夏の晴れた日の風の弱い正午頃に発生する、というキーワードで光化学オキシダントを覚えておく。頭痛やけいれん、発熱を生じることがあり熱中症と紛らわしいケースもあるが、咳嗽や粘膜刺激症状が目立つ点で鑑別できる。環境基本法に環境基準値が設定されている大気汚染物質の中で、唯一達成率が低い(0.2%程度)という点も覚えておく。(他の大気汚染物質は軒並み90%以上の達成率である。)
a 輻射熱が原因となる疾患として熱中症が挙げられる。快晴の屋外活動中に児童に生じる疾患として考えられるが、体温が36℃台という点から否定的である。また、熱中症単独では粘膜刺激症状はみられない。
b 集団発症し頭痛が初発症状となりうるが、屋外で発症することは考えづらい。室内空間での不完全燃焼や、炭鉱・トンネル内の火災でおこりうる。また、CO-Hbによって顔面・口唇などが鮮紅色となる。
c ごみ焼却施設で発生しうるが、本症例のような急性症状を引き起こすことは考えづらい。生物濃縮を通じて、発がん、催奇形性、神経毒性などが疑われている。
d PM2.5としても知られる、粒径2.5μm以下の浮遊粉じんの総称である。工場、火力発電所、自動車などから発生し、肺癌や肺線維症の原因となると考えられている。本症例では症状が合致しないので誤り。
e 典型的な症状、発生状況から、光化学オキシダントが最も考えられる。
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