く回ってもらいますが、ネックとしてはマイナー科の研修ですね。当院はそこまで大病院ではないので、マイナー科の研修では足りないことがあるかもしれません。しかしメジャーなところでは症例数も多いですし、初期研修医から「足りない研修があった」、「物足りなかった」と聞いたことはありません。

僻地・離島研修についてはいかがですか。

当院ではたすきがけの初期研修医の受け入れもしていますが、たすきがけの人たちはもともとの所属先の研修内容に従った研修をしますので、僻地・離島研修を行うのは当院のプログラムで初期研修をしている人のみです。2年目に2カ月の研修期間があり、最近の研修先は屋久島徳洲会病院がほとんどです。

初期研修医の人数はどのくらいですか。

当院のプログラムでの初期研修医は1学年7人です。このほか、大阪市立大学医学部附属病院から3人、三重大学医学部附属病院から2人、和泉市立総合医療センターから2年目の初期研修医が2人、たすきがけの初期研修医が来ます。ここ数年、たすきがけの病院として、当院を選んでくれる初期研修医が増えています。突然のように数が増えてきましたので、教える側のキャパシティもありますが、私たちとしては四苦八苦しながら指導にあたっています。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

色々とあります(笑)。初期研修医の指導という以前に、彼らは社会人としての1年目、2年目でもあります。医学部は6年制ですし、ストレートに進んだ人であっても、社会人としてのスタートは遅咲きなんですね。そのため、気づいた範囲にはなりますが、一般常識のようなところから指導することを心がけています。

最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

良くも悪くも私たちの若かった頃とは違いますね(笑)。私たちの頃は調べ物をするときは本が中心で、診療の合間に電子機器で調べる機会は比較的少なかったです。しかし、今の研修医はiPadやタブレットなどを積極的に駆使して情報を得て、診療にあたっていますので、私たちの頃とは様変わりしました。私もまだ若輩者ではありますが、その間であっても全然違うなと思っています。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。

当院には曲者の研修医が多いので、言い出せばキリがありません。その中の一人に初期研修の1年間で1000台の救急車を診た人がいます。初期対応をした救急車の台数はデータが残るので、すぐに数えられるのですが、その初期研修医は1年間で1000台を診て、しかもそれを喜んでいたので、「変わっているな」と思いました(笑)。そして、彼は当院の救急科に入職し、今も頑張ってくれています。

医師近影

研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

こういうところでは本来は医療に関することや医師像のような話をするべきなのでしょうが、私は社会人としてどうあるべきなのかといったことをしっかり教わった経験があまりなく、いわゆる世間知らずのまま社会に出てしまって苦労したので、研修医にはそうならないようにと思っています。そのため、社会人としてのあり方に注意して指導しているつもりです。

先生はなぜ初期研修で岸和田徳洲会病院を選んだのですか。

私の出身地である熊本県人吉市は昨年は豪雨に見舞われたところですが、かなり田舎なんです。私は学生時代から将来は地元に戻り、地元に貢献したいと思っていました。私は臨床研修病院を研究メインか、臨床メインかに分けて捉えていたのですが、私としては臨床メインでいきたいと考えていて、初期研修医のうちから臨床に携われる病院を探していたところ、岸和田徳洲会病院が心に刺さり、こちらにお世話になることにしました。でも、熊本に帰るタイミングが逃し逃しになってしまい、今も当院にお世話になっています(笑)。

岸和田徳洲会病院のどのようなところが先生の心に刺さったのですか。

右も左も分からない初期研修医が現場に出されると仕方ないことかもしれませんが、やはりきついものです。でも、そのきつさは成長することと表裏一体です。きつくなく、自分のペースで進んだことで少ししか成長しないのであれば、きつくても飛び込んでいきたいと考えました。では、そのきつい中で皆がどうやって心のバランスを取っているかというと、人間関係だったりします。当院に見学に来たときに、皆が「しんどいね」と笑いながら愚痴を言ったりしている姿がとても印象的で、ここであれば私も頑張れるのではないかと思い、当院を選びました。

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実際にきつかったですか。

何度も心が折れました(笑)。当院に限らず、臨床や何かに特化した病院、クセのある病院には志を同じくした者が集まりやすいんですね。私の同期にしろ、これまでの研修医にしろ、今の研修医にしろ、「臨床を頑張りたい」という根っこの部分では同じ目的で頑張っている仲間ですので、きついことや悩んでいることを皆で共感できます。初期研修医になって初めて出会った仲間でしたが、友だちというより戦友のような感じで支え合っていました。上の先生方の中にも私たちと同じようにきつい時期を経験されてきた「ウチ上がり」の方が多かったので、「そうだよな、その時期はそういうしんどさがあるな」みたいに話を聞いてくださいましたね。周りに支えられて、乗り越えることができた研修医生活でした。

先生はなぜ救急科を選ばれたのですか。

私は初期研修の終わり頃になっても、どの診療科に行くのかを決めていなかったので、だからこそ幅広く患者さんを診て、色々な疾患を経験しておいた方がどの診療科に行ったとしても通じる力になるだろうと思い、後期研修では当院の救急科に行くことにしました。当院の救急科の幅広い患者層に惹かれて、救急科で後期研修を始めたところ、救急に魅力を感じ、そのまま残って、今に至ります。

医師近影

救急科の魅力はどこにありますか。

当院の救命救急センターの鍜冶有登センター長が口癖のように言っているのが「救急搬入口から入ってきた患者さんを絶対に死なせるな」ということです。救命救急センターはどのような患者さんが入ってきても、そのように対応するところなんです。この患者さんを診られないとか、この患者さんなら診られるとか、そういう患者さんの選り好みをするのは私の理想の医師像ではないなと思っていたので、センター長の言葉や心意気、そしてそれをやってのける技量に惹かれました。その意味で、自分の理想とする医師の姿です。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

幅広く患者さんを診たい、対応できるようになりたいと思って、当院を希望する初期研修医にはこのスーパーローテートはとても良い制度です。卒業後にすぐに入局していた時代で育った先生が「私はその専門でないから診られない」と言っていたという話を昔話として聞いたことがありますが、それは私の理想の姿ではありませんでした。専門の診療科に進む前に色々な疾患を経験し、対応できるようになりたいという初期研修医の期待に応えるためにも、少なくとも当院に関してはスーパーローテートはなくてはならない制度です。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

当院は一次救急から三次救急まで対応している病院です。一次、二次がメインにはなりますが、早い時期から臨床に触れたい、携わりたい、多くの症例を経験したいという方にとってはいい病院でしょう。ただ、それが消化できるかどうかは個人の力量になりますので、当院に見学に来ていただき、ご自身の目で見て、聞いて、感じて、そのうえで決めていただければと思います。

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