▼ まず、医学部を志した動機からお聞かせください。
水野:陸上競技の短距離をやっていたのですが、高校1年のときに足関節を骨折したんです。走れない時期に辛い思いをした経験からスポーツドクターになりたいと思ったのがきっかけです。その後、怪我は治り、インターハイや国体で入賞することができました。いろんな意味で鍛えられましたね。
上杉:特にきっかけと言えるものはなかったのですが、手術がしたいという希望があったので、医学部に進学しました。大学に入った頃は専攻までを決めていたわけではなく、漠然と外科系にとは思っていました。そしてポリクリを経験して、呼吸器外科と整形外科で迷いましたが、死に直結せず、患者さんの回復ぶりを見ることができる整形外科を専攻することに決めました。
▼ 卒後1、2年目の研修はどちらでされたのですか?
水野:最初は日本医科大学の整形外科に入局しましたので、その附属病院で研修を行いました。上司が関節鏡視下手術を積極的にやっていて、影響をうけました。
上杉:大阪出身で地元に帰りたかったですし、ネットワークという形での関連病院の多さに惹かれて大阪大学に入局したんです。最初の研修先は国立大阪病院(現 大阪医療センター)でした。同期が3人、上の2学年にも3人ずついましたので、計9人という多さで、恵まれていましたね。スタッフの先生方も多いので、相談しやすく、あらゆることが勉強になりました。
▼ 水野先生はその後、大阪大学にいらっしゃったんですね。
水野:2002年に大阪大学に入局し、大阪厚生年金病院スポーツ医学科のShoulder fellowとして勤務しました。米田稔部長のご指導のもと、専門的なトレーニングを受けることができました。休む暇なく、帰宅も深夜でしたが、そのおかげで多くのことを習得でき、非常に充実したfellowshipだったと思います。またしんどいばかりではなく、メリハリがあって、とても楽しい職場でしたよ。2006年からは、スポーツの症例が多い行岡病院で、肩や外傷の手術を中心に、自分で執刀していました。
▼ 海外にもいらしたそうですね。
水野:昨年、日本肩関節学会の日韓交換留学生に選ばれ、韓国の主要病院を訪問してきました。また今年は、日仏整形外科学会の交換研修生としてフランスで3カ月間研修させていただきました。フランスのオリジナリティの高い手術をみることができ、すごくいい経験になりました。この整形外科ネットワークに所属しているからこそ、このようなチャンスを頂けたと心から感謝しています。
▼ 上杉先生は大阪大学の整形外科ネットワークの中で研修を積まれてきたんですね。
上杉:そうです。国立大阪病院の後は1年ずつ住友病院、伊丹市民病院、緑風会病院で研修を行いました。住友病院では主に患者さんを受け持ち、外傷患者さんが来られたら自分で手術をするという日々でした。伊丹市民病院は市民病院だけあって、様々な症例があり、その上外傷も多く、勉強になりました。結構忙しかったですね。緑風会病院は外傷中心で、ほとんどの症例を私が担当し手術させてもらったので、自信がつきました。
▼ ここで、大阪大学整形外科ネットワークでの後期臨床研修の特色をご説明いただけますか?
大島:後期臨床研修プログラムは約4年間で成り立ち、2、3年の総合整形外科研修期間と1、2年の専門整形外科研修期間で構成されています。総合整形外科研修期間では約80あるA群関連病院の1、2施設にて、骨折や脱臼などの外傷、腰痛や関節痛などの一般整形外科疾患に対する診断や治療手技を体得します。専門整形外科研修期間では約30あるB群関連病院の1、2施設にて、脊椎、股関節、膝関節、肩関節、スポーツ・膝、手・肘・末梢神経、小児・成長、骨軟部腫瘍、関節リウマチ・足、リハビリテーションなど、より専門性の高い診療や治療手技を専門家の指導の下、体得します。
我々のネットワークには優れたエキスパートが数多くおり、各関連病院に勤務しておりますので、研修病院を半年から1年の周期で異動することにより、各病院の長所を吸収しながら整形外科医としての腕を磨くことができます。また、ネットワーク内で後期研修を行うことにより、年間約50人ずつ新しい整形外科医と知り合うことができますので、どの道を歩むにせよ、他では得がたい財産となります。
水野:各分野の超スペシャリストが揃っているというのが最大の魅力だと思います。それからネットワーク内の関連病院は大きな病院が多いので、女性医師がフレックスタイムなどを取りやすく、子育てしながらの勤務が可能な点もいいですね。病院によっては病児保育も充実していますし、育児と仕事を両立させている先輩方も多いです。
▼ 女性医師へのサポートも手厚いのですね。
大島:整形外科と聞くと、どうしても男性的なイメージがありますが、女性や小児の患者様も多く、女性医師が歓迎されます。そこで、大阪大学整形外科ネットワークでは女性医師が働きやすい職場環境を整備しております。例えば、妊娠、出産、育児期間の仕事量の軽減や休職、職場へのバックアップや人事異動、復職のサポートなどを行っております。放射線業務が気になる方には放射線業務の免除、大学院での研究やリハビリテーション施設など、放射線業務のない部署への配置転換も可能です。
▼ 復職サポートはどのようなものがありますか?
大島:復職当初は、パートや非常勤としての短時間勤務、当直や救急がなく負担の少ない勤務から始め、状況に応じて臨床現場へ完全復帰していただくことが可能です。ブランクが長い方、スキルに不安がある方は、復職時のスキルに応じた臨床研修を受けていただくことが可能です。
▼ 他大学や他病院で初期研修を行っても、大阪大学整形外科ネットワークに入会することはできますか?
大島:もちろん大丈夫です。当ネットワークには、大阪大学以外の大学出身者も数多く所属しており、卒後数年が経過してから所属される方もおられます。出身大学による差は全くなく、各人の希望を踏まえた上で、各人に合った職場を当ネットワーク卒後研修委員会からご紹介させていただきます。
水野:私は卒後5年目に入会した他大学出身者ですので、最もいい例でしょう。まったく問題ないと思います。
▼ 後期臨床研修の終了後はどのような進路があるのでしょうか。
大島:大阪大学整形外科ネットワークに所属された際は、せっかくの機会ですから、研究に少しでも興味があれば、是非とも後期研修終了後、あるいは後期研修2年終了後に、大学院へ進学して(医学博士取得を目指して)いただきたいと思います。もちろん大学院に進学せず、市中病院に勤務し一般整形外科医を目指すことも可能ですし、都会医療だからこそ可能となる専門性を高めた整形外科医を目指すことも可能です。その他、自分なりのスタイルを確立していただくことが可能ですので、ご希望があれば遠慮なくご相談ください。
▼ 改善を望む点はありますか?
水野:特にないですね。
大島:研修医をあずける当ネットワークの関連病院には、きちんとした研修指導を行っていただけるよう、全ネットワーク会員にアンケート調査を行い各病院の研修体制を把握した上で、必要な場合には、他病院の体制との違いを提示し要望を伝え改善していただいております。また、人間関係や金銭面で悩む場合に研修病院を異動することも当方でお手伝いさせていただきます。こういったことは、当ネットワークの所属人数や施設が多いからこそ可能なことですね。
▼ 現在はどのようなお仕事をされているんですか?
水野:病棟医です。研修医に戻ったみたいで、若返ったようで楽しいです(笑)。また、大学ならではの難しい症例や最先端の医療を見ることができ、とても勉強になります。
上杉:私も病棟医をしています。腫瘍や側彎など初めて見る手術もありますし、ほかでは見れない症例が多くあり、勉強になります。
▼ コメディカルのスタッフとのコミュニケーションはいかがでしょうか。

上杉:皆さん、優秀ですし、一緒に働きやすい環境ですよ。
▼ 当直はどの程度ありますか?
水野:月に1回、あるかないかですね。オンコールもありませんし、肉体的にはきつくないですよ。
大島:大阪大学整形外科ネットワークには約650名の医師が在籍し、このうち大学病院には約70名の整形外科医が関わっております。助教以上の常勤医師が約20名おり、基本的にはこの20名のスタッフが当直を行い、足りない部分を他のメンバーが補うという体制になっております。
▼ カンファレンスはどの程度、行われているんですか?
水野:全体のカンファレンスが週に1回、専門クリニックごとのカンファレンスが週に各1回、教授回診が週に1回、術後回診が週に3回行われています。カンファレンスでは、受け持ち症例のスライドを作成してプレゼンします。週に2、3例あり、スライド作りは大変ですが、そのまま学会でも使えるのが利点です。
上杉:かなり活発に意見を出し合う雰囲気です。「突っ込み」も入りますよ。スライドも突っ込まれないように作るのですが、反応がなければないで寂しいですね(笑)。
▼ ジュニアレジデントがローテートしてきたら、どんな指導をしたいですか?
水野:整形外科の楽しさを教えたいですね。女性であれば、整形外科のQOLの良さもアピールしたいです。
▼ 現在の臨床研修制度について、ご意見をお願いします。
水野:一般的な内科や外科を学ぶ意義はあると思いますが、進路が決まっている先生には必要ないように思います。進路の決まっていない先生にはいい制度だと思います。
上杉:私の1つ下の学年から今の臨床研修制度が始まったので、国立大阪病院でも私が1年目のときは6人の研修医がいましたが、2年目の年には4人になってしまいました。一番下がしなければいけない仕事をずっとしましたが、特に苦はなかったですね。大学の同級生の中にもスーパーローテートを選んだ人はいましたし、現在の制度は「専門を決めつつあるけど、他も見てみたい」という人にはいい制度だと思います。
▼ 今後の希望をお聞かせください。
水野:肩関節についてもっと知見をひろめ、臨床も研究もできるような医師になりたいです。
上杉:まだ勉強を始めたばかりなのですが、手の外科を専門にしていくつもりです。私は臨床中心でいきたいと思っています。
▼ 後期研修の研修病院を選ぶにあたってのポイントはどこにあるのでしょうか。
水野:実際の研修内容までは見学では分かりませんので、直感的に雰囲気が合うところがいいのではないでしょうか。また、自分のやりたい分野があれば、その道に長けた一流の先生がいらっしゃるところがいいでしょう。「人についていく」という姿勢も大切ですね。
上杉:私はたまたま国立大阪病院で研修したのですが、スタッフ数も多く、症例数も豊富で本当に恵まれました。スタッフや同期が多い方が楽しく研修できますよ。
▼ では初期研修についてはいかがでしょう。
大島:せっかくのスーパーローテート制度ですから、この制度の良さを十分に生かしてほしいですね。将来、整形外科を専攻すると決めているのであれば、あえて他科をローテートすることも整形外科医としての幅を広げると思います。生涯続けるであろう整形外科を学ぶ前に、たった2年間ではありますが他科を学ぶことは、必ずや将来の仕事に役立つと思います。そう考えるからこそ、当ネットワークでは必要に応じて後期研修期間に麻酔や集中治療、救急医療、形成外科など整形外科と関係の深い他科の研修を学ぶ機会も取り入れています。
▼ ご趣味など、プライベートの過ごし方についてお聞かせください。
水野:語学が好きで、今はフランス語を習っています。時間があれば、友人と飲みに行ったり、ジムで運動したりしています。
上杉:旅行が好きで、1年に1−2回、海外に行っています。今年はニューヨークと韓国に行きましたが、個人的には去年行ったイタリアやスペインの方がよかったですね。普段の休みの日には、ゴルフを時々します。あとは買い物ですね。
▼ タイムスケジュール
水野先生(カンファレンスのある日)
| 05:00 |
起床 |
| 06:45 |
出勤 |
| 07:30 |
カンファレンス |
| 09:00 |
病棟業務 |
| 12:00 |
昼食 |
| 13:00 |
病棟業務 |
| 20:00 |
帰宅 |
| 24:00 |
就寝 |
上杉先生(手術日)
| 06:00 |
起床 |
| 08:00 |
出勤 |
| 08:30 |
手術1件目 |
| 12:00 |
昼食 |
| 13:00 |
手術2件目 |
| 17:30 |
術後回診 |
| 18:30 |
病棟業務 |
| 21:00 |
帰宅 |
| 24:00 |
就寝 |
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