インタビュー

2021-03-15

千秋病院 河内 賢 | 指導医インタビュー

医療法人 尾張健友会 千秋病院 河内 賢先生の指導医インタビュー。全国病院からメッセージ・求める研修医、プログラム・募集要項、ジュニア・シニア・指導医・院長のインタビューを掲載。進路選択の判断材料としてお役立てください!

千秋病院

一宮市千秋町塩尻山王1

医師近影

名前  河内 賢
臨床研修プログラム責任者

職歴経歴 昭和39年2月2日生まれ 名古屋大学医学部平成元年卒 愛知県出身 千秋病院 副院長 専門科目:整形外科 千秋病院初期研修プログラム責任者

千秋病院の初期研修の特徴をお聞かせください。

一つは定員が2名ですから、少人数であることですね。また、臨床研修病院は急性期病棟だけの病院が多いですが、当院は急性期病棟以外にも回復期リハビリ病棟、療養病棟が揃っていまして、急性期の患者さんを診て研修をする以外にも急性期の段階が終わったあとのリハビリ段階や療養段階の患者さんについても診ていくことができます。ほかの病院は急性期を脱した患者さんは転院されることが多いですが、当院の場合は継続して一人の患者さんを診られるのが特徴ですね。グループの中に老健や特養、ケアハウスなどがありますので、医療分野のみならず、介護保険に関わる分野も学べます。

プログラムの特徴についてはいかがでしょうか。

千秋病院として基幹型のプログラムを持っていますが、地域医療に関しては一宮市立市民病院や小牧市民病院の協力型施設でもありますので、ほかの病院の研修医も受け入れています。当院の研修医も三次救急、小児科、産婦人科は外部の病院に行きますし、色々な協力病院を回ることで千秋病院とは違った雰囲気を味わえ、ほかの病院の研修医と交流ができることも特徴ですね。ほかの病院の指導医ともコミュニケーションを取れますから、中小病院で2人の研修医となると寂しいのではという声も聞きますが、色々な場所で色々な人と触れ合うことが可能な環境ですよ。当院の研修医からも寂しいとか、孤立した感じはしないという評価をもらっています。

指導する立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

私は25年前に医師になりましたが、名古屋大学出身ですので、私もローテート研修を行い、内科や外科のほか、小児科も産婦人科も精神科も回っています。ローテートしたことで感じたのは、忙しくて、その日のうちに帰宅できない科もありましたが、だらだらと過ごしても効率が悪いということですね。そこで、当院の研修医にもめりはりのある研修医生活を送ってほしいと指導しています。自分の研修が終わったら、なるべく早く帰って英気を養い、翌日の研修に臨んでほしいですね。
初期研修で学べるものはいわゆる知識的なこと、技能的なこと、態度的なことがありますが、初期研修では技能的なことはあまり気にしなくてもいいのではないでしょうか。知識についても、国家試験を受かっている人たちなのだから、あとからでも何とかなります。したがって、大事なのは態度なんですね。医師としてのありようです。これを教えることは一番難しいのですが、ほかの職種からの評価をいただくように指導しています。知識や技能は指導医が評価しやすいことですが、患者さんへの接し方や医師としてのありようは看護師さんや事務のスタッフの方がよく把握していますので、そういう人たちにしっかり評価してもらうことは大事です。指導医以外のスタッフに評価してもらえるためのシステムも作りましたし、態度的なことをしっかり教えることを心がけています。

医師近影

最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

学生時代から非常に鍛えられているなという印象を持っています。我々の頃は知識や技能をメインに教育されたところもありますが、研修医を見ていますと、コミュニケーションスキルを教育されているという印象を受けますね。患者さんとの接し方を見ていると、割とうまくやれている人が多いです。また、以前のように遅くまで残っている人は減り、セルフコントロールができている人が増えています。私より少し上の医師は「我々の頃は上の医師よりも先に帰らなかったものだ」という話も出ますが、私はめりはりのある研修が好ましいと思っています。しかし、めりはりをつけることと患者さんに対して無責任になることは別の問題ですから、ジレンマもありますね。時間が来たら、すっと終わってしまう人もこれまではいましたし、医師としてのプロフェッショナリズムに関しては教育が難しいところです。

印象に残っている研修医はどんな研修医でしたか。

子育てをしながら研修生活を全うした女性医師がいました。今、女性医師が増えてきており、4割近くの割合を占めています。彼女は研修医として入職してきたときに既に子どもがいました。研修中にまた子どもができ、産休、育休を取ったんです。どうなるのかと心配していましたら、1年後に戻ってきて、子どもの面倒を見ながら研修を再開し、修了証を手にしました。私は男性ですから、女性のことで分からない部分もありますが、すごいと思いましたね。当院は妊娠や出産に対しての制度を手厚くしていますから、彼女もその制度を利用して、頑張っていました。男性の育休取得も法的に認められていますし、これからは男性研修医も育休を取得することが増えるかもしれませんね。厚労省も研修医の産休、育休をどう扱うべきか、議論を深めているところではないでしょうか。

医師近影

研修医に「これだけは言っておきたい」ということがあれば、お聞かせください。

コメディカルスタッフとの関係についてです。患者さん自らが考え、治療にしっかり参加してもらうというのが大前提ですが、医師だけでは何にもならないことも少なくありません。特に、高齢社会が進み、患者さんが急性期だけではなく、慢性期の疾患を持っていることが多いので、いかに看護師、理学療法士、作業療法士などのリハビリのスタッフ、薬剤師、栄養士、事務のスタッフと一緒にチームを作ってやっていくという発想を持ってほしいです。

先生の研修医時代はどのようにお過ごしでしたか。

私もローテート経験者ですが、当時はシステムはあってなきがごとしでした。現在は制度として、中身がしっかり固められており、非常に羨ましいです。ただ、私の場合は何が自分に合っているのかをある程度、見極めることができました。今は整形外科を専門にしていましたが、もともとは一般外科志望だったんです。ローテートする中で整形外科に変えることができました。ローテート研修は学生時代には分からなかった、自分に合う診療科を見極めることができる点で有意義ですね。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

この制度が2004年にできたときは非常に喜ばしいなと思いましたね。我々がやってきたことがやっと認められたような気がしました。制度が始まる前からローテート研修をしていた大学は東北、横浜市立、名古屋大学の3大学だったのではないでしょうか。ただ、必修科目を絞り、小児科、産婦人科、精神科といったところを必修から外したのは少し問題ですが、相対的には非常に良い制度ですね。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

実際に病院に行き、研修医と話をして、どういう研修かをしっかり聞いて、自分の志向も合わせて決めてほしいです。本当のところは研修医が一番よく知り、話せるはずです。事前にホームページで調査すれば、どういう病院で、どういうプログラムかというのは大体、分かりますよね。プログラムに表れてこない部分、病院の雰囲気やスタッフの関係、さらに言えば患者層なども含めて、総合判断をしていただくことをお勧めします。

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