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国試過去問解説 2025-08-06

国試過去問解説 出血に対するニトログリセリン投与の是非 国試(117C66)

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117C66
次の文を読み、以下の問いに答えよ。
52歳の女性。意識障害のため救急車で搬入された。
現病歴:5日前から38℃を超える発熱と悪寒戦慄を訴え、市販のアセトアミノフェンを内服していた。本日夕食中に急に頭痛とふらつき感を訴え、嘔吐した。その後いびきをかいて眠りだし、呼びかけに応答しなくなったため、家族が救急車を要請した。
既往歴:アトピー性皮膚炎で副腎皮質ステロイド外用薬を処方されている。健診で異常を指摘されたことはない。
生活歴:夫と2人の息子との4人暮らし。仕事は事務職。喫煙歴はない。飲酒はビール350mL/日。
家族歴:両親とも胃癌で死亡。
現 症:意識レベルはJCS III-200。身長158cm、体重60kg。体温37.8℃。心拍数120/分、整。血圧200/104mmHg。呼吸数16/分。SpO2 100%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。救急隊により経鼻エアウェイが挿入されている。瞳孔径は右5.0mm、左3.0mm。対光反射は両側で消失している。心尖部を最強点とするLevine 3/6の収縮期逆流性雑音を聴取する。上気道にいびき音を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。両側足趾先端に点状出血斑を合計3ヶ所認める。頸部周囲と両肘内側に鱗屑、紅斑および苔癬化を認め、一部浸出液がみられる。
検査所見:尿所見:淡黄褐色透明、蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球450万、Hb 13.3g/dL、Ht 42%、白血球11,200(桿状核好中球13%、分葉核好中球53%、好酸球8%、好塩基球1%、単球3%、リンパ球23%)、血小板32万、PT-INR 1.2(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL、アルブミン4.2g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、直接ビリルビン0.1mg/dL、AST 30U/L、ALT 13U/L、LD 220U/L(基準120~245)、ALP 83U/L(基準38~113)、γ-GT 13U/L(基準8~50)、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.47mg/dL、血糖204mg/dL、Na 142mEq/L、K 3.5mEq/L、Cl 105mEq/L。CRP 10mg/dL。心電図は洞性頻脈でST-T変化を認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比57%(臥位で撮影)。搬入直後の頭部単純CTを別に示す。
直ちに行うべき処置はどれか。


答え
不正解

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主訴は意識障害であり、突然の頭痛とふらつき・嘔吐のエピソードが脳血管障害を想起させる。また瞳孔不同、対光反射消失があることから、頭蓋内圧が上昇している非常に緊急度の高い状況であると判断できる。CTではシルビウス裂・前大脳縱裂・四丘体槽に高吸収域を認め、くも膜下出血の診断ができる。また、第三脳室に注目すると、正中偏位を認め、やはり頭蓋内圧亢進があることがわかる。救急隊により経鼻エアウェイが挿入されているがいびき音を聴取しており、気道確保が不十分であることがわかる。よってまず行うべき対応は気管挿管による気道確保であるとわかる。


a 胃管挿入は経口の栄養摂取が困難な患者や嘔吐による誤嚥リスクのある患者に行う場合があるが、気道・呼吸・循環の確保といった初期対応に比べて優先度は低い。

b 上述の通り、本例では気管挿管による気道確保が最優先である。

c 中心静脈カテーテル留置は高カロリー輸液で栄養したい場合や、末梢血管のルート確保が困難である場合などに行う。本例では薬剤を投与するにしてもまずは末梢ルートでこと足りる。

d ニトログリセリン投与は頭蓋内圧亢進を増悪させうる。また、本例のような状況においては気道確保が最優先である。

e 腰椎穿刺はCTで診断のつかないくも膜下出血に思考する場合があるが、本例ではCTで十分に診断がつく。また腰椎穿刺は、頭蓋内圧亢進がある場合や穿刺部に感染がある場合に禁忌となる。本例は頭蓋内圧亢進が疑われるため、禁忌である。また、頭蓋内圧亢進がない場合でも気道の確保が優先である。

時間のある方は参考資料としてこちらをご覧ください。

連載: 国試過去問解説