検索
病院名・地域などで検索
新規無料会員登録
アカウントをお持ちではありませんか?
ログイン
こちらもご利用いただけます
  1. トップ
  2. 国試過去問解説
  3. 国試過去問解説 非アルコール性脂肪肝炎[ NASH ] 国試(115D69)
国試過去問解説 2025-05-28

国試過去問解説 非アルコール性脂肪肝炎[ NASH ] 国試(115D69)

e-residentが医師国家試験の勉強をサポート! どこよりも詳しい解説で合格への道を拓きましょう!

115D69
50歳の男性。健康診断で異常を指摘されたため来院した。特に自覚症状はない。2年前の健康診断で肝機能異常があったが、詳しい検査は受けず、自己判断で飲酒量を減らした。現在は350mLの缶ビールを週に1~2本飲んでいる。25歳から1日20本喫煙しており、6か月前から加熱式タバコに替えている。母親が肝癌で死亡している。既往歴に特記すべきことはない。自宅でインターネットを介した仕事をしており、あまり外には出ないという。身長171cm、体重80kg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。健康診断時の血液生化学所見:総ビリルビン0.7mg/dL、AST 90U/L、ALT 85U/L、γ-GT 60U/L(基準8~50)、空腹時血糖98mg/dL、HbA1c 5.6%(基準4.6~6.2)、トリグリセリド160mg/dL、HDLコレステロール36mg/dL、LDLコレステロール208mg/dL。腹部超音波検査で脂肪肝を認めた。
適切な説明はどれか。2つ選べ。

答え
不正解

解説文はログイン後ご覧いただけます

ログインする
① 肝酵素、胆道系酵素の軽度異常 ② 脂質異常症の疑い ③ 腹部エコーにおいて脂肪肝の指摘 あたりをふまえ、今後の対応を考えていく問題である。 それでは選択肢をみていく。

a 肝癌の家族歴はあるものの、腹部エコーの所見については脂肪肝のみ指摘があり、占拠性病変などの指摘はないことから積極的に肝癌を疑い腹部CT検査をすべきとはいえない。よってaは×。

b 2年前の健康診断の肝機能異常の指摘に対し、自己判断ではあるが飲酒量を減らし肝臓への負担軽減を自ら行っている。現状の問題点は運動不足、肥満傾向、脂質高値などであるから、それを解決できる運動療法、食事療法を取り入れるこが望ましいと考えられる。よってbは〇。

c 生活歴、血液検査や腹部エコー検査の結果から直ちに肝炎ウイルスの存在を疑うものではないが、肝癌の家族歴について母親が肝癌で死亡しているため、B型肝炎ウイルスは垂直感染することから、背景としての肝炎ウイルスの検査はやっておくべきである。C型肝炎についても、輸血や血液製剤による感染リスクは低下している状況だが、同時に検査しておくべきと考えられえる。よってcは〇である。

d 肝細胞癌は7割以上について肝炎ウイルスが原因と考えられているが、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)などからもなることが知られており、現状脂肪肝のみの指摘であっても肝硬変を経て肝癌へと至る可能性が考えられる。喫煙は肝癌のリスクを高めることが報告されており、加熱式タバコであっても禁煙すべきと考えられる。よってdは×。

e 現状の飲酒量(350mlを週1、2本)を考えれば、そこまでの影響を肝に与えていることは考えにくく、まず食事療法、運動療法、禁煙を行い脂質異常や脂肪肝の改善に努めていくことが望ましいと考えられる。よってeは×。

時間のある方は参考資料としてこちらをご覧ください。

連載: 国試過去問解説