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国試過去問解説 2025-07-16

国試過去問解説 血液検査 国試(117B48)

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117B48
次の文を読み、以下の問いに答えよ。

39歳の女性。動悸と息切れを主訴に来院した。
現病歴:半年前から月経量が増え、3か月前から階段昇降時に動悸と息切れを自覚するようになったため受診した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:会社員。一人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:特記すべきことはない。
月経歴:初経13歳。周期28日型、持続10日間。
現 症:意識は清明。身長154cm、体重57kg。体温36.4℃。脈拍96/分、整。血圧126/80mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜は貧血様である。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝・脾を触知しない。下腹部は軽度膨隆している。内診で、径10cmの腫瘤を触知する。神経診察で異常を認めない。


血液検査を行ったところ、以下の結果が得られた。
血液所見:赤血球371万、Hb 8.5g/dL、Ht 29%、白血球4,100、血小板29万。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL、アルブミン4.5g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 32U/L、ALT 32U/L、LD 173U/L(基準120~245)、ALP 106U/L(基準38~113)、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖93mg/dL、総コレステロール189mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 0.7mg/dL。
この患者で認めるのはどれか。

答え
不正解

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貧血の症例ではまずMCVに注目し、貧血の分類を確認する。本症例ではMCVが78.2と小球性貧血に分類されるため、鉄欠乏性貧血や慢性炎症による貧血(ACD)を引き起こす病態の有無を確認する。本症例では月経の持続期間が10日間と過長月経であり、内診所見で腫瘤を触知することから子宮筋腫などの過多月経を引き起こす疾患の存在が疑われる。よって、病態としては鉄欠乏性貧血がもっとも考えられる。

a 鉄欠乏性貧血では血清鉄は低下する。

b 網状赤血球の増加は骨髄での赤血球産生亢進を、減少は産生低下を反映する。造血の重症の鉄欠乏性貧血では網赤血球が低下するが、本症例では赤血球数が正常値であり、網赤血球数も正常に近い数値であることが予想される。

c 鉄欠乏性貧血では病初期から貯蔵鉄が減少するため、本症例でも貯蔵鉄のマーカーである血清フェリチンは低値であると考えられる。

d 血清フェリチンが低下する病態ではトランスフェリンは増加する。鉄欠乏性貧血では血清鉄が低下するため、トランスフェリンと血清鉄の差分である不飽和鉄結合能(UIBC)は上昇する。

e トランスフェリン飽和度(TSAT)は総鉄結合能(TIBC)に占める血清鉄の割合であり、鉄補充の指標などで用いる。鉄欠乏性貧血では低値となる。

連載: 国試過去問解説